「児童手当」と「児童扶養手当」——名前がよく似ているため、同じような子育て世帯向けの手当だと思っている人もいるかもしれません。しかし、この2つは対象者も支給月も、制度としてまったく別物です。
この記事では、児童手当の支給額一覧を整理した別記事より一部を引用・参照しつつ、児童手当と児童扶養手当の違いを、こども家庭庁の公式情報にもとづき編集部が整理します。
1. 対象者がまったく違う。児童手当は全世帯、児童扶養手当はひとり親世帯
こども家庭庁の資料によると、児童手当は、令和6年10月分からの制度改正により、高校生年代(18歳に達した後の最初の3月31日まで)の子どもを養育するすべての家庭が対象になる、全国一律の国の制度です。一方、児童扶養手当は、離婚などにより父または母と生計を同じくしていない児童を養育する、ひとり親世帯を主な対象にした制度です。
「名前が似ているから、児童手当をもらっていれば児童扶養手当は関係ない」と考えていると、実際にはひとり親世帯であれば両方の対象になり得ることを見落としがちです。名前の似た2つの制度ですが、そもそも対象にしている世帯像が異なります。
2. 【編集者の視点】
実務上、児童扶養手当は自動的に支給が始まる制度ではなく、市区町村への申請が必要です。離婚成立後、児童手当の手続きだけで満足してしまい、児童扶養手当の申請自体を忘れているケースを見かけます。両方の制度を意識して、窓口で確認することが大切です。
※本記事は、編集部がこども家庭庁が公表する公式の最新情報を直接確認の上、執筆・検証しています。
3. 支給される月も違う。児童手当は偶数月、児童扶養手当は奇数月
こども家庭庁の資料によると、児童手当は毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月(偶数月)に、それぞれ前月までの2か月分をまとめて支給する仕組みです。一方、児童扶養手当は毎年1月・3月・5月・7月・9月・11月(奇数月)に支給されます。
「どちらの手当も、同じ月にまとめて振り込まれるはず」と思っていると、実際には偶数月と奇数月で交互に振り込まれる形になり、家計の管理をする上で振込月のズレに戸惑うことがあります。両方を受け取っている家庭は、毎月何らかの手当が振り込まれる計算になります。
3.1 【児童手当と児童扶養手当の違い】
前提:こども家庭庁公表の資料に基づく編集部整理1/2
出所:LIMO編集部作成
- 主な対象:児童手当=高校生年代(18歳到達後最初の3月31日まで)の子どもを養育するすべての家庭、児童扶養手当=ひとり親世帯など
- 支給月:児童手当=偶数月(2・4・6・8・10・12月)、児童扶養手当=奇数月(1・3・5・7・9・11月)
4. 【編集者の視点】
実務上、児童扶養手当は所得によって全部支給・一部支給・支給停止に分かれます。年によって世帯の所得状況が変われば、受け取れる金額が変わることもあるため、現況届の時期には、前年の所得状況を早めに確認しておくとよいでしょう。
5. 両方もらえる場合もあれば、年金との調整が入る場合もある
児童手当と児童扶養手当は、それぞれ別の制度であるため、要件を満たせば基本的に両方受け取ることができます。一方で、児童扶養手当は、遺族年金・障害年金・老齢年金といった公的年金を受け取っている場合、年金額との間で併給調整が行われる仕組みになっています。
「ひとり親で年金も受け取っているから、児童扶養手当は全額もらえないはず」と単純に諦めていると、年金額によっては差額分の児童扶養手当を受け取れる場合があることを見落としがちです。年金を受け取っている場合こそ、実際の調整後の金額を確認する価値があります。
実務上、年金と児童扶養手当の併給調整は、年金の種類や金額によって計算が変わってきます。「年金をもらっているから対象外」と自己判断せず、まずは市区町村の窓口で、実際に受け取れる金額があるかどうかを確認することをおすすめします。
児童手当の支給日そのものの全国共通ルールについては、支給日の全国共通ルールを整理した別記事もあわせて確認してみてください。
6. 申請の窓口・必要な手続きも別々
児童手当と児童扶養手当は、支給の仕組みだけでなく、申請そのものも別々に行う必要があります。児童手当は、子どもが生まれたときや他の市区町村から転入したときに、現住所の市区町村へ「認定請求書」を提出することで手続きが始まります。児童扶養手当も同様に、市区町村への申請が必要で、児童手当の手続きをしたからといって自動的に認定されるわけではありません。
「児童手当の手続きをしたのだから、ひとり親向けの手当も自動的に始まるはず」と思い込んでいると、実際には別途申請しない限り、児童扶養手当を受け取れないまま何か月も過ぎてしまうことがあります。離婚や別居など状況が変わったタイミングでは、両方の制度について窓口に確認しておくことが大切です。
6.1 【児童手当と児童扶養手当、申請手続きの違い】
前提:こども家庭庁公表の資料に基づく編集部整理2/2
出所:LIMO編集部作成
- 手続き:児童手当=市区町村へ「認定請求書」を提出、児童扶養手当=市区町村へ別途申請が必要
- 自動連動の有無:どちらの申請も、もう一方の制度とは連動しません
7. 【編集者の視点】
実務上、申請が遅れると、遡って支給されるのは原則として申請月の翌月分からで、それより前の月分はさかのぼって受け取れないことが一般的です。状況が変わったら、できるだけ早く窓口で手続きを済ませておくことをおすすめします。
8. まとめ
- 児童手当は全世帯が対象、児童扶養手当はひとり親世帯などが主な対象と、対象者が異なります。
- 児童手当は偶数月、児童扶養手当は奇数月に支給されます。
- 要件を満たせば両方受け取れますが、児童扶養手当は公的年金との併給調整があります。
「名前が似ているから同じような制度」という思い込みは、対象者・支給月のどちらを見ても当てはまりません。ひとり親世帯であれば、児童手当の手続きだけで終わらせず、児童扶養手当の申請も忘れずに行うことが大切です。
年金を受け取っている場合も、自己判断で対象外と決めつけず、市区町村の窓口で実際の受給可否を確認してみることをおすすめします。
9. よくある質問
9.1 Q. 児童手当と児童扶養手当は、同じ制度ですか。
A. 別の制度です。児童手当は全世帯が対象ですが、児童扶養手当はひとり親世帯などが主な対象です。
9.2 Q. 児童手当と児童扶養手当は、同じ月に振り込まれますか。
A. 違います。児童手当は偶数月、児童扶養手当は奇数月に支給されます。
9.3 Q. 児童手当と児童扶養手当は、両方受け取れますか。
A. 要件を満たせば、両方受け取ることができます。
9.4 Q. 年金を受け取っていると、児童扶養手当はもらえませんか。
A. 年金額によって併給調整が行われますが、必ずしも全額もらえなくなるとは限りません。市区町村の窓口で確認するのが確実です。
参考資料
齊藤 慧
