「子どもが大きくなるほど、児童手当も増えていくはず」——そう思っている人ほど驚くのが、3歳という節目です。実は、児童手当の月額は子どもの成長とともに増えるのではなく、3歳を境に減ります。さらに、子どもの数が増える場合も、金額はじわじわ増えるのではなく、ある人数を境に一段跳ね上がる仕組みになっています。
この記事では、年齢・子の人数によって支給額がどう変わるのかを、こども家庭庁の公式情報にもとづき編集部が整理します。
1. 3歳を境に、手当は増えるのではなく減る
こども家庭庁が公表している児童手当制度の案内には、支給額について「3歳未満:1万5000円(第3子以降は3万円)」「3歳以上 高校生年代まで:1万円(第3子以降は3万円)」と明記されています。
ここで見落としやすいのが、区分の並び方です。「3歳未満」の金額のほうが「3歳以上」より高く設定されており、子どもの年齢が上がるにつれて金額が増えていくわけではありません。むしろ、3歳の誕生日をまたいだ時点で、月5000円分、支給額が下がる仕組みになっています。
1.1 【年齢区分別の児童手当の月額(第1子・第2子の場合)】
- 3歳未満:1万5000円
- 3歳以上 高校生年代まで:1万円
2. 【編集者の視点】
この「3歳」という節目は、0〜2歳児の育児は特に費用がかさむという制度側の考え方が背景にあるとみられます。とはいえ、家計の立場からすれば「今後は手当が増える」という思い込みのまま予算を組んでしまうと、見込み違いが生じかねません。
※本記事は、編集部がこども家庭庁が公表する公式の最新情報を直接確認の上、執筆・検証しています。
3. 第1子→第2子は金額が変わらず、第2子→第3子だけ跳ね上がる
年齢区分による金額の変動とは別に、子どもの人数による変化も確認しておく必要があります。こども家庭庁の案内によると、月額の区分には「第1子・第2子」と「第3子以降」の2つしかありません。第1子と第2子の間には金額差が設けられておらず、子どもが1人から2人に増えても、1人あたりの月額は変わりません。
金額が変わるのは、子どもが3人目(第3子以降)になった時だけです。しかも、年齢区分による段階的な変化とは違い、第3子以降は年齢にかかわらず一律3万円に跳ね上がります。子どもの数に応じて金額が少しずつ積み上がっていくイメージを持っていると、この「変わらない→急に変わる」という階段状の構造に戸惑うかもしれません。
3.1 【第1子・第2子・第3子以降の月額比較】
- 3歳未満・第1子/第2子:1万5000円
- 3歳未満・第3子以降:3万円
- 3歳以上 高校生年代まで・第1子/第2子:1万円
- 3歳以上 高校生年代まで・第3子以降:3万円
4. 差額は年齢区分によって1万5000円〜2万円まで変わる
第1子・第2子と第3子以降の差額は、年齢区分によって異なります。3歳未満の場合、第1子・第2子は1万5000円、第3子以降は3万円なので、差額は1万5000円です。一方、3歳以上 高校生年代までの場合、第1子・第2子は1万円、第3子以降は3万円のため、差額は2万円に広がります。
つまり、子どもが3歳以上になってから第3子が生まれた場合のほうが、月額の差額そのものは大きくなる計算です。年齢区分をまたいで比較すると、この差額の広がり方も見えてきます。なお、「第3子以降」に該当するかどうかの数え方には、上の子の年齢によって独自のルールがあり、単純に生まれた順番だけでは決まりません。具体的なカウント方法については、別記事で詳しく解説しています。
4.1 【子の人数・年齢構成による月額の違い(編集部試算)】
- 第1子(3歳以上)のみ:1万円
- 第1子(3歳以上)+第2子(3歳未満):2万5000円
- 第1子・第2子(ともに3歳以上)+第3子(3歳未満):5万円
5. 1年間で見ると、差額は18万円〜24万円になる
月額の差額を、1年間の金額に換算するとどうなるかも確認しておきます。3歳未満の差額(月1万5000円)を12カ月分にすると、年間で18万円です。3歳以上 高校生年代までの差額(月2万円)を12カ月分にすると、年間で24万円になります。
月単位で見ると数千円〜2万円程度の差でも、1年間積み重なると10万円台後半〜20万円台半ばというまとまった金額になります。
6. 上の子が22歳になるまでは、「第3子」のカウントに影響する
ここまで確認してきた「第3子以降で月額3万円」という仕組みには、もう一つ見落としやすい注意点があります。こども家庭庁の案内には、第3子以降のカウント対象について「18歳に達する日以後の最初の3月31日を経過した後の22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあって親等に経済的負担のある子」という記述があります。
つまり、児童手当の支給対象(高校生年代まで)を卒業した上の子であっても、22歳の年度末までは「兄姉」としてカウントに含められる場合があります。上の子が高校を卒業した途端に、下の子の「第◯子」という順番が繰り上がって金額が変わる、と単純には言い切れない仕組みになっている点に注意が必要です。
「上の子が高校を卒業したから、下の子の手当も減るのでは」と不安になる家庭もあるかもしれませんが、具体的な要件は別記事で詳しく確認することをおすすめします。
7. 「高校生年代まで」とは、具体的にいつまでを指すか
支給額の区分に出てくる「高校生年代まで」という言葉も、正確な定義を確認しておく必要があります。こども家庭庁の案内では、支給対象を「0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子」と定義しています。
つまり、18歳の誕生日を迎えた時点ですぐに支給が終わるわけではなく、その後最初にやってくる3月31日まで支給対象が続きます。実際の学年でいえば、高校3年生の年度末までが目安になります。
8. 【編集者の視点】
今回整理した月額はあくまで毎月の金額であり、0歳から高校卒業までの受け取り総額がいくらになるかは、家族構成によって大きく変わります。子育て世帯が受けられる支援制度は児童手当だけではなく、住民税非課税世帯であれば高額療養費や修学支援など別の優遇措置も重なってくるため、あわせて確認しておくと家計全体の見通しを立てやすくなります。
9. まとめ
- 児童手当は、3歳未満は月額1万5000円、3歳〜高校生年代は月額1万円です。
- 3歳を境に、月額は増えるのではなく5000円減ります。
- 第1子・第2子の月額は同じで、第3子以降になった時だけ月額が一律3万円に跳ね上がります。
- 第1子・第2子と第3子以降の差額は、3歳未満なら1万5000円、3歳以上 高校生年代までなら2万円です。
- 上の子が高校生年代を卒業しても、22歳の年度末までは第3子以降のカウントに影響することがあります。
- 「高校生年代まで」とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までを指します。
児童手当の金額は、子どもが成長するほど増えるという直感とは逆に3歳を境に一段階下がり、子どもの数が増える場合も、じわじわ増えるのではなく第3子以降で一段跳ね上がるという、2つの「階段状」の構造を持っています。家計の見込みを立てる際は、この2つのタイミングを踏まえておくことが大切です。住民税非課税世帯に該当する年収の目安と照らし合わせると、児童手当以外の支援策も見えてきます。
第3子以降の数え方や、18年間の受け取り総額など、より詳しい試算を知りたい場合は、関連記事もあわせて確認することをおすすめします。
10. よくある質問
10.1 Q. 児童手当は子どもが大きくなるほど増えますか。
A. いいえ、逆です。3歳未満は月額1万5000円ですが、3歳以上になると月額1万円に下がります。
10.2 Q. 児童手当は子どもの数が増えるたびに少しずつ増えますか。
A. いいえ。第1子と第2子の月額は同じで、第3子以降になった時だけ一律3万円に増額されます。
10.3 Q. 第3子以降は何歳まで月3万円ですか。
A. 年齢にかかわらず、高校生年代まで一律で月額3万円が支給されます。
10.4 Q. 「高校生年代まで」とは具体的にいつまでですか。
A. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までです。18歳の誕生日を迎えた時点ではなく、その後の年度末までが対象になります。
10.5 Q. 第3子かどうかはどうやって数えますか。
A. 児童及びその兄姉等のうち、年齢が上の子から数えて3人目以降の子が対象です。詳しい数え方は別記事で解説しています。
10.6 Q. 上の子が高校を卒業したら、下の子の手当は減りますか。
A. 必ずしも減るとは限りません。上の子が22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間は、経済的負担のある子として第3子以降のカウントに含められる場合があります。
参考資料
齊藤 慧
