9月1日から、日本年金機構は年金生活者支援給付金の請求書(はがき型)を順次送付しています。新たに対象となった方に届くものです。
では、実際にいくら受け取っているのでしょうか。厚生労働省の集計では、老齢年金生活者支援給付金の平均は月4146円でした。
ただ、これは全国をならした数字です。都道府県別に見ると差が見られます。
今回は、この地域ごとの金額を一覧にします。そのうえで、額を決めているものが何なのかを確かめます。
1. 【年金生活者支援給付金】全国の平均は月4146円。受け取っているのは450万人
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば令和6年度末現在、年金生活者支援給付金を受け取っているのは781万9978件です。内訳は老齢450万4441件、補足的老齢106万664件、障害217万7166件、遺族7万7707件でした。
このうち老齢の給付金額は、月あたり186億7400万円でした。450万4441件で割ると、1件あたり月4146円になります。
いっぽう、令和6年度の給付基準額は月5310円でした。給付基準額は、保険料を480月すべて納めた方に対応する額で、年度ごとに改定されます。平均4146円は、その78.1%にあたります。
ただし、この5310円は上限ではありません。保険料の免除を受けた期間があると、5310円を超えることもあります。理由は後半で見ます。
なお、令和8年度の給付基準額は月5620円に上がっています。ただし、こちらは今年度の額で、平均4146円は令和6年度末の集計です。年度が違うため、この2つを直接引き算することはできません。
2. 都道府県別では平均いくらか?計算してみた。最も高い沖縄は月5321円、最も低い神奈川は月3605円
同じ概況には、都道府県別の件数と給付金額が載っています。ただし、1件あたりいくらかという欄はありません。そこで、給付金額を件数で割って並べてみます。
たとえば沖縄県は、老齢の給付金額が月あたり3億7800万円で、件数は7万1036件。割ると1件あたり5321円になります。神奈川県は9億9400万円を27万5698件で割って3605円です。以下の一覧は、この計算を47都道府県ぶん行ったものになります。
老齢年金生活者支援給付金の平均月額(都道府県別・上位8と下位8)1/2
出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」年金生活者支援給付金の状況(3)都道府県別をもとにLIMO編集部作成
高いほうは沖縄5321円、岩手4849円、青森4809円と続き、低いほうは神奈川3605円、東京3783円、埼玉3812円の順でした。8つずつの並びは図のとおりです。
最も高い沖縄と最も低い神奈川で1716円、約1.48倍の開きです。上位には東北と九州・沖縄の県が並び、下位には大都市を抱える都府県が集まりました。
なお、県ごとの額はこの割り算で出した計算値で、原典がそのまま公表している数字ではありません。もとの給付金額が百万円の単位で丸められているため、1円単位まで確定しているわけではありません。件数の少ない県ほど幅が広く、最も少ない福井県では上下35円ほど動きます。佐賀4606円、熊本4600円、高知4588円のように数円差で並ぶところは、順位が入れ替わる場合も考えられます。
沖縄の5321円は令和6年度の基準額5310円を上回っています。
3. 支給額を決めている2つの式とは?
なぜ地域でこれだけ違うのか。額の決まり方から確かめます。
日本年金機構によると、老齢年金生活者支援給付金は次の2つの合計になります。令和8年度の額です。
1つめは納付済期間に基づく額、2つめは免除を受けた期間に基づく額です。どちらも期間を480月で割り、それぞれの単価を掛けます。
ここが見落とされやすいところです。免除期間に掛ける1万1768円は、納付済期間の5620円の2倍以上あります。この額は老齢基礎年金満額(月額)の6分の1にあたり、4分の1免除の期間については5884円(12分の1)になります。
日本年金機構が示している例では、納付済240カ月・全額免除60カ月の方で合計4281円になります。納付済期間のほうが4倍長いですが、免除期間から出る額がおよそ3分の1を占めています。
4. 【対象となる人】受け取れるかどうかの3つの条件とは?
金額の前に、そもそも受け取れるかどうかの条件も確かめておきます。
対象になるのは、65歳以上で老齢基礎年金を受けている方のうち、世帯全員の市町村民税が非課税で、前年の年金収入とその他の所得の合計が一定額以下の方です。
この一定額には線が2本あります。1本目を下回れば老齢年金生活者支援給付金、2本のあいだに入れば補足的老齢年金生活者支援給付金です。額は生まれた年で変わり、昭和31年4月2日以後生まれの方は82万6500円と92万6500円、それ以前の方は82万4100円と92万4100円になります。
つまり1本目を超えたところで終わりではありません。冒頭で見たとおり、2本の線のあいだにいる方が補足的老齢年金生活者支援給付金をうけ、106万664件を占めています。
5. 【9月に請求書送付】手続きは?自分がいくらもらえるかの月額の目安ははがきに書いてある
今回は老齢年金生活者支援給付金について説明しましたが、新たに対象となり9月にはがきが届いた方は、まず、必要事項(原則3カ所)を書いて返送しましょう。日本年金機構によると、はがき型が届いた方は電子申請でも提出できます。
はがきが届いていない方もいます。日本年金機構によると、要件に当てはまるかどうかを確認できない場合は、はがき型ではなく「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得状況届」が届きます。届く書類の形が違うだけで、こちらも請求の手続きです。
なお、自分がいくら貰えるかの目安は、請求した場合に支給される見込額(月額)が請求書に記載されていますのでそちらで確認できます。手続きをした後、支給要件を満たしている方には「支給決定通知書」、そして「振込通知書」が順次送られます。
年金額は毎年度改定され、令和8年度は給付基準額が3.2%の引き上げになりました。すでに受け取っている方には、毎年6月に「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」という書類も送られます。
個別の対象可否や金額で不明点があれば、お近くの年金事務所か、日本年金機構の給付金専用ダイヤルにお問い合わせください。
6. 元証券会社社員の執筆者コメント
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「令和8年度の年金額および年金生活者支援給付金支給金額の改定について」
宮野 茉莉子
