4. 60歳代前半の平均が低いのは繰上げ受給が含まれるため
年代別の一覧表で、60歳代前半だけ大きく低い理由を確認しておきましょう。
4.1 4万7138円にとどまる
60歳から64歳の小計は4万7138円で、65歳から69歳の6万1240円より1万4102円低くなっています。
老齢基礎年金は原則65歳から受け取る年金ですので、60歳代前半で受け取っているのは繰上げ受給を選んだ方です。
4.2 繰上げは減額されて生涯続く
日本年金機構によると、繰上げ受給の請求をすると請求した時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わりません。減額率は1か月あたり0.4%で、最大24%です。
60歳代前半の平均が低いのは、この減額が反映されているためです。
5. 国民年金の額は納めた期間だけで決まる
男女差が生まれる背景を確認しておきましょう。
5.1 保険料は全員一律なので報酬は関係ない
国民年金の保険料は所得にかかわらず全員一律です。厚生年金のように報酬で額が変わる仕組みではありません。
受け取る額は、保険料を納めた期間の長さだけで決まります。40年間欠かさず納めると満額になります。つまり男女の差は、報酬の差ではなく納付済期間の差から生まれています。
5.2 この数字は世代を横に並べたもの
一覧表に並んでいるのは、同じ人の年金額が年齢とともに変わった記録ではありません。令和6年度末の時点でその年齢だった方を、それぞれ集計した数字です。
90歳以上の女性と65歳の女性では、加入していた時期も制度の状況も違います。世代ごとの違いが表れていると読むのが正確です。
6. 年金からは保険料が差し引かれる
自治体で保険料の計算を担当していた立場から、あわせて確認しておきたい点を挙げます。
6.1 介護保険料と医療保険の保険料が天引きされる
年金からは、介護保険料と、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料が差し引かれます。特別徴収と呼ばれる仕組みで、あらかじめ引かれた額が振り込まれます。
窓口では「振込額が思っていたより少ない」という相談を受けることがありました。振込通知書に記載された控除額を見ると、内訳が分かります。
6.2 年金額が少ないと天引きされない場合がある
年金額が一定の水準に届かない場合は、特別徴収の対象にならず自分で納める形になります。この場合は納付書や口座振替での納付になります。
どちらの扱いになるかは、お住まいの市区町村の担当窓口で確認できます。
7. 自分の年金額を確かめる3つの方法
最後に、自分の年金額を確かめる3つの方法をまとめます。
7.1 「ねんきん定期便」で納付済期間を見る
国民年金の額は納めた期間で決まりますので、まず自分の納付済期間を確かめるところからです。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」に記載されています。
「ねんきんネット」を使えば、いつでも確認できます。
7.2 受け取り始める年齢を決める前に相談する
60歳代前半で受け取ると減額が生涯続きます。繰上げるかどうかは一人ひとりの状況で結論が変わりますので、年金事務所や街角の年金相談センターで相談してみてください。
7.3 天引き額は市区町村の窓口で聞く
年金から差し引かれる保険料については、お住まいの市区町村の担当窓口で相談できます。額面と手元に残る額の両方を把握しておくと、見通しが立てやすくなります。
8. 国民年金は65歳から67歳だけ女性が上回る
厚生年金保険・国民年金事業年報によると、令和6年度末現在の国民年金の平均年金月額は、65歳が男子6万824円・女子6万1604円で女子が780円高くなっています。66歳は337円、67歳は75円の差で、いずれも女子が上です。
68歳からは男子が上に戻り、年齢が上がるほど差は広がります。90歳以上では男子6万2679円、女子5万2906円で9773円の差でした。
合計では男子6万1595円、女子5万7582円です。次の支給日は10月15日ですので、振込額の内訳を確かめるところから始めてみてください。
参考資料
太田 彩子