日本で純金融資産を1億円以上持つ世帯が、推計の始まった2005年以降で最も多くなっています。
野村総合研究所が2025年2月13日に公表した推計によると、富裕層と超富裕層を合わせた世帯数は165万3000世帯、その純金融資産の総額は469兆円です。全世帯に占める割合は約3%にあたります。
一方で、年収1200万円以上の世帯の金融資産保有額は平均5635万円。1億円という線には届かないものの、資産の半分を運用に回しているという姿も見えてきます。
この記事では、富裕層の定義と世帯数の推移、新しいタイプの富裕層、そして世帯年収別の金融商品保有額を確認していきます。
なお、富裕層の定義と世帯数に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 日本の富裕層はどう定義されている?純金融資産で5つの層に分かれる
「富裕層」と呼ばれる資産家たちは、どのような世帯なのでしょうか。
野村総合研究所が2025年2月13日に公表したニュースリリースでは、純金融資産保有額(※)に応じて世帯を以下の5つの層に分類しています。
※純金融資産保有額:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いたもの
1.1 純金融資産保有額の階層別にみた「保有資産規模と世帯数」

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- マス層(3000万円未満)
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満)
- 富裕層(1億円以上5億円未満)
- 超富裕層(5億円以上)
富裕層の定義と割合については、「【最新データ】日本の富裕層の割合は?年代別の平均貯蓄額と年収別データから見る資産形成の最適解」から要点を引用して確認してみます。
- 富裕層:世帯の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満
- 超富裕層:世帯の純金融資産保有額が5億円以上
富裕層・超富裕層の世帯が全体に占める割合は、以下の通りです。
- 富裕層:約2.75%
- 超富裕層:約0.21%
出所:【最新データ】日本の富裕層の割合は?年代別の平均貯蓄額と年収別データから見る資産形成の最適解
この2つを合わせた世帯数は165万3000世帯に達し、全世帯の約3%を占めます。
この合計世帯数は、推計が開始された2005年以降で最多です。また、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も2013年以降、継続的に増加傾向となっています。
2. 純金融資産1億円以上は165万3000世帯、資産総額は469兆円で過去最多
「超富裕層」と「富裕層」を合わせた、純金融資産1億円以上を持つ資産家たちについて、世帯数や資産総額の推移をみていきます。
2.1 世帯数と資産総額の推移
- 2005年:86万5000世帯・213兆円
- 2007年:90万3000世帯・254兆円
- 2009年:84万5000世帯・195兆円
- 2011年:81万世帯・188兆円
- 2013年:100万7000世帯・241兆円
- 2015年:121万7000世帯・272兆円
- 2017年:126万7000世帯・299兆円
- 2019年:132万7000世帯・333兆円
- 2021年:148万5000世帯・364兆円
- 2023年:165万3000世帯・469兆円
富裕層と超富裕層の世帯数と資産総額は、世界金融危機や東日本大震災などの影響を受けて一時的に落ち込んだものの、長期的に見ると増加傾向にあります。
とくに2021年から2023年にかけての伸びは顕著です。この背景には、株価上昇や円安による資産価値の増大などがあったことが、同調査レポートでは指摘されています。
2.2 【一覧表】5つの層の世帯数と純金融資産保有規模(2023年)
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円
- マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円
富裕層と超富裕層が保有する資産の合計は、前回調査より約3割増えて469兆円になりました。全世帯の保有資産額の26.1%が、この2つの層に集中していることになります。
1億円以上を持つ世帯にどのような共通点があるのかはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
資産1億円以上の富裕層に共通する3つの特徴!お金が自然と貯まる人の思考と行動【元FP会社職員監修】 元FP会社職員が見てきた資産形成が上手なお客様に共通する点も紹介
3. 相続に頼らない新しい富裕層「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」
今回の調査では「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる、新しいタイプの富裕層たちの出現が指摘されています。
3.1 株式投資で到達した40歳代後半から50歳代の会社員
「いつの間にか富裕層」は、株式投資などを通じて富裕層の仲間入りをした、40歳代後半から50歳代の一般の会社員を中心とする層です。
高い金融リテラシーを持つ一方で、富裕層向けの専門的な金融商品や高度な資産管理には不慣れな面もあるとされます。
3.2 年収3000万円超の共働き世帯が50歳前後で到達
「スーパーパワーファミリー」は、都市部に住む年収3000万円を超える共働き世帯に代表される層です。
20歳~30歳代の間は、教育費や住宅ローンなどの支払いに苦労するものの、昇格・昇給により40歳前後から資産が急速に増加する傾向があり、高収入を背景に50歳前後で富裕層に到達する可能性が高いとされます。
この「新しい富裕層」に共通するのは、相続や親の資産に頼らずとも、自分自身のキャリア形成や金融知識によって資産を築いている点と言えるでしょう。
4. 世帯年収別にみる金融商品の保有額。年収1200万円以上は資産の半分が運用に
2025年12月、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」の結果から、世帯年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきます。
4.1 我が家と比較!世帯年収別にみる種類別の金融商品保有額
全体の金融資産保有額はどうなっている?
全国:1940万円
- 収入はない:634万円
- 300万円未満:858万円
- 300~500万円未満:1431万円
- 500~750万円未満:1755万円
- 750~1000万円未満:2222万円
- 1000~1200万円未満:2725万円
- 1200万円以上:5635万円
安心の土台となる「預貯金」の保有額
全国:745万円
- 収入はない:385万円
- 300万円未満:368万円
- 300~500万円未満:631万円
- 500~750万円未満:693万円
- 750~1000万円未満:908万円
- 1000~1200万円未満:1028万円
- 1200万円以上:1649万円
安定性を重視する「債券」の保有額
全国:78万円
- 収入はない:7万円
- 300万円未満:36万円
- 300~500万円未満:54万円
- 500~750万円未満:58万円
- 750~1000万円未満:67万円
- 1000~1200万円未満:91万円
- 1200万円以上:343万円
積極的な運用を目指す「株式」の保有額
全国:433万円
- 収入はない:33万円
- 300万円未満:191万円
- 300~500万円未満:235万円
- 500~750万円未満:365万円
- 750~1000万円未満:434万円
- 1000~1200万円未満:572万円
- 1200万円以上:1792万円
分散投資の定番「投資信託」の保有額
全国:216万円
- 収入はない:153万円
- 300万円未満:79万円
- 300~500万円未満:167万円
- 500~750万円未満:189万円
- 750~1000万円未満:238万円
- 1000~1200万円未満:292万円
- 1200万円以上:682万円
気になる「債券・株式・投資信託の合計額」と全体に占める割合
全国:727万円(37.5%)
- 収入はない:193万円(30.4%)
- 300万円未満:306万円(35.7%)
- 300~500万円未満:456万円(31.9%)
- 500~750万円未満:612万円(34.9%)
- 750~1000万円未満:739万円(33.3%)
- 1000~1200万円未満:955万円(35.0%)
- 1200万円以上:2817万円(50.0%)
データを見ると「債券・株式・投資信託」への投資額そのものは、年収とある程度相関しています。
金融資産保有額全体に占める割合を見ると、年収が1200万円未満の層ではおおむね30%台です。資産運用が一部の富裕層だけのものではなく、標準的な年収の世帯にも普及している様子がうかがえます。
一方で、年収が1200万円以上の層は、金融資産保有額全体に占める「債券・株式・投資信託」の割合が50.0%となっており、資産運用を活用した資産形成に積極的に取り組んでいる様子が確認できました。
インフレが進む今、預貯金だけに頼らず、家計に合った無理のない投資で資産を育てることも選択肢の1つです。
ライフスタイルや保有している資産全体のバランスも踏まえたうえで、ご自身のリスク許容度に合った資産形成の方法を選んでいくことが大切になります。
年収1200万円以上の層だけが資産の半分を運用に回している一方で、そこに至らない層でも3割台が運用に向かっています。差がついているのは、運用しているかどうかよりも、回している割合のほうです。
私自身、20歳のときに値動きを追いかけて損を出した経験があります。割合を上げること自体が目的になると、下がった局面で耐えられなくなります。増やす部分をどこまで持つかは、下がったときに手放さずにいられる範囲で決めておくのが現実的です。

