9. 50歳代に多い「手続きが必要なものがいろいろあるらしいが、いつまでに何をすればよいのか把握しきれていない」というご相談。ファイナンシャルアドバイザー・川勝 隆登が伝えたいこと

公的なものの中には、条件に当てはまっていても、自分で手続きをしないと受け取れないものがあります。そして、その手続きの中には期限が設けられているものもあります。そう聞いてはいるものの、何が自分に関係するのか、いつまでに何をすればよいのかまでは分からない。そうしたご相談は、50歳代の方から少なくありません。

9.1 50歳代に多いお悩み相談は「手続きが必要なものがいろいろあるらしいが、いつまでに何をすればよいのか把握しきれていない」

50歳代(ご相談者)
公的なものの中には、自分で手続きをしないと受け取れないものがあると聞きました。ただ、何が自分に関係するのか、いつまでに何をすればよいのかまでは把握しきれていません。書類が届いていたのかもしれませんが、そのときに読まないまましまってしまい、いまどこにあるのかも分かりません。知らないうちに期限が過ぎてしまっているものがあるのではないかと気になっています。

同じように、手続きが要るらしいという話は耳にしていても、その全体像がつかめないままだという方は多くいらっしゃいます。関心がなかったわけではなく、どこを見れば自分に関係するものが分かるのか、その入り口が見つからないうちに時間が過ぎてしまった、という状況です。

9.2 【ファイナンシャルアドバイザー・川勝 隆登が回答】見落とさないための仕組みをつくるところから

川勝 隆登
必要な手続きをすべて完璧に把握することは難しいため、まずは郵便などで届いた通知をまとめておくことから始めましょう。年齢によっては公的な制度などで多くの通知が届くと思います。様々な制度の通知が届き気づかなかったとなるのは仕方ない要素もありますので、それを頭で管理しておくのではなく、箱やファイルで保存しておくなどの工夫をしていくことから始めていきたいところです。まとめておくことで期限物を把握しやすくなり、冷静に対応しやすくなります。もちろんまとめるだけでは積みあがるだけになるので、確認する日を決めておくことも忘れないようにしましょう。

9.3 ポイント1:見落としが起きるのは、気づきにくい形で届く仕組みのほうに理由がある

公的なものには、条件に当てはまれば自動的に反映されるものと、自分で申し出て初めて動き出すものがあります。後者の中には、申し出のできる期間が定められているものもあります。ただ、そのお知らせは日常のやりとりに紛れる形で郵便物として届くことが多く、封を開けた時点では自分に関係があるのかどうかが判断しにくいものです。相談の場では「知らせが来ていた気はするけれど、内容までは見ていなかった」というお話をよくうかがいます。これは、注意が足りなかったという話ではありません。関係のある人だけに分かりやすく届くようにはできていない、という仕組みの側の事情が大きいと考えています。ですから、気づかなかったご自身を責める必要はなく、気づける形をこちらで用意しておく、という考え方に切り替えていただくほうが前に進みやすくなります。

9.4 ポイント2:届いた通知を一カ所にまとめて置くと、期限のあるものが目に入る

仕組みづくりとしていちばん手をつけやすいのは、置き場所を一つに決めることです。年金や雇用に関するもの、勤め先から配られる書類、自治体から届くお知らせなど、公的な差出人からの封書をひとまとめにしておく箱やファイルを一つ用意します。中身を読み込む必要はありません。届いたらそこに入れる、それだけを決めておきます。ばらばらにしまってしまうと、あとから探すときに「そもそも届いていたのか」から確かめることになり、それだけで手が止まりがちです。一カ所にまとまっていれば、期限や返送についての記載があるものが並んで目に入るため、確認すべきものを拾い出しやすくなります。開封したものと未開封のものを分けておくと、さらに見通しが立ちます。

9.5 ポイント3:年に一度確かめる日を決め、家族とも共有しておく

まとめて置くだけでは、開かないまま積み上がってしまうこともあります。そこで、年に一度、その箱を開いて中身に目を通す日をあらかじめ決めておきます。誕生月やご自身の区切りのよい時期など、思い出しやすい日であれば何日でも構いません。あわせて、どこに何をまとめているのかをご家族にも伝えておくと、ご本人が体調を崩されたときや手が離せない時期でも、確認が止まらずに済みます。なお、手続きの中には、受け取り方や置き場所をご自身で選ぶものも含まれます。値動きのあるもので運用する仕組みでは、受け取るときまでに価格が変動し、積み立てた金額を下回る可能性もある点は、あらかじめ知っておきたいところです。制度によって期限の有無も長さも異なり、内容は改正されることがあるため、最新の内容は公的機関の情報や関連する窓口でご確認ください。

期限のあるものをすべて覚えておく必要はありません。届いたものが集まる場所と、それを開く日が決まっていれば、思い出す力に頼らずに済みます。まずはその二つを決めるところから始めていただければ十分だと考えています。

10. まとめにかえて

手続きの期限は、意識していなかったから見落とすというよりも、自分に関係のあるものだと気づけないまま時間が過ぎてしまう、という形で過ぎていくものです。ですから、対策として効くのは、覚えておこうと気を張ることではなく、気づける形を先につくっておくことです。届いたものを一カ所に集める、年に一度そこを開く、その場所を家族にも伝えておく。この三つがそろっているだけで、確認すべきものが視界に入るようになります。期限の有無や長さ、必要な書類は制度によって異なり、内容が改正されることもあります。ご自身に関係するものを具体的に知りたいときは、公的機関の情報や関連する窓口でご確認のうえ、判断に迷う場面では必要に応じて専門家にもご相談ください。この記事でお伝えした内容は一般的な考え方であり、当てはまる手続きや進め方は一人ひとり異なります。

参考資料

川勝 隆登