6. 40歳代に多い「大きなお金を一度に入れるのが怖い」というご相談。ファイナンシャルアドバイザー・鶴田 綾が伝えたいこと
まとまった資金の入れ方について、日頃のご相談でよくうかがうのが「頭では分かっているのに、手が止まってしまう」という声です。投資の経験がある方でも、金額が大きくなると同じところでつまずくことは少なくありません。
6.1 40歳代に多いお悩み相談は「大きなお金を一度に入れるのが怖い」

怖いという言葉が先に出てくるとき、迷っているのは金額そのものではなく、決めたあとの自分の気持ちであることがよくあります。
6.2 【ファイナンシャルアドバイザー・鶴田 綾が回答】怖さは打ち消さず、入れ方の側を決める
例えば、「老後資金が数千万円必要だけど、貯金だけだと準備できそうにないから少しでも増える期待ができる投資で準備したいから」等です。
なぜ投資が必要かの理由が明確になったら、次に目標金額を設定します。
目標金額が決まれば、次にどうやって運用するかのプランを決めます。
金融庁の資料によると、積立投資は投資期間が20年以上の場合、元本割れを起こすリスクは0というデータもあるため、20年に分けて少しずつ投資するのもアリでしょう。
また、金融商品の中には貯蓄型保険など契約時に将来受け取れる金額がきまっているものもあるので、そういった商品に一括で投資するのも一案です。
自分の目標額を達成させるために必要なリターンが期待できるか、また自分のリスク許容度を超えないかに焦点をあてて資産運用のプランを立てましょう。
6.3 ポイント1:怖いという感覚は、消すものではなく判断の材料として扱う
相談の場では、投資の経験がある方ほど「理屈は分かっているのに手が動かない」とおっしゃることがあります。値動きのある資産は、入れた直後に下がることも上がることもあり、投じた額を下回る可能性は残ります。怖いという感覚は、その可能性をご自身なりに受け止めている印とも言えます。無理に打ち消そうとするより、どこまでの値動きなら受け止められそうかを測る材料として扱うほうが、そのあとの判断がぶれにくくなります。気持ちを抑え込んで決めた結論は、値動きが出たときに揺り戻しが起きやすいものです。
6.4 ポイント2:分けて入れる期間は、相場ではなく自分が見届けられる長さで区切る
時間を分けて入れる、いわゆる時間分散は、買う時期をずらして買値をならしていく考え方です。ここで誤解されやすいのですが、分けて入れても値下がりそのものを避けられるわけではありません。分けている途中に下がることもあれば、待っている間に上がることもあります。ですから、期間の長さを相場の見通しに預けてしまうと、いつまでも決まりません。相談の場では、ご自身が最後まで見届けられる長さかどうかで区切るほうが続きやすい、という整理に行き着くことが少なくありません。家計の予定や気持ちの余裕から逆算して、終わりのある形にしておくという考え方もあります。
6.5 ポイント3:決めた後に気が変わったときの扱いを、先に決めておく
分けて入れると決めても、途中で相場が動けば気持ちは揺れます。下がれば止めたほうがよいのではと思い、上がればまとめて入れておけばよかったと思う。どちらも自然な反応です。難しいのは、そのときに初めて考え始めると、直前の値動きに引きずられた判断になりやすいことです。そこで、決めた時点で「途中でやめたくなったらどうするか」「予定を変えるとしたら何を見て変えるか」を、ご自身の言葉で書き留めておくという方法があります。変えてはいけないということではありません。変えるときの手順を先に持っておくと、迷いがそのまま判断の中断にならずに済みます。
一度に入れるか、分けて入れるか。どちらが有利になるかを言い当てられる方はいませんが、どちらを選ぶにしても、決め方そのものはご自身の手元に置いておけます。
7. まとめにかえて
まとまった資金の入れ方に迷うとき、答えを出しにくくしているのは、金額の大きさよりも「決めたあとに後悔したくない」という気持ちであることが少なくありません。値動きのある資産である以上、投じた額を下回る可能性は残りますし、それは入れ方を工夫しても消えるものではありません。だからこそ、消えないものは消そうとせず、ご自身で決められる部分、たとえばどのくらいの期間をかけて入れるか、途中で気が変わったらどう扱うかを先に決めておくことが助けになります。ここで触れたのは一般的な整理であり、適した進め方は資金の使い道やご家庭の状況によって変わります。判断に迷うときは、ご自身の状況を前提にした個別のご相談もご検討ください。
参考資料
- LIMO「資産1億円以上の富裕層に共通する3つの特徴!お金が自然と貯まる人の思考と行動【元FP会社職員監修】」
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
鶴田 綾
