3. 【新NISA】月1万円から10万円まで、20年でどれだけ差がつくか積み立てシミュレーション。平均年利率0.306%vs想定利回り年3%

ここからが本題です。積立額ごとに、預金と投資を並べてみます。

条件は、毎月一定額を20年間(240カ月)積み立て、複利で計算したものです。預金は普通預金の平均年利率0.306%、投資は想定利回り年3%を置いています。

月1万円から10万円まで。20年積み立てたときの預金と投資2/2

月1万円から10万円まで。20年積み立てたときの預金と投資

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」をもとにLIMO編集部作成

図が積立額ごとの一覧です。ご自身の積立額に近い行をみてください。

  • 月1万円:元本240万円/預金247万4636円/投資328万3020円/差80万8384円
  • 月3万円:元本720万円/預金742万3908円/投資984万9060円/差242万5152円
  • 月5万円:元本1200万円/預金1237万3181円/投資1641万5100円/差404万1919円
  • 月10万円:元本2400万円/預金2474万6361円/投資3283万200円/差808万3839円

月1万円でも、20年で80万8384円の差になりました。

月3万円だと242万5152円、月5万円で404万1919円、月10万円では808万3839円です。積立額に比例して差も広がります。

預金側の利息にも目を向けておきます。月1万円で7万4636円、月3万円で22万3908円、月5万円で37万3181円、月10万円で74万6361円でした。

元本に対する増え方が、預金と投資では大きく違うことが分かります。年0.306%と年3%という前提の差が、20年という時間で積み上がった形です。

なお、これらはあくまで一定の利回りを置いた試算です。金融庁の「つみたてシミュレーター」でも、毎月の積立金額・想定利回り(年率)・積立期間を入れて同じ条件を確かめられます。また、運用には損をするリスクもあれば、何%で運用できたかは最後にならないとわかりません。

4. シミュレーションをみるときに、気をつけたいこと

ここまでの数字は、いくつかの前提の上に成り立っています。読むうえで押さえておきたい点を挙げておきます。

まず、年3%という利回りは保証されたものではありません。あくまで前提として置いた数字で、実際には値上がりすることも値下がりすることもあります。

投資には元本割れの可能性があり、預金のように元本が保証される仕組みではないという点が、いちばん大きな違いです。金融庁も、つみたてシミュレーターの結果について、将来の結果を予測し保証するものではないとしています。

次に、この試算には税金と手数料を含めていません。実際には投資信託の運用にかかる費用があり、預金の利息にも税金がかかります。NISA口座で得られる利益が非課税になるという制度の利点は、この試算の外にある要素だとお考えください。

また、預金の金利は今後も動きます。日本銀行の統計でも、普通預金の平均年利率はこの1年で0.183%から0.306%へ変わりました。20年間ずっと同じ金利が続くわけではありませんし、投資の利回りも同じように一定ではありません。

そして、預金と投資は役割が違います。すぐに使うお金や、なくなっては困るお金を投資に回すと、必要なときに値下がりしている可能性があります。どちらか一方を選ぶというより、使う時期で分けて考えるほうが現実的です。

金融商品の選び方や、ご自身に合う配分については個別の事情で変わります。具体的なことはご自身でしっかりと情報収集をした上で、ご自身の判断で進めてください。

5. まとめにかえて

今回は、預金の金利が上がったあとで、20年積み立てると投資とどれだけ差がつくのかを積立額ごとにみてきました。

普通預金の平均年利率は2026年8月時点で0.306%。1年前の0.183%から上がりましたが、月3万円を20年積み立てたときに増える利息の差は9万1095円でした。

同じ月3万円・20年で、年3%で運用できた場合は984万9060円。預金の742万3908円との差は242万5152円です。

月1万円でも80万8384円、月10万円なら808万3839円の差になりました。積立額に比例して開きは広がります。

制度の面では、新NISAの年間投資枠はつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円で合計360万円。非課税保有限度額は1800万円で、非課税保有期間は無期限です。

ただし、年3%は保証された利回りではありません。投資には元本割れの可能性があり、この試算には税金も手数料も入っていません。

預金の金利はこの先も動きますし、投資の利回りも一定ではありません。20年という長さで考えるなら、どちらの前提も動くものとして見ておきたいところです。

金利が上がったかどうかだけで決めるより、どちらにいくら置くかを自分で決められる状態にしておくことのほうが大事ではないでしょうか。

6. 元証券会社社員の執筆者コメント

宮野 茉莉子
証券会社にいたころ、投資を考える際にうかがっていたのは「そのお金をいつ使いますか」でした。金額だけでも利回りだけでもなく、時期です。3年以内に使う予定があるお金なら、値下がりしている時期と重なると困りますから、預金のほうが向いています。逆に20年先まで動かさないお金なら、今回の試算のような差が効く可能性も考えられます。今回のポイントは、今8月31日時点の試算ですが、金利が上がっても20年で9万1095円という円の大きさを知っておくことだと思います。%で見ていると判断がぶれますが、円にすると自分の家計に置き換えられます。まずは毎月の積立に回せる額と、そのお金をいつ使うか、また自身が許容できるリスクを書き出してみてください。そこが決まれば、どちらにいくら置くかは自然と見えてきます。全額をどちらかに寄せる必要はありませんし、途中で配分を変えてもかまいません。

参考資料

宮野 茉莉子