4. 【負担を軽くする仕組み】社会保険の保険料調整制度は3年間

新たに加入対象になる人の負担を和らげる措置も用意されています。

厚生労働省によると、対象は従業員数50人以下の企業などで働き、企業規模要件の見直しなどにより新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者で、標準報酬月額が12.6万円以下の人です。

期間は3年間です。

社会保険料は事業主と被保険者が半分ずつ負担するのが基本ですが、この措置を利用する事業主は負担割合を増やし、被保険者の負担を軽くできます。事業主が追加で負担した分は、その全額を制度全体で支援するとされています。

利用するかどうかは事業主の判断になるため、勤め先が使う予定かどうかを確かめておくとよいでしょう。

5. 社会保険の「週20時間」と扶養の「年収130万円」は別の基準

扶養から外れる線は1本ではありません。ここを取り違えると、思っていた働き方とずれることがあります。

5.1 週20時間以上なら賃金の額にかかわらず加入対象

令和8年10月以降、従業員数51人以上の企業で週20時間以上働けば、賃金の額に関係なく社会保険の加入対象になります。

配偶者の扶養に入っていた人は、第3号被保険者から第2号被保険者に変わります。

5.2 週20時間未満でも年収130万円以上なら扶養から外れる

もう1本の線が年収130万円です。

週の所定労働時間が20時間未満でも、年収130万円以上になると配偶者の扶養から外れ、国民年金と国民健康保険の保険料が発生します。

この場合は勤め先の社会保険に入るわけではないため、厚生年金の上乗せや傷病手当金といった給付はありません。

なお、収入が一時的に上がった場合には、事業主の証明により引き続き扶養が認められる特例があります。

6. 社会保険に任意で加入する方法もある

企業規模要件を満たさない勤め先で働いている場合でも、加入する道はあります。

厚生労働省の資料によると、従業員の2分の1以上の同意があれば、短時間労働者も社会保険に加入することができます。

令和8年10月以降にこの仕組みを使って任意加入する場合、短時間労働者の保険料の一部を事業主が負担すると、3年間の保険料調整制度による支援を受けられるとされています。

加入すれば将来の年金や健康保険の給付は手厚くなりますが、その分だけ毎月の手取りは減ります。世帯の収入と支出を見たうえで、勤め先と相談して決めることになります。

7. 社会保険の加入対象になるかどうかは、週20時間と勤め先の人数で決まる

いわゆる「年収106万円の壁」にあたる月額8.8万円の賃金要件は、令和8年10月に撤廃される予定です。

代わりに残るのは、週の所定労働時間20時間以上と、勤め先の従業員数51人以上という2つの線です。企業規模の要件は令和17年10月まで段階的に広がっていきます。

不安になる必要はありません。まずはご自身の週の所定労働時間と、勤め先の従業員数を確かめるところから始めてみてください。

なお、ここで紹介した内容は現時点の予定です。実際の取り扱いは勤め先の担当部署や年金事務所に確認し、制度の最新情報は厚生労働省の公表資料で確かめるようにしてください。

参考資料

中本 智恵