遺族年金を受け取れるかどうかは、亡くなった方に「生計を維持されていた」かで決まります。

この生計維持には要件が定められていて、収入の線も引かれています。まずここを満たすかどうかが入口になります。

この記事では、生計維持の2つの要件と、別居していても認められる場合について確認していきます。

ココがポイント
  • 生計維持は「生計を同じくしている」と「収入要件」の2つを満たすことが原則
  • 収入要件は前年の収入850万円未満、または所得655万5000円未満のいずれか
  • 別居でも、仕送りや健康保険の扶養親族といった事情があれば認められる

1. 遺族年金の「生計を維持されていた」とは何を指すか

まず、制度上の定義を確認します。

1.1 2つの要件をいずれも満たすことが原則

日本年金機構によると、生計を維持されているとは、原則として次の要件をいずれも満たす場合をいいます。生計を同じくしていること、そして収入要件を満たしていることの2つです。

片方だけでは足りません。どちらも満たしてはじめて、生計を維持されていたと認められる形になります。

1.2 遺族年金は2種類ある

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。国民年金または厚生年金保険の被保険者、あるいは被保険者であった方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。

どちらの遺族年金でも、生計維持の考え方は共通しています。

遺族年金の生計維持は、2つの要件をどちらも満たすことが原則です1/2

遺族年金の生計維持は、2つの要件をどちらも満たすことが原則です

出所:日本年金機構「遺族年金(受給要件・対象者・年金額)」をもとにLIMO編集部作成

2. 遺族年金の収入要件は850万円未満か655万5000円未満

次に、収入の線を確認します。

2.1 収入と所得のどちらかを満たせばよい

収入要件は、前年の収入が850万円未満であること、または所得が655万5000円未満であることです。2つの基準がありますが、どちらか一方を満たしていれば要件をクリアします。

収入と所得は別のものです。給与を受け取っている方であれば、収入から給与所得控除などを引いたものが所得にあたります。収入では超えていても、所得では下回るという場合があります。

2.2 入口としては高めの水準になっている

850万円という線は、遺族年金の入口の要件としては高めに設定されています。共働きで一定の収入がある方でも、この線を下回っていれば要件を満たします。

一方で、この基準を上回っている場合は、ほかの条件を満たしていても遺族年金の対象にはなりません。生計維持のところで線が引かれることになります。

2.3 判断するのは亡くなった時点の状況

収入要件で見るのは、遺族側の前年の収入または所得です。亡くなった方の収入ではありません。ここは取り違えやすいところです。

専業主婦や専業主夫のように収入がない場合は、当然この基準を下回ります。共働きで一定の収入がある方が、自分は対象になるのかを確かめるときに関わってくる要件です。

熊谷 良子

収入で判断してあきらめる前に、所得の額も確かめてみてください。基準が2つ用意されているのは、どちらかで満たせばよいという趣旨です。