2. 30代から始まる「差」と、時間の味方の付け方
30歳代は、収入も貯蓄もこれから伸びる時期です。差はまだ小さく見えますが、貯蓄ゼロの世帯と2000万円以上の世帯がすでに混在しています。この差は、早く動くほど縮めやすいものです。
2.1 差はもう始まっている
J-FLECの調査では、30歳代の二人以上世帯は貯蓄のない世帯が17.6%ある一方、2000万円以上も12.5%います。中央値は311万円。まだ小さく見える差も、10年、20年と続けば大きく開いていきます。
だからこそ、30代は「差を広げない」より「早く積み立てを始める」ことが効きます。少額でも、時間を味方にできる年代の強みを生かしましょう。
2.2 時間を味方にする積立の考え方
大切なのは、金額の大きさより、早く始めて長く続けること。給料が入ったら先に一定額を積み立てる「先取り」を自動にすれば、意志の力に頼らず続けられます。
教育費や住宅ローンが重なる時期でもあるので、固定費を点検し、無理のない額からはじましょう。大切なのは「都度、見直すこと」。家族のかたちや状況によって可能な積立金額は変化するので、その都度金額を見直すようにしましょう。
また、「何で積み立てるか」も重要に。まずは預貯金などで生活防衛費を積み立てることが大切ですが、貯蓄にゆとりが出てきたら、一部で新NISA制度を利用して積立投資などを使い、当面使わないお金は長期・分散でコツコツ育てることも選択肢の一つになります。
投資はリスクがありますが、一方でコツコツと積み立てることで10年後、20年後、30年後の資産を大きく変える可能性もあります。
3. つみたてシミュレーション!月3万円を積み立てるといくらになる?
例として、新NISA(つみたて投資枠)を使い、毎月3万円を30年間コツコツ積み立てた場合を試算してみましょう。年率3%で運用できたと仮定すると、積み立てた元本1080万円が、30年後にはおよそ1750万円になる計算です。運用で増えた分は、約670万円にのぼります。
月3万円を30年つみたてた場合の試算。年率3%で運用できたら、元本1080万円が約1750万円に。運用で増える分のイメージをグラフでチェック!2/2
出所:LIMO編集部作成
同じ月3万円でも、預金するだけなら30年後も基本的には1080万円のままと現段階では考えられます。運用を組み合わせることで、時間をかけて差が生まれるイメージがつかめます。これが「時間を味方にする」ということです。
早く始めるほど、この差は大きくなります。たとえば同じ月3万円でも、期間が20年なら運用で増える分は約265万円ほど。30年続けた場合の約670万円と比べると、10年の差が結果を大きく左右することがわかります。
金額を上げれば効果も大きくなります。仮に月5万円なら、同じ前提で30年後は約2900万円(元本1800万円)という試算です。無理のない範囲で、続けられる額から始めるのがコツです。
ただし、これはあくまで一定の利回りで運用できた場合の試算にすぎません。相場は上下し、元本割れの可能性もありますし、運用成果は後にならなければわかりません。自身の納得いく投資先を調べ、短期の値動きに一喜一憂せず、長期・積立・分散を続けることが大切です。
元証券会社員からのアドバイス
30歳代・二人以上世帯の貯蓄は、平均1096万円・中央値311万円でした。差はまだ小さく見えても、すでに二極化は始まっています。時間を味方にするために、今日からできることを3つお伝えします。
一つ目は、先取りを自動にすること。給料日に一定額が別口座や積立へ回る設定にすれば、意志に頼らず続けられます。
二つ目は、固定費を一度見直すこと。通信・保険・住居を下げれば効果が毎月続き、浮いた分を積立に回せます。
三つ目は、少額でも長期・分散で続けること。新NISAなどで無理のない額から。投資には元本割れのリスクがありますが、30代は時間をいちばん味方にできます。
証券会社でご相談を受けていたお客様は、その多くが60歳以上で、退職金の運用を控えた方々でした。「もっと早く、少しずつでも始めておけばよかった」という声を、本当に何度も聞いてきました。
30代の差は、まだ小さく見えます。けれど、貯蓄ゼロの世帯と2000万円以上の世帯がすでに混在しているのも事実です。差を分けるのは、収入の多さより、早く始めて続けられるかどうかでした。
30代は、時間をいちばん味方にできる世代です。少額でも先取りを自動にし、固定費を見直して積立に回す。この習慣が、20年後・30年後の大きな差になります。
まずは給料日の自動振替を1つ設定することから始めてみてください。早く動くほど、時間は大きな味方になってくれます。
大切なのは、完璧を目指すことではなく、続けられる形にすることです。今日できる小さな一歩から始めれば十分です。数字を一度書き出すだけでも、これからの見通しはぐっと立てやすくなります。
4. まとめにかえて
今回は、30歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額(1096万円)と中央値(311万円)を確認しました。貯蓄ゼロの世帯と2000万円以上の世帯が混在し、この年代からすでに差が始まっています。
物価高で消費支出も高止まりするなか、差を分けるのは収入より「早く始めて続ける」こと。30代は、時間をいちばん味方にできる世代です。
今日からできることは3つです。まず、先取りを自動化すること。次に、固定費を見直して浮いた分を積立に回すこと。
そして、少額でも長期・分散でコツコツ続けること。これをきっかけに、時間を味方にする積立の仕組みを考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
宮野 茉莉子
