ねんきん定期便や年金の通知を見て、「満額」という言葉に引っかかったことはないでしょうか。

令和8年度の老齢基礎年金の満額は、月7万608円です。前年度の6万9308円から1300円増え、初めて月7万円台に乗りました。ただし同じ「満額」でも、昭和31年4月1日以前に生まれた方は月7万408円と、200円低い金額が使われます。

この記事では、令和8年度の改定で年金がいくら増えたのか、満額が2つある理由と自分がどちらなのか、そして満額と実際の平均受給額との差を順に確認していきます。

なお、公的年金の平均受給額や2026年度の改定内容に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
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【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
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ココがポイント
  • 令和8年度の老齢基礎年金の満額は月7万608円。前年度から1300円増えて初めて月7万円台に
  • 昭和31年4月1日以前生まれの方の満額は月7万408円。こちらも同じく1300円の引き上げ
  • 満額7万608円に対し、国民年金の実際の平均は月5万9310円。差は1万1298円

1. 令和8年度の満額は月7万608円。初めて7万円台に乗った

まずは改定後の金額から確認していきます。年金額の改定は毎年4月分から適用され、実際に振り込まれるのは6月支給分からです。

1.1 国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げ

厚生労働省が公表した令和8年度の年金額改定によると、改定率は国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%です。金額でみると次のようになります。

  • 国民年金(老齢基礎年金・満額1人分):6万9308円 → 7万608円(1300円増)
  • 厚生年金(標準的な夫婦2人分):23万2784円 → 23万7279円(4495円増)

2026年度の改定内容については、LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から要点を引用して確認しておきましょう。

2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

1.2 満額が7万円を超えたのは今回が初めて

老齢基礎年金の満額は、直近6年度で次のように動いてきました。

  • 令和3年度:6万5075円
  • 令和4年度:6万4816円
  • 令和5年度:6万6050円
  • 令和6年度:6万7808円
  • 令和7年度:6万9308円
  • 令和8年度:7万608円

令和4年度は前年度から259円下がっており、毎年必ず上がるわけではありません。令和5年度以降は4年続けて引き上げとなり、今回はじめて月7万円台に届きました。

令和4年度は下がっており、右肩上がりで増え続けてきたわけではありません1/2

老齢基礎年金の満額の年度別推移(令和3年度から令和8年度)

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2. 満額には7万608円と7万408円の2つがある

ここが今回の改定でわかりにくいところです。同じ「満額」という言葉で、2つの金額が並んで示されています。

2.1 分かれ目は昭和31年4月1日

令和8年度の老齢基礎年金の満額は、生年月日によって次の2つに分かれます。

  • 昭和31年4月2日以後生まれ:月7万608円
  • 昭和31年4月1日以前生まれ:月7万408円

差は月200円、年間で2400円です。ご自身がどちらに当たるかは、ねんきんネットや年金事務所で確認できます。

2.2 200円の差がついたのは令和5年度

この200円は令和8年度に生まれた差ではありません。日本年金機構の説明によると、令和5年度に67歳以下(昭和31年4月2日以後生まれ)と68歳以上(昭和31年4月1日以前生まれ)で改定率が分岐したことが理由です。

年金額の改定では、年齢によって賃金と物価のどちらの動きを使うかが分かれます。令和5年度はこの2つの率に開きがあったため、同じ「満額」でも金額が2つに分かれました。

令和8年度の引き上げ率は全年齢で一律です。7万608円も7万408円も同じく1300円の引き上げで、令和5年度についた200円の差がそのまま持ち越されています。

2.3 報道や記事で見る「満額」はほとんどが7万608円

ニュースや解説記事で「国民年金の満額は月7万608円」と書かれているとき、それは昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。人数の多い側なので、こちらが代表として使われます。

昭和31年4月1日以前に生まれた方、つまり令和8年度に70歳前後より上の世代の方は、記事の金額をそのまま自分に当てはめないほうが確実です。200円という差ではありますが、金額を確かめる習慣そのものが後で効いてきます。

3. 満額と実際の平均には1万1298円の差がある

満額はあくまで保険料を480カ月すべて納めた場合の金額です。実際に受け取っている方の平均は、これより低くなります。

3.1 国民年金の平均は月5万9310円

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の老齢年金を受け取っている方(受給権者)の平均月額は5万9310円でした。男女別では男性6万1595円、女性5万7582円です。

令和8年度の満額7万608円と比べると、平均との差は1万1298円あります。保険料の未納期間や免除期間がある方、加入期間が480カ月に届かない方が一定数いるためです。

厚生年金も含めた平均の水準は、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

満額はあくまで上限で、実際の平均はそれより1万円以上低い水準です2/2

令和8年度の老齢基礎年金の満額と国民年金の平均受給額の比較

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.2 納付月数ごとの目安

満額7万608円をもとに、保険料を納めた期間ごとの金額を計算すると次のようになります。

  • 10年(120カ月):1万7652円
  • 20年(240カ月):3万5304円
  • 25年(300カ月):4万4130円
  • 30年(360カ月):5万2956円
  • 35年(420カ月):6万1782円

平均の5万9310円は、この表でいうと30年から35年のあいだにあたります。ご自身の納付月数は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。

中本智恵

満額の金額を自分の受給額だと思い込んでいる方は少なくありません。まずはねんきん定期便で納付月数を確かめて、そこから逆算してみてください。額面と手取りも別物ですので、生活費の計画は手取りベースで立てるのが確実です。