3. 給付ではないが受けられる健康診査
11の給付とは別に、広域連合が行う事業があります。
3.1 高齢者保健事業として実施される
高齢者の医療の確保に関する法律第125条は、後期高齢者医療広域連合について、高齢者の心身の特性に応じ、健康教育、健康相談、健康診査および保健指導ならびに健康管理と疾病の予防に係る被保険者の自助努力についての支援その他の必要な事業を行うように努めなければならないとしています。
これを高齢者保健事業といいます。給付ではなく事業として位置づけられており、努力義務の形となっています。
3.2 東京都では自己負担500円
東京都後期高齢者医療広域連合は、高齢者の健康づくりや病気の早期発見・早期治療のために、健康診査を市区町村に委託して実施しています。受診時の自己負担金は500円で、市区町村により無料になることもあるとしています。
実施時期などは市区町村によって異なります。また施設に入所している方等は対象にならない場合があるとされています。年に一回の受診が案内されているので、通知が届いたら日程を確かめておきたいところです。
4. 給付が制限される場合もある
別途、給付が受けられなくなる定めもあります。
4.1 他の制度が優先される
法律第57条は、労働者災害補償保険法による療養補償給付など他の法令にもとづく医療に関する給付を受けることができる場合や、介護保険法によって相当する給付を受けることができる場合には、療養の給付等は行わないとしています。
仕事中のけがや通勤中の事故は労災保険が先になります。同じ治療について二重に給付されるわけではありません。
4.2 故意の場合などの制限
法律第87条は、被保険者または被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、または故意に疾病にかかり、もしくは負傷したときは、その疾病または負傷に係る療養の給付等は行わないとしています。
給付の制限は第87条から第92条までに置かれています。制度として、どこまでを支えるかの線が引かれていることになります。
5. 申請するときの窓口
手続きの窓口も確認しておきましょう。
5.1 保険者は広域連合、受付は市区町村
後期高齢者医療制度の保険者は都道府県ごとの広域連合ですが、療養費や高額療養費、葬祭費の申請を受け付けるのは市区町村の担当窓口です。
支給を決めるのは広域連合、書類を出すのは市区町村と分かれています。どこへ行けばよいか迷ったときは、住んでいる市区町村の後期高齢者医療の担当窓口が入口になります。
5.2 申請しなければ受け取れないものがある
療養の給付や入院時食事療養費のように、窓口で自己負担を払うだけで自動的に適用されるものがあります。一方で、療養費、高額介護合算療養費、葬祭費のように、申請してはじめて支給されるものもあります。
高額療養費については、対象になった方に広域連合から通知が届く運用が一般的です。届いた書類を放置しないことが、そのまま受け取れるかどうかにつながります。
6. まとめにかえて
後期高齢者医療制度の給付は、法律に名前が書かれているものが10、条例による葬祭費を加えて11です。療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費、高額介護合算療養費、葬祭費が並びます。
これらは後期高齢者医療制度だけの特別なものではなく、国民健康保険や健康保険にも同じ名前の給付があります。75歳を境に制度が変わっても、使えるものの骨格は大きくは変わりません。
給付とは別に、健康診査などの高齢者保健事業もあります。自分の広域連合と市区町村で何が受けられるかは、担当窓口で確認してみてください。
参考資料
- e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「給付の内容」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「健康診査」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師の施術を受ける時」
太田 彩子