4. 名ばかり管理職と通達
判断基準が整理された経緯も見ておきます。
4.1 判決を受けて示された判断要素
北海道雇用労働相談センターによると、管理監督者については名ばかり管理職という批判の中で日本マクドナルド事件判決が社会の注目を集め、厚生労働省はこの判決を受ける形で通達を発出し、多店舗展開する小売業、飲食業等における管理監督者の具体的な判断要素を整理して示しています。
店舗の店長についての判断が示されたものですが、名称ではなく実態で見るという考え方そのものは業種を問わず共通します。
4.2 もとになっている通達
監督若しくは管理の地位にある者の範囲については、昭和22年と昭和63年の通達にもとづく考え方が示されています。労働時間、休憩、休日等の労働条件は最低基準を定めたものであるから、規制の枠を超えて労働させる場合に割増賃金を支払うべきことはすべての労働者に共通する基本原則であるとされています。
そのうえで、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であれば、すべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないと明記されています。
5. 機密の事務を取り扱う者と監視・断続的労働
条文には管理監督者以外の類型もあります。
5.1 秘書などが該当する
機密の事務を取り扱う者とは、必ずしも機密書類を取り扱う者を意味するものではなく、秘書その他その職務が経営者または管理監督者の活動と一体不可分であって、出社、退社などについて厳格な制限を受けない者をいうとされています。
この類型も、書類の中身ではなく働き方の実態で判断される点は同じです。
5.2 監視・断続的労働には許可が必要
監視労働とは、原則として一定の部署にあって監視するのを本来の業務とし、常態として身体または精神的緊張の少ない労働をいい、守衛などが挙げられています。断続的労働とは、本来の業務が間歇的であるため労働時間中においても手待時間が多く実作業時間が少ない労働で、寮や寄宿舎の管理人、給食調理人などが例です。
この2つについては、使用者の主観的な判断に任せることは妥当ではないとして、所轄の労働基準監督署長の許可を受けなければならないとされています。管理監督者に許可の手続きがないのとは対照的です。
6. 気になったときの確かめ方
自分の立場を整理する手がかりを挙げます。
6.1 出退勤の自由と権限を見る
裁判例で重く見られていたのは、出退勤の自由があるか、部下の人事や考課に関与しているか、労働条件の決定に関わっているかという点でした。
遅刻や早退が人事考課に反映される、勤務時間が完全に拘束されているといった状態であれば、実態としては管理監督者にあたらない可能性があります。
6.2 相談できる窓口がある
判断に迷う場合は、勤務先を管轄する労働基準監督署や、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーで相談できます。
賃金の請求には時効があるため、気になる状態が続いている場合は早めに確かめておきたいところです。
7. まとめにかえて
労働基準法第41条により、監督若しくは管理の地位にある者には労働時間、休憩および休日に関する規定が適用されません。ただし深夜業の割増賃金と年次有給休暇の付与は適用除外になりません。
管理監督者にあたるかどうかは役職名では決まらず、職務内容、責任と権限、勤務態様、そして待遇の4つの観点から実態に即して判断されます。銀行の調査役補やファミリーレストランの店長について、あたらないとした裁判例もあります。
自分の状況が気になる場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーで確認してみてください。
参考資料
LIMO編集部年収解説班