70歳を迎え、「新NISAはこのまま続けるべきか、それとも現金化して手元に置いておくべきか」と考えるかもしれません。
年金収入だけでは生活費が足りず、資産を取り崩しながら暮らす場面が現実味を帯びてくる年代だからこそ、運用を続けることと資産を取り崩すことをどう両立させるかが悩みどころです。
この記事では、70歳代における新NISA継続の考え方と、取り崩し方法の違いによる資産の持ち方の変化を、具体的なシミュレーションとともに整理します。
- 新NISAは非課税保有期間が無期限のため、70歳代からでも保有・運用を続けられる
- 2000万円を年120万円ずつ定額で取り崩す場合、運用なしでは17年(87歳)、年率3%運用なら24年(94歳)で資産が尽きる試算
- 定率取り崩しなら資産が尽きる心配は小さいが、取り崩せる金額は年々減っていく
1. 70歳代でも新NISAを続けられる制度上の理由
まず前提として、新NISAには年齢の上限がなく、口座を開設できるのは18歳以上の人であれば何歳でも対象です。
非課税で保有できる期間も無期限化されているため、70歳代になったからといって、それまで新NISAで保有してきた株式や投資信託を慌てて売却する必要はありません。生涯にわたって非課税保有限度額(1800万円、うち成長投資枠は1200万円まで)の範囲内で保有を続けることができます。
また、保有している商品を売却した場合、その売却分の非課税保有限度額は翌年に復活する仕組みになっています。
ただし、年間の投資枠(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=合計360万円)は使い切っても復活しないため、新規の積立を続けるかどうかは別に考える必要があります。70歳代では、新規に積み立てを続けるかどうかよりも、これまで積み上げてきた資産をどう取り崩していくかが、より現実的なテーマになってきます。
2. 資産を「現金化する」か「運用を続けながら取り崩す」かで寿命が変わる
70歳時点で2000万円の資産があり、生活費の補填として毎年120万円(月10万円)を取り崩すケースを例に、運用を続けるかどうかで資産がどれくらいの期間もつのかを試算しました。
なお、新NISAの非課税保有限度額は生涯で1800万円までのため、今回の2000万円のうち200万円分は非課税枠を超えて課税口座等で保有しているケースを想定しています。
以下の試算は、この2000万円全体を便宜上同じ利回りで運用・取り崩した場合の簡易的な計算であり、非課税枠を超える部分の運用益には通常どおり約20.315%の税金がかかる点にはご留意ください。
2000万円を年120万円ずつ取り崩す場合、運用の有無で資産の寿命は変わる1/2
出所:厚生労働省「令和6年簡易生命表」の平均余命をもとにLIMO編集部試算
資産を現金化して運用をやめ、毎年120万円ずつ取り崩した場合(ケースA)、2000万円は17年で底をつき、70歳から数えると87歳の時点で資産が尽きる計算になります。
一方、運用を続けながら年率3%程度で運用しつつ同じ金額を取り崩した場合(ケースB)、資産が尽きるまでの期間は24年に伸び、94歳まで持たせられる計算です。
厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、70歳時点の平均余命は男性が15.60年(84〜85歳相当)、女性が19.97年(89〜90歳相当)です。
ケースAでは女性の平均余命よりも前に資産が尽きてしまう可能性がある一方、ケースBでは男女とも平均余命を超えて資産が持つ計算になります。ただし、この年率3%という数字はあくまで試算のための仮定であり、実際の運用成果を保証するものではない点には注意が必要です。
「運用を続けた方が資産が長持ちする」という結果だけを見ると、すぐに運用を続けるべきだと思われるかもしれません。ただし、これは年率3%で運用できた場合の試算であり、相場が下落する年が続けば、資産の減り方はもっと早くなる可能性もあります。
大切なのは、生活費として確実に必要な部分は現金や預貯金で確保しておき、当面使う予定のない部分だけを運用に回すという「使う分」と「増やす分」の線引きをしておくことです。
