3. 年収別シミュレーション 賞与の手取り率はどう変わる?
それでは、実際に年収別のケースで賞与の手取り額を試算してみます。ここでは、賞与を月給の2ヶ月分と仮定し、月給を「年収÷16(月給12ヶ月分+賞与2ヶ月分×年2回)」で算出したうえで、扶養親族のいない会社員(源泉徴収の甲欄が適用されるケース)を前提にしています。
年収が上がるほど、賞与の手取り率は下がる2/3
出所:日本年金機構、全国健康保険協会、厚生労働省、国税庁「令和8年分源泉徴収税額表」をもとにLIMO編集部試算
年収300万円(賞与37万5000円)のケースでは、社会保険料と所得税をあわせて6万7828円が差し引かれ、手取り額は30万7172円、手取り率は81.9%です。年収500万円(賞与62万5000円)では、差し引かれる金額は12万3948円、手取り率は80.2%まで下がります。さらに年収700万円(賞与87万5000円)では21万9302円が差し引かれて手取り率74.9%、年収900万円(賞与112万5000円)では32万1199円が差し引かれて手取り率は71.4%となりました。
賞与から差し引かれるお金の内訳(年収別)3/3
出所:日本年金機構、全国健康保険協会、厚生労働省、国税庁の公表情報をもとにLIMO編集部試算
内訳をみると、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料は賞与額に比例して増えていく一方、所得税は年収が上がるほど税率区分が上がり、差し引かれる金額の伸び方が大きくなっていることが分かります。たとえば年収300万円のケースの所得税は1万3079円ですが、年収900万円のケースでは15万6948円と、賞与額(3倍)以上のペースで増えています。これは、所得税が超過累進的な性質を持つ税金であるためです。
「賞与の額面がいくら増えても、手取りはそこまで増えない」と感じたことがある方は少なくないと思います。今回の試算のように、年収が上がるほど賞与にかかる所得税の税率が段階的に上がっていくため、額面の伸び以上に手取りの伸びが鈍く感じられるのは自然なことです。
ご自身の賞与明細を見るときは、額面だけでなく、社会保険料と所得税がそれぞれいくら引かれているかを分けて確認してみると、お金の流れがつかみやすくなります。特に厚生年金保険料は将来受け取る年金額にも反映される部分なので、単なる「天引き」ではなく積み立てとしての側面もあることは知っておきたいポイントです。
なお、今回の試算は賞与を月給の2ヶ月分と仮定した一つのモデルケースです。実際の賞与は勤務先の業績や制度によって月数が異なり、扶養親族の人数によっても所得税額は変わります。また、厚生年金保険料には1回の賞与につき150万円、健康保険料には毎年4月〜翌3月の累計573万円という標準賞与額の上限があるため、賞与額が非常に大きいケースでは、保険料の増え方が今回の試算ほど大きくならない場合もあります。
4. まとめ
毎月勤労統計調査の最新データ(2026年6月分速報)によると、賞与にあたる「特別に支払われた給与」は1人平均23万2445円で、前年同月比3.5%の増加でした。賞与からは健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料と所得税が差し引かれ、年収が上がるほど所得税の税率区分が上がるため、賞与の手取り率は年収300万円で81.9%、年収900万円で71.4%まで下がるという試算結果になりました。
賞与の使い道を考えるときは、額面の金額だけでなく、実際に手元に残る手取り額を踏まえて計画を立てることが大切です。ご自身の正確な手取り額については、勤務先の給与明細や源泉徴収票で確認することをおすすめします。
参考資料
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年6月分結果速報」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果速報」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 全国調査 夏季賞与(政府統計の総合窓口 e-Stat)」
- 日本年金機構「保険料額表(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)」
- 全国健康保険協会「令和8年度保険料率のお知らせ」
- 国税庁「令和8年分源泉徴収税額表」
LIMO編集部年収解説班
