老後の年金がいくらになるのか、具体的な金額で考えたことはあるでしょうか。よく目にする「月15万円」という数字は、厚生年金の平均額に近いところにあります。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金を含む)の平均年金月額は男女全体で15万289円です。公的年金は2カ月に一度の支給なので、この平均額なら支給日に約30万円が振り込まれる計算になります。
では、その平均をクリアしている人は全体のどれくらいいるのでしょうか。この記事では、月15万円以上を受け取っている人の割合を男女別まで確認したうえで、その金額を何年受け取ることになるのかまで見ていきます。
- 厚生年金を月15万円以上受け取っているのは、受給権者1608万5696人のうち49.8%
- 男女別では男性68.8%に対し、女性は12.3%にとどまる
- 65歳の平均余命は男性19.68年・女性24.52年。累計で見ると男女の差は月額の印象ほど開かない
なお、年金の受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 公的年金は2階建てになっている
金額の話に入る前に、しくみを押さえておきます。公的年金は国民年金と厚生年金の2つの制度から成り立つため、しばしば2階建て構造と表現されます。
1.1 1階部分の国民年金
国民年金は、原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人が加入します。保険料は全員一律で、2026年度は月1万7920円です。
保険料を全期間の480カ月納付した場合、65歳以降に満額の老齢基礎年金を受け取れます。2026年度の満額は月7万608円で、昭和31年4月1日以前生まれの方は月7万408円です。未納期間があれば、その分に応じて減額されます。
1.2 2階部分の厚生年金
厚生年金に加入するのは、主に会社員や公務員です。保険料は収入に応じて決まる報酬比例制で、毎月の給与や賞与といった報酬に所定の保険料率を掛けて計算します。
年金額は加入期間や納めた保険料によって決まり、国民年金に上乗せして支給されます。国民年金の保険料が全員同じなのに対し、厚生年金は人によって納める額が違うわけです。
つまり現役時代に国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、あるいはどちらの期間が長かったかによって、老後の年金額には大きな個人差が出ます。
2. 月15万円以上を受け取っているのは49.8%
ここからが本題です。平均である月15万円をクリアしている人は、受給権者全体でどのくらいいるのでしょうか。
2.1 男女全体では半数に届かない
令和6年度の概況で年金月額の階級別に受給権者数を並べると、いちばん多いのは10万円以上11万円未満の111万2828人でした。山の頂上は平均額より低いところにあります。
15万円以上の階級を合計すると801万5484人です。受給権者の総数1608万5696人に対して49.8%で、半数に届いていません。厚生年金を受給していない人も含めて計算すれば、この割合はさらに低くなります。
なお、ここでいう厚生年金の年金月額には国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれています。
2.2 男女別では男性68.8%、女性12.3%
男女に分けると、景色がまったく変わります。男性は受給権者1067万9944人のうち735万998人が15万円以上で、割合は68.8%です。
一方の女性は540万5752人のうち66万4486人で、12.3%にとどまります。平均年金月額も男性16万9967円に対して女性11万1413円で、5万8554円の差があります。
女性の分布を見ると、いちばん多いのは10万円以上11万円未満の81万3990人です。現役時代の働き方や勤続期間の違いが、そのまま2階部分の厚みの差として表れています。
平均額だけを見ると、自分もそのあたりだろうと考えてしまいがちです。分布で見ると山の位置は平均より低いところにあり、平均は上のほうに引っ張られた数字だと分かります。

