公務員として長く働いてきた配偶者を亡くしたとき、年金がどこから支払われるのか分かりにくいという声があります。
平成27年10月に被用者年金制度が一元化され、共済年金は厚生年金に統一されました。遺族が受け取る年金も遺族厚生年金になっています。
ただし、共済組合から支払われるものが遺族厚生年金だけとは限りません。この記事では、遺族厚生年金の額の決まり方を確認したうえで、年金とは別に一時金として支払われる年金払い退職給付について見ていきます。
1. 遺族厚生年金を受け取れるのは、どんなときか
はじめに、遺族厚生年金の受給要件と、受け取れる遺族の範囲を確認します。
1.1 受給要件は短期要件3つと長期要件1つ
日本年金機構が示す受給要件は4つです。
このうち短期要件にあたるのは、厚生年金保険の被保険者である間に亡くなったとき、厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に亡くなったとき、1級・2級の障害厚生年金を受け取っている方が亡くなったときの3つです。
残る1つが長期要件で、老齢厚生年金の受給資格を満たした方が亡くなったときがこれにあたります。
1.2 受け取れる遺族は5つの立場に決まっている
優先順位があり、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順になります。(※配偶者は子の有無にかかわらず第1順位となり、配偶者が受給している間、子の支給は停止されます)
子のない夫は55歳以上である方に限られ、受給開始は60歳からです。父母と祖父母も同じ扱いです。
共済組合から支払われるものは、遺族厚生年金だけではありません1/2
出所:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」および国家公務員共済組合連合会「有期退職年金」を参考にLIMO編集部作成
2. 遺族厚生年金の額は報酬比例部分の4分の3で決まる
次に、実際の金額を計算してみましょう。
2.1 報酬比例部分を計算する
報酬比例部分は、平成15年3月以前の期間について平均標準報酬月額に1000分の7.125と月数を掛けた額と、平成15年4月以後の期間について平均標準報酬額に1000分の5.481と月数を掛けた額を合計して求めます。
なお、昭和21年4月1日以前に生まれた方については給付乗率が異なります。
2.2 その4分の3が遺族厚生年金になる
遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
平均標準報酬額35万円で40年(480月)加入し、その全期間が平成15年4月以後だった場合、報酬比例部分は年92万808円になります。遺族厚生年金はその4分の3で、年69万606円です。
短期要件にあたる1から3の場合は、厚生年金の被保険者期間が300月に満たなくても300月とみなして計算します。長期要件にはこのみなしは使えません。
3. 遺族の年齢で上乗せされるものが変わる
遺族厚生年金だけで終わるとは限りません。遺族の年齢と子の有無で、上乗せされるものが変わります。
3.1 65歳未満で子がいる場合は遺族基礎年金が加わる
18歳になった年度の3月31日までにある子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級もしくは2級の状態にある子がいる場合、遺族基礎年金が上乗せされます。
令和8年4月分からの額は年84万7300円で、これに1人目および2人目の子の加算額が各24万3800円、3人目以降が各8万1300円加わります。
3.2 65歳未満で子がいない場合は中高齢寡婦加算がある
夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で生計を同じくしている子がいない妻には、中高齢寡婦加算として年63万5500円が加わります。ただし、亡くなった夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の場合に限られます。
3.3 65歳以上は自分の老齢厚生年金が優先される
65歳以上で自分の老齢厚生年金を受け取れる場合は、まず自分の老齢厚生年金が支払われ、遺族厚生年金はその差額だけが支給されます。老齢基礎年金は全額を受け取れます。
4. 年金払い退職給付は遺族に一時金として支払われる
ここまでが厚生年金の話です。公務員だった方には、これとは別に年金払い退職給付があります。
4.1 平成27年10月に職域部分に代わって創設された
年金払い退職給付は、被用者年金一元化にあわせて平成27年10月に創設された制度です。半分が有期年金、半分が終身年金という組み立てになっています。
終身年金の部分は65歳からの支給で、60歳から繰上げることもできます。
4.2 有期年金は10年または20年から選ぶ
有期年金の受給期間は、原則20年(240月)です。給付事由が生じてから6か月以内に手続きをすれば10年(120月)に変えることも、一時金として受け取ることもできます。
4.3 本人が亡くなると終身年金は終了し、有期年金の残りが一時金になる
本人が亡くなった場合、終身年金の部分はそこで終了します。一方、有期年金のうちまだ受け取っていない期間分については、それに相当する額が遺族に一時金として支払われます。
退職年金をまだ受け取っていないうちに組合員が亡くなったときも一時金が支払われます。このとき有期退職年金にあたるのは、組合員期間が10年以上あれば給付算定基礎額の2分の1、10年に満たない場合は4分の1です。
年金と一時金では、届く時期も手続きの窓口も違います。どちらの話をしているのかを書き分けて紙に残しておくと、家族で共有するときに混乱しません。
