3. 選べるのは一方だけという意味

両方の要件を満たすことは珍しくありません。そのときの考え方を見ておきます。

3.1 受け取る時期がまったく違う

日本年金機構は、寡婦年金を受けられる場合はどちらか一方を選択するとしています。両方を受け取ることはできません。

大きく違うのは時期です。死亡一時金は請求すれば比較的早く受け取れる一方、寡婦年金は妻が60歳になってからの支給です。妻がまだ50歳代であれば、受け取りまでに何年か空くことになります。

3.2 総額と当面の資金は別の問題

寡婦年金は5年分を受け取れる可能性がありますので、総額では上回ることもあります。ただし、当面の生活費や葬儀費用が必要な局面では、いま受け取れるかどうかが判断を左右します。

総額で有利なほうと、いま必要なほうは一致するとはかぎりません。どちらが正解と決まっているわけではありません。

選ぶときの分かれ目は、受け取れる時期の違いです2/2

選ぶときの分かれ目は、受け取れる時期の違いです

出所:日本年金機構「死亡一時金」をもとにLIMO編集部作成

4. 世帯で確かめておきたいこと

万一のときに慌てないよう、書面で確かめておきたい点を挙げます。

4.1 加入していた制度の履歴を確認する

どちらの給付も、第1号被保険者として保険料を納めた期間や月数が要件になっています。会社員だった期間と自営業だった期間が混ざっている方は、第1号としての期間がどれだけあるかを確かめておきましょう。

「ねんきん定期便」やねんきんネットで、加入区分ごとの記録を見ることができます。夫婦それぞれの記録を並べておくと、万一のときの見通しが立てやすくなります。

4.2 遺族厚生年金との関係も見ておく

厚生年金に加入していた期間があれば、遺族厚生年金の対象になることもあります。第1号期間があれば寡婦年金や死亡一時金の可能性もありますので、どの給付に該当しそうかは記録を見ないと判断できません。

実際の金額や選択の判断は、加入記録と家族構成で変わります。年金事務所や街角の年金相談センターで、記録をもとに確認してみてください。

5. まとめにかえて

寡婦年金は、第1号被保険者としての納付済期間と免除期間が10年以上ある夫が亡くなったとき、10年以上継続して婚姻関係にあった妻が60歳から65歳になるまで受けられます。額は夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。

死亡一時金は、保険料を納めた月数が36月以上ある方が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなったときに、生計を同じくしていた遺族へ支給されます。12万円から32万円で、時効は死亡日の翌日から2年です。

両方の要件を満たす場合に選べるのは一方だけです。総額で見るか、いま必要な資金で見るかによって答えが変わりますので、記録を持って年金事務所に相談してみてください。

参考資料