3. 在職だと年金が止まることがある
在職という区分には、金額面の意味もあります。
3.1 合計が65万円を超えると調整される
老齢厚生年金を受給している方が厚生年金保険の被保険者であるとき、基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金額が支給停止となる場合があります。これが在職老齢年金の仕組みです。
令和8年4月からは、その基準額が月51万円から65万円に引き上げられました。合計が65万円以下であれば全額支給されます。
3.2 受給権があることと受け取れることは別
424万3152人という在職の人数は、あくまで受給権を持つ人の数です。このなかには、報酬の水準によって年金の一部または全部が止まっている方も含まれます。
権利があることと、実際にその月に振り込まれることは別の話になります。統計の人数を見るときは、この区別を意識しておきたいところです。
4. 老齢給付以外の受給権者もいる
年報が示しているのは老齢給付だけではありません。
4.1 総数は3755万6469人
厚生年金保険(第1号)の年度末現在の受給権者数は、総数で3755万6469人です。老齢給付の3060万194人との差には、障害年金や遺族年金の受給権者が含まれます。
厚生年金は老後の給付だけの制度ではありません。加入している間に障害の状態になったときや、亡くなったときの遺族への給付も含まれています。
4.2 旧法と新法が混在している
総数3755万6469人の内訳を制度別に見ると、新法厚生年金保険が3686万8912人、旧法厚生年金保険が44万1479人、旧法船員保険が1万392人です。ここに旧共済組合分の23万5686人が加わります。
昭和61年の制度改正より前の記録も、いまなお統計に残っています。長い期間にわたって続いてきた制度であることが、この内訳からも読み取れます。
5. 自分の記録で確かめる
統計は全体の姿にすぎません。
5.1 短い加入期間も残っている
女子の受給権者が男子より多いという結果は、短い加入期間でも記録が残ることの表れでもあります。結婚や出産で退職した後にパートで厚生年金に加入した期間なども、そこに含まれます。
相談の場でも、数年だけだから関係ないと思っていたという方にお会いしました。加入期間はねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。
5.2 働き方は年金と一緒に考える
60歳以降も厚生年金に加入して働けば、その期間は報酬比例部分に積み上がります。一方で在職老齢年金による調整の対象にもなります。
増える分と止まる分の両方を見る必要がありますので、金額の試算は年金事務所で依頼してみてください。
6. まとめにかえて
厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給権者は3060万194人で、男子1406万4740人に対し女子は1653万5454人でした。人数では女子が247万714人多くなっています。
内訳は退職が2635万7042人、在職が424万3152人です。在職は13.9%で、およそ7人に1人にあたります。在職では男子が多く、退職では女子が多いという逆の形です。
在職の場合は在職老齢年金による調整の対象になります。自分の加入期間と見込額はねんきん定期便やねんきんネットで確かめてみてください。
参考資料
和田 直子