9月1日は、年金を受け取りながら働いている方にとっての節目です。この日に厚生年金へ加入していれば、それまでに働いた期間が年金額に算入され、10月分の年金から金額が見直されます。

では、その土台となる厚生年金の水準はどれくらいなのでしょうか。月20万円以上を受け取っている人は、受給者の2割弱にとどまります。この記事では受給額の分布を確かめたうえで、働き続けると年金が増える「在職定時改定」と、収入によって年金が止まる「在職老齢年金」の2026年の基準を整理します。

なお、公的年金の仕組みや平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
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【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
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ココがポイント
  • 厚生年金を月20万円以上受け取る人は、受給者のうち18.8%。8割超は20万円未満
  • 9月1日に厚生年金へ加入していれば、働いた期間が10月分の年金から反映される(在職定時改定・65歳以上70歳未満)
  • 2026年4月から在職老齢年金の基準は51万円から65万円へ。働いても年金が止まりにくくなった

1. 厚生年金は国民年金への「上乗せ」|受給額に個人差が出る理由

受給額の話に入る前に、公的年金の組み立てを押さえておきましょう。

公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」に例えられます。これは、日本の年金制度が「1階」の国民年金(基礎年金)と、「2階」の厚生年金という2つの制度で構成されているためです。1階部分の国民年金は、原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象で、保険料は所得にかかわらず一律(2026年度は月額1万7920円)。保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額(2026年度は月額7万608円)を受け取ることができます。2階部分の厚生年金は、会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所に勤務し一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入します。保険料は収入に応じて変動し、受給額は加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

ポイントは、国民年金が全員共通の「土台」であるのに対し、厚生年金は会社員や公務員などが上乗せする「2階部分」だという点です。1階だけの自営業・フリーランスと、2階まである会社員とでは、同じ年数を働いても受け取る年金額に差が出ます。2026年度の国民年金の満額は月7万608円。40年間きちんと納めても、これが基礎年金の上限です。厚生年金があるかどうか、そして現役時代の報酬と加入期間の長さが、老後の年金額を大きく左右します。まずはこの2階建ての構造を押さえておきましょう。

2. 平均は厚生年金15万289円・国民年金5万9310円|男女差は約5万8000円

次に、いま実際に支払われている平均額を見ておきます。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

注目したいのは男女差です。厚生年金は男性が16万9967円、女性は11万1413円と、月におよそ5万8000円の開きがあります。これは、女性が結婚・出産などで働き方を変え、厚生年金の加入期間が短くなりやすいことなどが背景にあります。また、いずれも国民年金部分を含んだ金額である点にも注意が必要です。厚生年金の「2階部分」だけを見ているのではなく、土台となる基礎年金を合わせた合計額だということです。平均はあくまで目安。次に、実際の受給額がどのように分布しているのかを見ていきましょう。

3. 厚生年金「月20万円以上」は18.8%|受給額の分布を1万円刻みで見る

平均だけでは、自分がどのあたりにいるのかは見えてきません。ここからは受給額の散らばりを、1万円刻みの人数で確かめていきます。

厚生年金の受給額ごとの受給権者数1/1

厚生年金の受給額ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.1 1万円刻みでみた受給権者数(国民年金部分を含む)

1万円未満:4万3399人
1万円以上~2万円未満:1万4137人
2万円以上~3万円未満:3万5397人
3万円以上~4万円未満:6万8210人
4万円以上~5万円未満:7万6692人
5万円以上~6万円未満:10万8447人
6万円以上~7万円未満:31万5106人
7万円以上~8万円未満:57万8950人
8万円以上~9万円未満:80万2179人
9万円以上~10万円未満:101万1457人
10万円以上~11万円未満:111万2828人
11万円以上~12万円未満:107万1485人
12万円以上~13万円未満:97万9155人
13万円以上~14万円未満:92万3506人
14万円以上~15万円未満:92万9264人
15万円以上~16万円未満:96万5035人
16万円以上~17万円未満:100万1322人
17万円以上~18万円未満:103万1951人
18万円以上~19万円未満:102万6888人
19万円以上~20万円未満:96万2615人
20万円以上~21万円未満:85万3591人
21万円以上~22万円未満:70万4633人
22万円以上~23万円未満:52万3958人
23万円以上~24万円未満:35万4人
24万円以上~25万円未満:23万211人
25万円以上~26万円未満:15万796人
26万円以上~27万円未満:9万4667人
27万円以上~28万円未満:5万5083人
28万円以上~29万円未満:3万289人
29万円以上~30万円未満:1万5158人
30万円以上~:1万9283人

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

人数がもっとも多いのは10万円以上11万円未満の階級で、そこから前後に広く散らばっています。厚生労働省の同じ資料で計算すると、月20万円以上を受け取っている人は受給権者の18.8%。逆にいえば、8割超はひと月20万円未満です。平均の15万289円という数字よりも、この散らばりのほうが実態に近いといえます。しかも、この割合は厚生年金を受け取っている人のなかでの話です。国民年金だけを受け取っている人まで含めれば、月20万円以上に届く割合はさらに下がります。夫婦で合わせていくらになるかを含め、自分の位置を確かめておきましょう。

和田 直子

ここまで、厚生年金の受給額分布を見てきました。月20万円以上は2割弱で、多くの方が20万円未満という現実でしたね。

だからこそ、65歳以降も働いて収入を得る選択が増えています。働いた分は年金額にも反映されますが、その見直しが9月1日を基準にした10月分からだという点は、あまり知られていません。

次の章で、働きながら受け取る年金の増え方と、収入が多い場合に止まる基準を整理しておきましょう。