4. 【元銀行員の視点】住宅ローンの相談で、金利より先に確認していたこと
ここからは、銀行で住宅ローンを担当していた頃に見えていたことを書いていきます。
変動金利が今よりも低かった頃でも、金利が上がったらどうなるのかという質問は多く受けました。
そのときに一緒に確認していたのは、金利の高さそのものよりも、返済額がいくらまで増えても家計が回るのかという線でした。
借入額は物件の価格で決まりますが、返せる額は収入と支出で決まります。この2つは別のものなので、審査に通った金額を返済できる上限だと考えないほうが安全です。
審査に通ることと、35年間返し続けられることは同じではありません。
5. 【落とし穴】住宅ローンの店頭表示金利は年3.125%。優遇幅が外れる条件がある
窓口で説明に時間をかけていた点がもう一つあります。
三菱UFJ銀行のローン金利(2026年8月1日現在)では、住宅ローンの店頭表示金利は変動金利(毎月型)が年3.125%です。
それでも調査の借入金利が年1.0%以下に集まっているのは、店頭表示金利から優遇幅が引かれているためです。
この優遇幅は商品ごとに条件が決まっていて、返済の延滞など一定の場合には適用されなくなることがあります。
調査で「理解していない・不安」の割合が最も高かったのは、この優遇金利の適用ルールの55.6%でした。契約時の書面で条件を読み返しておくと、金利が動いたときに落ち着いて判断できます。
6. 住宅ローンの5年ルールは、すべての金融機関にあるわけではない
5年ルールと125%ルールは、どの住宅ローンにも付いている仕組みではありません。
三菱UFJ銀行の案内にあるとおり、元金均等返済で借りた場合にはこれらのルールは適用されません。金融機関や商品によって扱いが異なるため、契約している商品の説明書で確認しておく必要があります。
5年ルールがある場合、返済額がすぐに上がらないのは家計にとって助かる面があります。
一方で、増えた利息の負担が後ろにずれる形になるため、返済期間の後半に効いてくることもあります。
最終回に未払利息が残った場合の取り扱いも金融機関ごとに定められているので、借入先に確認しておくと安心です。
7. 住宅ローンの金利上昇に備えるなら、繰上返済と借換えのどちらも一長一短
金利の上昇に備える方法として、繰上返済と借換えがよく挙がります。
繰上返済は利息の総額を抑えられますが、手元の資金が減ります。教育費や医療費に備える現金が不足することもあるため、いくら残すかを先に決めておく必要があります。
借換えは、全期間固定型に切り替えて返済額を確定させる選択肢になります。
ただし住宅金融支援機構は、固定金利型が変動金利型に先行して上昇する傾向にあると説明しています。借換えには事務手数料や保証料、登記費用もかかります。
どちらが向いているかは、残りの返済期間や残高、家計の余力で変わります。借入先の金融機関の窓口で、実際の残高をもとに試算してもらうのが確実です。
8. 住宅ローンは、返済額がいくらまで増えても大丈夫かを先に決めておく
住宅ローンの金利タイプは変動型が75.0%を占め、返済額が変わるルールを「理解していない・不安」と答えた人は47.2%でした。
借入3000万円・35年の試算では、金利が1.0ポイント上がると毎月返済額が1万4266円増えます。
不安になる必要はありません。まずはご自身の借入残高と適用金利、そして次の見直し時期を確認するところから始めてみてください。
返済額の見通しは、借入先の金融機関の窓口で残高をもとに試算してもらえます。判断に迷う場合は、ファイナンシャル・プランナーに相談する方法もあります。
参考資料
- 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」(住宅ローン利用者調査・2026年1月調査)
- 住宅金融支援機構「"金利のある世界"でどう変わる?これからの住宅ローン選びを考えよう」
- 国土交通省「住宅ローンの金利リスクの普及啓発について」
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年6月16日)
- 三菱UFJ銀行「住宅ローンの5年ルール・125%ルールについて知りたい。」
- 三菱UFJ銀行「ローン金利」
中本 智恵