まもなく敬老の日(2026年は9月21日)を迎える9月。実家に帰省したり、両親や祖父母と顔を合わせたりする機会に、ふと「年金だけで生活は足りているのだろうか」と気になった方もいるのではないでしょうか。
公的年金の受給額は、物価や賃金の変動に応じて毎年度見直されています。
厚生労働省の発表によると、2026年度(令和8年度)の年金額は、前年度から国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%引き上げられる「増額改定」となりました。この新しい年金額は、6月15日に支給された「4月・5月分」の振り込みからすでに反映されています。
ただし、この増額幅は誰にとっても同じではありません。
現役時代の働き方や年金の加入期間によって、実際に受け取れる年金額には大きな個人差があり、「平均額くらいはもらえるはず」と思い込むのは危険かもしれません。
本記事では、最新の年金改定額や多様なライフコース別のモデルケースを解説するとともに、今のシニア世代が実際に受け取っている年金の平均額や分布、そして個人差を踏まえて今からでも検討できる「年金を増やす選択肢」まで詳しく紐解いていきます。
※本記事は一部「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」を引用のもと執筆しています。
- 2026年度の年金額は増額され、6月支給分から国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げが反映
- 2026年度の年金額は増額され、6月支給分から国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げが反映
- 受給額は加入歴で差が大きいが、「繰下げ受給」や「付加年金」など個人でも増額を図れる制度がある
1. 2026年度の年金はいくら増えた?国民年金・厚生年金の改定額を確認
公的年金の金額は、物価や賃金の変化を踏まえ、毎年度見直されています。
ここでは、2026年6月支給分から反映されている2026年度の年金額を確認していきましょう。
2026年度は、前年度と比べて国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられました。
1.1 2026年度の「国民年金と厚生年金」の年金額例はいくら?
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分)(+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
1.2 年金額の引き上げはいつから反映された?
公的年金は、原則として偶数月の15日に、前月までの2カ月分がまとめて振り込まれます。
なお、15日が土日となる場合は、その直前の平日に支給されます。
このため、2026年度の改定額は、2026年4月分と5月分をまとめて受け取る6月支給分から反映されています。
また、今回の年金額改定では、現役時代の働き方や収入の違いを踏まえた「多様なライフコースに応じた年金額」も示されています。
2. 働き方でどれくらい変わる?5つのケースで見る年金月額
働き方が多様になるなか、「自分は将来いくら年金を受け取れるのか」と気になる方もいるでしょう。
厚生労働省では、年金の加入歴を男性2パターン、女性3パターンに分け、2026年度に65歳になる人を想定した年金月額の概算を示しています。

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成
2.1 ケース①:男性・厚生年金期間中心の年金額例
《年金月額》17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
2.2 ケース②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心の年金額例
《年金月額》6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
2.3 ケース③:女性・厚生年金期間中心の年金額例
《年金月額》13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
2.4 ケース④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心の年金額例
《年金月額》6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
2.5 ケース⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心の年金額例
《年金月額》7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
このように、厚生年金に加入していた期間や現役時代の収入によって、受け取れる年金額には大きな差が生じます。
とくに、国民年金を中心に加入していたか、厚生年金への加入期間が長かったかによって、老後の年金月額は大きく変わります。
3. 60歳代はいくら受給している?厚生年金・国民年金の平均月額
続いて、実際のシニア世代が受け取っている年金額を年代別に確認します。
ここで紹介する厚生年金の金額には、国民年金(老齢基礎年金)の部分も含まれています。
3.1 【厚生年金】60歳代(60〜69歳)の平均月額をチェック
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
3.2 【国民年金】60歳代(60〜69歳)の平均月額をチェック
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
老齢年金は、原則として65歳から受給が始まります。
そのため、65歳未満では、繰上げ受給(※1)を選択した人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分を受け取っている人などが含まれ、65歳以降より平均額が低くなっています。
65歳から69歳を見ると、厚生年金は14万円〜15万円台、国民年金は6万円台が平均となっています。
※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳~64歳までで前倒しして受け取ること。繰上げた月数に応じて年金が減額(0.4%/月)され、一度決まった減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。
4. 70歳代はいくら受給している?厚生年金・国民年金の平均月額
次に、70歳代の厚生年金と国民年金の平均月額を見ていきましょう。
4.1 【厚生年金】70歳代(70〜79歳)の平均月額をチェック
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
4.2 【国民年金】70歳代(70〜79歳)の平均月額をチェック
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
70歳代では、厚生年金の平均が14万円〜15万円台、国民年金は5万8000円〜6万円台となっています。
5. 80歳代はいくら受給している?厚生年金・国民年金の平均月額
80歳代では、平均受給額はどの程度になっているのでしょうか。
5.1 【厚生年金】80歳代(80〜89歳)の平均月額をチェック
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
5.2 【国民年金】80歳代(80〜89歳)の平均月額をチェック
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
80歳代では、厚生年金が15万円〜16万円台、国民年金が5万8000円〜5万9000円台となっています。
60歳代後半から80歳代までを見ると、年代ごとの平均額に極端な差はありません。
ただし、ここで示されているのはあくまでも各年齢の平均です。
実際に受け取る金額は、現役時代の加入状況や収入などによって異なります。
6. 筆者からのコメント
今回の1.9%・2.0%という引き上げ幅は、物価や賃金の上昇分をそのまま反映したものではありません。
厚生労働省の資料によれば、2026年度は物価変動率3.2%、名目手取り賃金変動率2.1%だったのに対し、「マクロ経済スライド」による調整率(基礎年金▲0.2%、厚生年金▲0.1%)が差し引かれた結果、最終的な改定率は1.9%・2.0%に抑えられています。
この調整率は、現役世代(年金の被保険者)の減少や平均余命の伸びを踏まえて算出されるもので、将来世代の給付水準を確保するための仕組みとされています。
「増額」の報道だけを見ると年金財政に余裕があるように感じるかもしれませんが、実際は少子高齢化に応じて伸びを抑える調整が働いていることも、あわせて知っておきたいポイントです。
実際の受け取り額に近い数字を知るには、平均額の報道よりも、ご自身の「ねんきん定期便」で改定後の見込額を確認するのが確実です。

