7. 平均だけではわからない。厚生年金・国民年金の受給額にはどれくらい差がある?

ここからは、60歳から90歳以降までの全受給権者について、男女別の平均額や受給額の分布を確認していきます。

7.1 厚生年金は男女でいくら違う?

〈全体〉平均年金月額:15万289円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

年金月額階級ごとの受給者数

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

厚生年金は、月額1万円未満の人から30万円以上を受け取る人まで、幅広い金額帯に分布しています。

全体の平均は15万円台ですが、男性の平均額は女性より約6万円高く、男女差も大きいことがわかります。

7.2 国民年金は男女でいくら違う?

〈全体〉平均年金月額:5万9310円

  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

年金月額階級ごとの受給者数

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の平均月額は、男性が6万円台、女性が5万円台です。

月額3万円未満となっている人も一定数いますが、最も受給権者が多いのは「6万円以上~7万円未満」の層となっています。

8. 年金は今から増やせる?知っておきたい3つの選択肢

受給額の個人差が大きいと分かると、不安になった方もいるかもしれません。

ただ、現役時代の加入状況は変えられなくても、今の年齢からでも将来の年金額を増やせる制度はいくつか存在します。

ここでは、日本年金機構が案内している代表的な3つの方法を確認しておきましょう。

8.1 ①繰下げ受給:受給開始を遅らせて増額

65歳から受給開始を1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額され、75歳まで待てば最大84.0%増える「繰下げ受給」という制度があります。

例えば70歳まで5年間繰り下げると42.0%の増額となり、一度決まった増額率は生涯変わりません。

8.2 ②付加年金:月400円の上乗せで将来の基礎年金を増やす

国民年金の第1号被保険者(自営業者やフリーランスなど)や、65歳未満で任意加入している人は、月額400円の「付加保険料」を上乗せして納めることができます。

20歳から60歳までの40年間納め続けた場合、将来受け取る年金額に「200円×納付月数」で計算される加算があり、年間で9万6000円増える計算になります。

2年以上受け取れば、納めた付加保険料の総額を上回る計算になる点も特徴です。

8.3 ③国民年金の任意加入制度:未納期間を埋めて増額

60歳までに保険料の未納期間や免除期間があり、老齢基礎年金が満額に届いていない場合は、60歳以上65歳未満の間、国民年金に任意で加入して保険料を納めることができます。

受給資格期間が10年に満たない一部の人は、条件を満たせば70歳まで任意加入できる特例もあります。

いずれの制度も、加入状況や受給開始のタイミングによって向き・不向きが分かれます。まずは自分自身の年金記録を確認したうえで、検討してみるとよいでしょう。

9. まとめにかえて|早めに自分の「年金見込額」を把握しよう

今回のデータから、厚生年金や国民年金の平均的な受給額や、その分布には大きな個人差・男女差があることが分かりました。

特に厚生年金は、現役時代の働き方(収入や加入期間)によって受給額が大きく左右されるため、「自分は平均くらいもらえるだろう」と思い込むのは危険です。

まずは「自分自身の受給見込額」を正確に把握することが重要です。

毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」や、日本年金機構の「ねんきんネット」を活用すれば、ご自身の年金記録や将来受け取れる年金見込額を簡単に確認することができます。

もし見込額が心もとないと感じたら、繰下げ受給や付加年金など、今の年齢からでも検討できる制度があることも知っておきましょう。

早めの現状把握と準備が、安心できるセカンドライフへの第一歩となるでしょう。

10. 【筆者コメント】

熊谷 良子

繰下げ受給などで年金額そのものを増やせても、それで手取りがそのまま増えるとは限らない点にも注意が必要です。

国税庁の説明によると、公的年金等は「収入金額から公的年金等控除額を差し引いた額」に対して所得税がかかる仕組みで、年金収入が増えるほど課税対象となる所得も大きくなります(65歳以上・年金収入350万円の場合、控除後の課税対象所得は235万円という例が示されています)。

あわせて、健康保険料や介護保険料も年金収入をもとに算定されるため、増額分がそのまま生活費に上乗せされるわけではありません。

「増やす」選択肢を検討する際は、増えた金額の全額が手取りになるわけではないことも踏まえて、無理のない範囲で計画を立てることをおすすめします。

迷ったときは自己判断で決めず、お近くの年金事務所や年金相談センターで、ご自身の状況に応じたシミュレーションを相談してみるとよいでしょう。

参考資料