令和8年1月15日に公布された政令により、国民健康保険税の新たなルールが決定されました。

国民健康保険税という言葉は、会社員の方にはあまりなじみがないかもしれません。これは健康保険料に税金がかけられるわけではなく、国民健康保険の保険料を地方税という形で徴収する仕組みのことです。

筆者はFP(ファイナンシャルプランナー)として相談業務に携わってきましたが、国民健康保険料について、お手元に届く通知書の金額の大きさに驚かれる方は少なくありません。

また、今年度より負担額に新しく「子ども・子育て支援納付金」が加わります。
この記事では、上限額がいくらになるのか、また同時に広がる負担軽減の仕組みについて、3つのポイントで解説します。

ココがポイント
  • 令和8年度の国民健康保険税の上限額が最大113万円になること
  • 新しく加わる「子ども・子育て支援納付金」の金額と影響
  • 5割および2割の負担軽減措置の対象枠がどのように広がるか

1. 上限額は最大「113万円」へ!3万円の子育て支援金が新設

国民健康保険税は、加入者の状況に応じて複数の項目から成り立っています。ご自身の医療費に充てる「基礎課税額(医療分)」、高齢者医療を社会全体で支える「後期高齢者支援金等課税額(支援金分)」、そして40歳以上64歳以下の方が負担する「介護納付金課税額(介護分)」の3つが基本です。

令和7年12月に厚生労働省から公表された税制改正の概要では、このうち医療分の上限額が66万円から67万円へ、1万円引き上げられることが示されました。支援金分の26万円と、介護分の17万円については、今回は金額が据え置かれます。

さらに、大きな変更点として令和8年度から新たに「子ども・子育て支援納付金」が加わります。当初の税制改正の概要時点では具体的な金額は未定とされていましたが、その後の令和8年1月の法令改正により、限度額は3万円と決定されました。

これにより、医療分67万円、支援金分26万円、介護分17万円、そして新設の子育て支援分3万円をすべて合計すると、年間の支払い上限額は最大113万円となります。
制度全体を将来にわたって維持するため、ある程度所得に余裕のある世帯により多く負担してもらうことを目的とした見直しといえます。

2. 所得が一定額以下の世帯を対象とする軽減の判定基準も見直される

負担が増える話ばかりで不安になるかもしれませんが、所得が一定額以下の世帯に向けて、保険税の一部を軽くする「軽減措置」も同時に見直されます。国民健康保険には、所得に応じてかかる負担とは別に、加入者全員にかかる均等割や世帯ごとにかかる平等割という固定の負担があります。

この固定負担を、所得の基準に応じて7割、5割、2割の割合で減らす仕組みが用意されています。

軽減の判定に使う所得の基準額は、5割と2割が引き上げられます

出所:厚生労働省「令和8年度 税制改正の概要(厚生労働省関係)」をもとにLIMO編集部作成

今回の見直しでは、このうち5割と2割の軽減を受けられる基準額が引き上げられました。基準額は、基本となる控除額に、世帯人数に応じた金額を足して計算します。具体的には、人数に応じて計算する加算額が、5割軽減では30万5000円から31万円に、2割軽減では56万円から57万円へとそれぞれアップします。

基準額が上がるということは、それだけ軽減の対象になる枠が広がることを意味します。これまでギリギリのところで対象外だった世帯も、新しい基準では軽減を受けられる可能性が高まります。

上限額の引き上げと同時に、こうした所得が低い世帯への配慮が行われる形です。なお、もっとも手厚い7割軽減の基準である基礎控除額43万円に変更はありません。

村岸 理美

上限の話と軽減の話は、同じ改正のなかで反対方向に動きます。自分の世帯がどちらに関わるのかを先に見ておくと、通知書が届いたときに読み方が変わります。