夫婦2人で受け取っていた年金が、どちらかが亡くなると1人分になります。そのとき世帯の収入がどれだけ減るのかは、あらかじめ知っておきたいところです。
日本年金機構が示す令和8年度の年金額の例では、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は月23万7279円です。令和7年度の月23万2784円から引き上げられました。
この記事では、この標準的な年金額を出発点に、配偶者が亡くなったあとに残る年金と、世帯として減る額を試算します。
1. 令和8年度の夫婦2人分「標準的な年金額」は月23万7279円
まず、出発点となる金額を確認します。
これは日本年金機構が令和8年4月分からの年金額として示している例です。
1.1 前提は平均標準報酬45万5000円で40年間就業した場合
この標準的な年金額は、平均的な収入で40年間就業した場合に受け取り始める年金の給付水準です。平均的な収入とは、賞与を含む月額換算で平均標準報酬45万5000円をさします。
中身は、老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金の満額です。
1.2 内訳は老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金
令和8年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの方で月7万608円です。2人分では月14万1216円になります。
月23万7279円からこれを差し引くと、老齢厚生年金にあたるのは月9万6063円です。世帯の年金のうち、3分の1あまりが厚生年金の部分ということになります。
2. 「夫がもしもの場合…」残された妻の年金はどうなる?
次に、片方が亡くなった場合を考えます。
ここでは会社員だった夫が亡くなり、妻に厚生年金の加入期間がない場合を例にします。
2.1 自分の老齢基礎年金は続く
妻自身の老齢基礎年金は、配偶者が亡くなっても受け取り続けられます。満額なら月7万608円です。
一方で、夫の老齢基礎年金は亡くなった時点で終わります。ここで月7万608円がなくなります。
2.2 遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3
夫の老齢厚生年金にあたる月9万6063円は、そのまま引き継がれるわけではありません。遺族厚生年金として支給されるのは、報酬比例部分の4分の3にあたる月7万2047円です。
妻に厚生年金の加入期間がある場合は、65歳以上で老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は相当する額の支給が停止される調整が入ります。単純な足し算にはなりません。
3. モデルケースで試算!世帯の年金収入は「月9万4624円」減少
専業主婦のモデルケースにおいて、世帯全体の年金収入がどのように変化するのか具体的な減少額を試算してみましょう。
3.1 残される年金の合計は月14万2655円
妻の老齢基礎年金の月7万608円と、遺族厚生年金の月7万2047円を足すと月14万2655円になります。
夫婦2人分の月23万7279円と比べると、差は月9万4624円です。年額に直すと113万5488円になります。
3.2 収入は約6割になるが生活費は半分にならない
月14万2655円は、月23万7279円のおよそ6割にあたります。人数は半分になっても、年金収入は半分にはなりません。
ただし住居費や光熱費のように、人数が半分になっても同じようには減らない支出もあります。額の変化と支出の変化は分けて考える必要があります。
世帯の年金がどれだけ減るかは、夫婦それぞれの加入記録で変わります。モデルの数字をそのまま当てはめず、2人分のねんきん定期便を並べて確かめておくと見通しが立ちます。
