野村総合研究所が2025年2月13日に公表した推計では、日本の富裕層・超富裕層は合計165万3000世帯となり、2005年の推計開始以降で最多となりました。
資産が増えていく局面では、「どれだけ運用に回し、どれだけ現金で持っておくか」という配分の判断が避けて通れません。増やすことと減らさないことは、どちらか一方だけを選べるものではないからです。
この記事では、富裕層の定義と世帯数の推移、そして世帯年収別の金融資産保有額を確認したうえで、現金と運用資産の比率をどう考えるかを整理します。
なお、富裕層の定義や年代別・年収別の資産データに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 富裕層は全体の約2.75%、超富裕層は約0.21%。合計165万3000世帯で2005年以降最多
- 両層の資産総額は469兆円。全世帯の保有資産額の26.1%がこの2層に集中
- 世帯年収別の金融資産保有額は全国平均1940万円、1200万円以上の層は5635万円
1. 富裕層の定義と全体に占める割合
富裕層の定義と割合については資産1億円以上の人に共通する特徴をまとめた記事でも解説されていますので、まず要点を確認しておきましょう。
- 富裕層:世帯の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満
- 超富裕層:世帯の純金融資産保有額が5億円以上
- 富裕層:約2.75%
- 超富裕層:約0.21%
- 富裕層:153万5000世帯
- 超富裕層:11万8000世帯
また、2023年調査の結果、富裕層・超富裕層の世帯数が2005年以降最多を更新しました。
純金融資産1億円以上を保有する世帯は、富裕層と超富裕層を合わせて全世帯の約3%にあたります。割合として見ると決して多数派ではありませんが、その世帯数は長期的に増加を続けています。
2. 富裕層+超富裕層の資産額と世帯数の推移
「超富裕層」と「富裕層」を合わせた、純金融資産1億円以上を持つ資産家たちについて、世帯数や資産総額の推移をみていきます。
- 2005年:86万5000世帯・213兆円
- 2007年:90万3000世帯・254兆円
- 2009年:84万5000世帯・195兆円
- 2011年:81万世帯・188兆円
- 2013年:100万7000世帯・241兆円
- 2015年:121万7000世帯・272兆円
- 2017年:126万7000世帯・299兆円
- 2019年:132万7000世帯・333兆円
- 2021年:148万5000世帯・364兆円
- 2023年:165万3000世帯・469兆円
富裕層と超富裕層の世帯数と資産総額は、世界金融危機や東日本大震災などの影響を受けて一時的に落ち込んだものの、長期的に見ると増加傾向にあります。
とくに2021年から2023年にかけての伸びは顕著です。この背景には、株価上昇や円安による資産価値の増大などがあったことが、同調査レポートでは指摘されています。
2.1 【一覧表】各階層の世帯数と純金融資産保有規模(2023年)
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円
- マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円
なお、富裕層と超富裕層が保有する資産の合計は、前回調査より約3割ほど増加し469兆円に。全世帯の保有資産額の26.1%が、この2つの層に集中していることが分かります。
3. 「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」という新しい富裕層
今回の調査では「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる、新しいタイプの富裕層たちの出現が指摘されています。
3.1 「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」とは
まず、「いつの間にか富裕層」は、株式投資などを通じて富裕層の仲間入りをした、40歳代後半から50歳代の一般の会社員を中心とする層です。
高い金融リテラシーを持つ一方で、富裕層向けの専門的な金融商品や高度な資産管理には不慣れな面もあるとされます。
そして「スーパーパワーファミリー」は、都市部に住む年収3000万円を超える共働き世帯に代表される層です。年代別の平均貯蓄額をまとめた記事と比べると、その水準の高さがよく分かります。
20歳~30歳代の間は、教育費や住宅ローンなどの支払いに苦労するも、昇格・昇給により40歳前後から資産が急速に増加する傾向があり、高収入を背景に50歳前後で富裕層に到達する可能性が高いとされる層です。
この「新しい富裕層」に共通するのは、相続や親の資産に頼らずとも、自分自身のキャリア形成や金融知識によって資産を築いている点と言えるでしょう。
4. 世帯年収別にみる金融資産保有額
年収別の金融資産保有額についても確認しておきましょう。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和7年)』の結果を基に
- 全国:1940万円
- 収入はない:634万円
- 300万円未満:858万円
- 300~500万円未満:1431万円
- 500~750万円未満:1755万円
- 750~1000万円未満:2222万円
- 1000~1200万円未満:2725万円
- 1200万円以上:5635万円
年収が上がるほど金融資産の保有額も大きくなる傾向が読み取れます。ただし、これはあくまで保有額の合計であり、その中身が現金なのか運用資産なのかまでは見えてきません。
大切なのは総額の多寡ではなく、そのうちどれだけを現金で持ち、どれだけを運用に回すかという配分です。同じ1000万円でも、数年内に使う予定があるかどうかで、適切な持ち方はまったく変わってきます。
全世代の貯蓄額の水準と比べてみたい方は、以下の記事もあわせてご参考ください。
【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」



