3. 5年ルールと1.25倍ルールの中身

変動金利型を選ぶときに知っておきたいのが、返済額の見直しの決まりです。

3.1 金利は半年ごと、返済額は5年ごと

住宅金融支援機構によると、変動金利型では半年ごとに借入金利の見直しが行われます。一方で、毎月の返済額の見直しは5年ごとに行われ、見直し後の返済額は変更前の返済額の1.25倍が限度とされているケースが一般的です。

金利が上がっても、5年間は毎月の返済額が変わらないということです。返済額が急に増えないという意味では安心材料に見えます。

3.2 返済額が変わらなくても中身は変わる

ただし、返済額が同じでも、その内訳は変わります。金利が上がれば利息の割合が増え、元金に充てられる分が減ります。返済しているのに元金がほとんど減らないという状態が起こりえます。

さらに借入金利が大幅に上昇し、毎月の利息の支払額が毎月の返済額を超えてしまった場合は、その超えた分の利息の支払いが繰り延べられます。これを未払利息といいます。

4. 未払利息は消えるわけではない

ここが誤解されやすいところです。

4.1 1.25倍を超えた分も支払う

住宅金融支援機構は、借入金利のアップが続いた場合、5年ごとに行われる毎月の返済額の見直しは変更前の返済額の1.25倍が限度とされているため、元金は全く減らず未払利息が積み上がっていく可能性があるとしています。

そのうえで、1.25倍を超えた未払利息は支払わなくてもよいわけではないと注意を促しています。1.25倍ルールは負担をなくす仕組みではなく、支払いの時期を後ろにずらす仕組みだということになります。

4.2 繰上返済という選択肢

金利上昇に備える手段のひとつが繰上返済です。返済期間を短くする期間短縮型と、毎月の返済額を減らす返済額軽減型があります。

どちらを選ぶかは、家計の状況と目的によります。手数料の有無や最低金額は金融機関によって異なりますので、契約している金融機関に確認することになります。

5. 定年後にどれくらい残るのか

最後に、返済がどこまで続くのかを見ておきます。

5.1 60歳代の残高は平均697万円

この点について、LIMOの記事「【60歳代の住宅ローン】残高の平均は697万円、中央値300万円。定年後も500万円以上が残る世帯は45.3%、退職金で一括返済すべきかの判断軸を元銀行員が解説」から要点を引用しておきます。

二人以上世帯のうち世帯主が60歳代で借入金額を回答した世帯の住宅ローン残高は、平均697万円、中央値300万円でした。500万円以上が残っている世帯は45.3%にのぼります。

出所:【60歳代の住宅ローン】残高の平均は697万円、中央値300万円。定年後も500万円以上が残る世帯は45.3%、退職金で一括返済すべきかの判断軸を元銀行員が解説

6. まとめにかえて

住宅ローンの金利タイプは、全期間固定金利型・固定金利期間選択型・変動金利型の3つです。返済方法は元利均等返済と元金均等返済の2つで、総返済額は元金均等返済のほうが少なくなります。

変動金利型では金利の見直しが半年ごと、返済額の見直しが5年ごとで、上げ幅は1.25倍が限度とされることが一般的です。ただし1.25倍を超えた未払利息も、支払わなくてよいわけではありません。

金利のタイプと返済方法は別々の選択です。返済額の試算は金融機関のシミュレーションで確認できますので、両方の組み合わせで比べてみてください。

参考資料

中本 智恵