4. 10年動かしていない預金はありませんか

金利を意識して預け替えを考えるなら、その前に確かめておきたいことがあります。使っていない口座が残っていないかどうかです。

4.1 10年以上取引がないと「休眠預金等」になる

金融庁によると、10年以上入出金等の取引がない預金等は休眠預金等として扱われます。2009年1月以降に最後の異動があった預金等が原則として対象です。

対象になるのは普通預金、定期預金、当座預金、貯蓄預金、定期積金、元本補填のある金銭信託などです。外貨預金や財形貯蓄は対象外とされています。

休眠預金等になったお金は預金保険機構を通じて民間公益活動に活用されます。内閣府によると、活用先は子どもや若者への支援、生活を営む上で困難を有する者への支援、地域活性化への支援の3分野です。

4.2 休眠預金等になっても、引き出しに期限はない

預金が消えてしまうわけではありません。金融庁は、休眠預金等となった後も引き続き取引のあった金融機関で引き出すことができると案内しています。

引き出しに期限はなく、通帳をなくしていても本人確認書類があれば手続きできるとされています。ただし、口座の状態によっては時間がかかることもあります。

4.3 通知は、届け出ている住所にしか届かない

金融機関は、長く取引のない預金について預金者へ通知を行うことがあります。ただし、届け出ている住所が古いままだと通知は届きません。

定期預金は満期のたびに自動継続される設定になっていることも多く、気づかないまま残高だけが残り続けます。金利が上がったいまは、そうした口座を掘り起こすきっかけにもなるでしょう。

中本 智恵
銀行の窓口にいた頃、住所変更が届け出られておらず郵便物が戻ってきてしまう口座がありました。使っていない口座に心当たりがあるなら、残高だけでなく住所や印鑑の届出もあわせて確かめておくと、いざ手続きするときに慌てずにすみます。

5. 預け替えの前に確かめておきたいこと

金利が上がったからといって、急いで動かすと損をすることもあります。手続きの前に2つ確認しておきましょう。

5.1 中途解約すると約束の金利は受け取れない

定期預金は預入時に決めた期間まで置くことを前提に金利が決まります。途中で解約すると、多くの場合は中途解約利率が適用され、当初の金利より低くなります。

期間が長いものほど金利は高くなりますが、その分だけ使えない期間も長くなります。5年や10年の定期に入れる前に、その間に使う予定がないかを確かめておいてください。

5.2 元本1000万円と利息までが預金保険の対象

預金保険機構によると、利息のつく普通預金や定期預金などは、預金者1人当たり1金融機関ごとに合算して、元本1000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。

利息のつかない普通預金や当座預金などの決済用預金は全額が保護の対象です。1つの金融機関にまとめる場合は、この範囲も頭に置いておくとよいでしょう。

6. 金利が上がると、借りている側の負担も増える

預金の金利が上がる局面では、借入の金利も上がります。貯蓄と負債は同じ動きの裏表です。

6.1 変動金利の住宅ローンは見直しの時期がある

家計調査報告によると、二人以上の世帯の負債現在高は2025年平均で681万円、前年から3.8%増えています。その多くは住宅・土地のための負債です。

変動金利で借りている場合、適用金利や返済額の見直しの時期は金融機関ごとに決められています。ご自身の契約がどうなっているかは、返済予定表や借入先の案内で確かめられます。

6.2 繰上返済と預け入れ、どちらを優先するか

住宅ローンの金利が預金の金利を上回っている間は、繰上返済のほうが手元に残る効果が大きくなることもあります。ただし、繰上返済に回すと手元の資金は減ります。

住宅ローン控除を受けている期間かどうかでも判断は変わります。どちらを優先するかは、借入先や税務署に確認したうえで決めるのが確実です。

7. まとめにかえて

二人以上の世帯の貯蓄は平均2059万円まで増えましたが、内訳では定期性預貯金だけが5年前より96万円減りました。金利がつかない時期が長かったことを考えると、自然な動きだったといえます。

2026年8月3日からの引き上げで、普通預金は年0.40%、5年ものの定期預金は年1.00%になりました。条件が変わったのですから、置き場所を見直す価値はあるでしょう。

とはいえ、すぐ使うお金まで動かしてしまうと本末転倒です。手元に残しておく分を決めたうえで、分からない点は取引先の金融機関に相談してみてください。

参考資料

中本 智恵