6. 「会社の制度、使い切れていますか?」ファイナンシャルアドバイザー・川勝隆登に聞く、勤め先の制度の見直し方

資産形成の話を進めるなかで、勤め先に用意されている制度を十分に使えていなかったと気づく方は少なくありません。申し込まなければ始まらない仕組みが多いためです。

6.1 30代・40代に多い「制度があるのに使えていない」という悩み

企業型の確定拠出年金や団体保険、財形、持株会など、勤め先の制度は入社時に一度説明を受けたきりというケースが少なくありません。使えるはずの上乗せや割安な保障を知らないまま、外で同じような商品を契約してしまうこともあります。次のような声を耳にします。

40代のお客様
つみたてと企業型の年金はやっているのですが、それ以外に会社にどんな制度があるのかは把握できていません。効率よく資産をつくりたいと思っているものの、今の形が最適なのかどうか判断できずにいます。

外の商品を検討する前に、勤め先の制度を確認する。この順番にすると、同じ負担でより有利な形になることがあります。

6.2 【ファイナンシャルアドバイザー・川勝隆登が回答】外を探す前に、社内の制度を確認する

川勝 隆登
会社制度の活用に向けて、まずは使える制度の一覧を取り寄せ、上乗せできる枠が残っていないかを確認していきましょう。勤め先によって制度内容が異なり、一概にどの制度を活用するべきかを判断することが難しいため、一度勤め先の制度を把握することから始めていきましょう。そうすることで、外で契約している商品と内容が重複していないかを確認でき、どちらのほうが条件が良いのかを見比べることができます。同じ負担でもより良い内容の資産形成を進めることができたり、そもそもの負担額を抑えることができるかもしれません。

見直しは、いま入っているものを増やすより、使える枠を確認するところから始めます。次の三つの順序で確認していきましょう。

6.3 ポイント1:使える制度の一覧を取り寄せる

企業型の年金、団体保険、財形、持株会など、勤め先の制度は担当部署に確認すれば把握できます。自分が対象なのに手続きをしていないものがないか、まず確認します。

6.4 ポイント2:上乗せできる枠が残っていないか確認する

企業型の確定拠出年金では、条件を満たせば自分で掛金を上乗せできる仕組みが用意されている場合があります。税制上の扱いが有利になることもあるため、対象かどうかを調べる価値があります。

6.5 ポイント3:外で契約している商品と比べる

団体で加入する保障は、個人で契約するより負担が抑えられる場合があります。同じ目的の商品を二重に持っていないか、勤め先の制度と並べて見直すと、無駄が見つかります。

なお、勤め先の制度の内容や加入条件は会社ごとに異なり、税制上の取り扱いも改正されることがあります。ご自身が対象となるか、どの枠が使えるかについては、勤務先の人事・総務担当部署や制度の運営管理機関に必ずご確認ください。投資信託には元本割れの可能性があります。

7. まとめ|制度を使い切って物価高を乗り切る

この記事では、シニア世代が受け取れる公的なお金を整理してきました。制度は今あるものだけでなく、新設や改正も続きます。普段から少しずつでも情報に触れておくことが、取りこぼしを防ぐ近道です。

今回取り上げたものは、いずれも申請が前提の制度です。加給年金のように、手続きを忘れると総額200万円以上を受け取り損ねる可能性があるものもあります。

老後の土台となる年金に加えて、この記事では触れていない自治体独自の制度も組み合わせる。物価上昇が続くなかでゆとりを保つには、使える制度を一つずつ拾い上げていく姿勢が欠かせません。

8. よくある質問(FAQ)

8.1 Q. 退職後、失業手当をもらっている間は、配偶者の社会保険の扶養に入れますか?

A. 失業手当(基本手当)の「日額」次第です。失業手当は非課税なので所得税の計算には入りませんが、健康保険の扶養審査では「収入」として厳格に見られます。60歳未満なら日額3612円(年収換算130万円未満)、60歳以上なら日額5000円(年収換算180万円未満)を超えていると、受給している期間は配偶者の扶養に入れません。自分で国民健康保険に加入し、保険料を負担することになります。

8.2 Q. 役所から給付金の案内が何も来ないのですが、対象外ということですか?

A. そうとは限りません。年金生活者支援給付金のようにハガキが届くものもある一方、加給年金、高年齢雇用継続給付、失業手当などはすべて自己申告(申請主義)です。条件を満たしていても案内は届きません。年金事務所やハローワークに自分で出向き、「対象になりますか」と確認するところから始める必要があります。

8.3 Q. 特別支給の老齢厚生年金と失業手当、どちらをもらった方が得ですか?

A. 個別の「年金額」と「失業手当の日額・給付日数」を突き合わせないと答えは出ません。現役時代の給与が高く失業手当の日額が大きい方はハローワークで手続きをしたほうが有利になり、逆に給与が低めで年金加入歴が長い方は、失業手当を受けずに年金を受け取り続けたほうが総額で上回ることもあります。退職前に年金事務所で見込額を出し、ハローワークの失業手当計算ツールなどと並べて比べてみてください。

参考資料

川勝 隆登