2026年4月分から、公的年金の額が改定されました。国民年金(基礎年金)は前年度から1.9%、厚生年金の報酬比例部分は2.0%の引き上げです。国民年金の満額は月額7万608円(昭和31年4月2日以後生まれ)になりました。

額面が上がったことは前向きな材料ですが、それとは別に確かめておきたいことがあります。自分が受け取る額が、全体のどのあたりに位置しているのかという点です。厚生年金の平均は月15万289円ですが、この平均をクリアしている人は、受給権者の半分に届いていません。

この記事では、公的年金の「2階建て」の仕組みを確認したうえで、厚生年金で月15万円以上を受け取る人の割合を男女別に見ていきます。あわせて、50代・60代のご相談で多い「口座と保険が散らばったままになっている」という状態に、どう向き合えばよいのかを取り上げます。

なお、公的年金の仕組みや平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
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ココがポイント
  • 2026年度の年金額は基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%の引き上げ。国民年金の満額は月額7万608円
  • 厚生年金(国民年金を含む)の平均は月15万289円。これをクリアしているのは受給権者の49.8%で、半分に届かない
  • 男女別では男性68.8%に対し女性12.3%。月15万円以上を受け取る801万5484人のうち、女性は8.3%にとどまる

1. 公的年金は「2階建て」|国民年金と厚生年金の仕組み

公的年金の基本的な仕組みについては、LIMOの記事「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」から要点を引用して確認しておきましょう。

日本の公的年金は、よく「建物の階層」に例えられます。1階部分の国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられ、自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが「第1号被保険者」として一律の保険料を納めます。会社員に扶養されている配偶者(年収130万円未満など)は「第3号被保険者」となり、個別の保険料負担はありません。2階部分の厚生年金は、厚生年金保険の適用事業所に勤務する会社員や公務員が加入し(第2号被保険者)、国民年金に上乗せされる形で加入するため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てで年金を受け取ることができます。保険料は給与額に応じて変動し、会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が大きな特徴です。

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

1.1 2026年度の年金額|基礎年金1.9%・報酬比例部分2.0%の引き上げ

この2階建てのそれぞれが、2026年4月分から改定されています。日本年金機構によると、令和8年度(2026年度)の年金額は、国民年金(基礎年金)が前年度から1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%の引き上げとなりました。

  • 国民年金(老齢基礎年金)の満額:月額7万608円(昭和31年4月2日以後生まれ)/月額7万408円(昭和31年4月1日以前生まれ)
  • 厚生年金(夫婦2人分の標準的な年金額):月額23万7279円

出所:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」

※厚生年金の「夫婦2人分の標準的な年金額」は、平均的な収入(平均標準報酬・賞与含む月額換算45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める、老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)を合わせた給付水準です。

2. 厚生年金「月15万円以上」は何パーセント?平均15万289円をクリアするのは49.8%

厚生年金の年金額は、現役時代の収入や加入期間によって個人差が出ます。では、実際の分布はどうなっているのでしょうか。

厚生労働省の資料「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金を含む)の平均年金月額は男女全体で15万289円です。公的年金は原則として2か月に一度支給されるため、この平均額で考えると、一度の支給日に約30万円が振り込まれる計算になります。

ここからは、この平均である月額15万円をクリアしている人が受給権者全体のどのくらいを占めるのかを確認していきます。

※以下の厚生年金の年金月額には、国民年金(老齢基礎年金)部分を含みます。また、これは令和6年度の実績値で、前述の2026年度改定を反映する前の水準です。

2.1 【男女全体】厚生年金で「ひと月15万円」もらえる人は何パーセント?

【男女全体】厚生年金の平均年金月額:15万289円

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

厚生年金を月額15万円以上受給している人は、男女全体の受給権者の半分に満たない49.8%です。厚生年金を受給していない人も含めて計算すると、この割合はさらに低くなります。

2.2 【男女別】厚生年金で「ひと月15万円」もらえる人は何パーセント?

では、男女別に見るとどうでしょう。あわせて月15万円以上を受け取る人の割合も確認しておきましょう。

厚生年金保険年金月額階級ごとの受給権者数2/2

厚生年金保険年金月額階級ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

【男性】厚生年金の平均年金月額:16万9967円

  • ~1万円:3万446人
  • 1万円以上~2万円未満:1万257人
  • 2万円以上~3万円未満:5404人
  • 3万円以上~4万円未満:5185人
  • 4万円以上~5万円未満:1万4747人
  • 5万円以上~6万円未満:3万9134人
  • 6万円以上~7万円未満:13万4214人
  • 7万円以上~8万円未満:23万186人
  • 8万円以上~9万円未満:26万278人
  • 9万円以上~10万円未満:26万99人
  • 10万円以上~11万円未満:29万8838人
  • 11万円以上~12万円未満:37万6357人
  • 12万円以上~13万円未満:45万6689人
  • 13万円以上~14万円未満:54万9337人
  • 14万円以上~15万円未満:65万7775人
  • 15万円以上~16万円未満:76万4713人
  • 16万円以上~17万円未満:85万3718人
  • 17万円以上~18万円未満:92万6462人
  • 18万円以上~19万円未満:95万5327人
  • 19万円以上~20万円未満:91万3998人
  • 20万円以上~21万円未満:82万204人
  • 21万円以上~22万円未満:68万2702人
  • 22万円以上~23万円未満:50万9842人
  • 23万円以上~24万円未満:34万1191人
  • 24万円以上~25万円未満:22万4720人
  • 25万円以上~26万円未満:14万7563人
  • 26万円以上~27万円未満:9万2856人
  • 27万円以上~28万円未満:5万4156人
  • 28万円以上~29万円未満:2万9810人
  • 29万円以上~30万円未満:1万4935人
  • 30万円以上~:1万8801人

【女性】厚生年金の平均年金月額:11万1413円

  • ~1万円:1万2953人
  • 1万円以上~2万円未満:3880人
  • 2万円以上~3万円未満:2万9993人
  • 3万円以上~4万円未満:6万3025人
  • 4万円以上~5万円未満:6万1945人
  • 5万円以上~6万円未満:6万9313人
  • 6万円以上~7万円未満:18万892人
  • 7万円以上~8万円未満:34万8764人
  • 8万円以上~9万円未満:54万1901人
  • 9万円以上~10万円未満:75万1358人
  • 10万円以上~11万円未満:81万3990人
  • 11万円以上~12万円未満:69万5128人
  • 12万円以上~13万円未満:52万2466人
  • 13万円以上~14万円未満:37万4169人
  • 14万円以上~15万円未満:27万1489人
  • 15万円以上~16万円未満:20万322人
  • 16万円以上~17万円未満:14万7604人
  • 17万円以上~18万円未満:10万5489人
  • 18万円以上~19万円未満:7万1561人
  • 19万円以上~20万円未満:4万8617人
  • 20万円以上~21万円未満:3万3387人
  • 21万円以上~22万円未満:2万1931人
  • 22万円以上~23万円未満:1万4116人
  • 23万円以上~24万円未満:8813人
  • 24万円以上~25万円未満:5491人
  • 25万円以上~26万円未満:3233人
  • 26万円以上~27万円未満:1811人
  • 27万円以上~28万円未満:927人
  • 28万円以上~29万円未満:479人
  • 29万円以上~30万円未満:223人
  • 30万円以上~:482人

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

月額15万円以上の年金を受給している割合は、男性で68.8%に上るのに対し、女性ではわずか12.3%にとどまっています。厚生年金は加入期間と現役時代の報酬で決まるため、働き方の違いがそのまま金額に反映されます。

長井 祐人
ご相談の場では、自分の見込み額をご存じないまま「平均くらいはあるだろう」とお考えの方が少なくありません。厚生年金は加入期間と報酬で決まりますので、転職や休職、パート勤務の期間があれば、その分が金額に表れます。まずはねんきん定期便やねんきんネットで、ご自身の見込み額を確かめておくと、この分布のどこにいるかが見えてきます。

2.3 【独自試算】平均15万289円は「実感から遠い平均」ではない|中央値も14万円台

平均額というと、一部の高額な人に引き上げられていて実態から離れている、という印象を持たれることがあります。厚生年金の場合はどうなのか、公表されている階級別の人数から中央値の位置を確かめてみましょう。

  • 受給権者の合計:1608万5696人(その半数は804万2848人)
  • 13万円台までの累積:714万948人(半数に届かない)
  • 14万円台までの累積:807万212人(ここで半数を超える)

つまり、中央値が入るのは「14万円以上15万円未満」の階級です。平均15万289円のすぐ下の帯に、真ん中の人がいることになります。貯蓄額のように平均と中央値が大きく離れる構造ではなく、厚生年金の平均額は、受給者の真ん中の姿からそれほど遠くありません。

ただし、この分布は厚生年金の受給権者に限ったものです。国民年金だけを受け取る人は含まれていないため、公的年金の受給者全体で見れば、真ん中の位置はこれより下がります。

2.4 【独自試算】月15万円以上の801万5484人|そのうち女性は8.3%

男女別の人数を階級ごとに足し合わせると、月15万円以上を受け取っている人の内訳が見えてきます。

  • 月15万円以上の合計:801万5484人
  • うち男性:735万998人(91.7%)
  • うち女性:66万4486人(8.3%)

月15万円以上を受け取っている人のうち、女性は約12人に1人という構成です。男女それぞれの受給権者数に対する割合が68.8%と12.3%で5.6倍の開きがあることに加えて、人数そのものにもこれだけの偏りがあります。

この差は、制度が不利にできているというより、加入期間と報酬がそのまま金額になる仕組みの結果です。出産や育児での離職、扶養内でのパート勤務といった期間は、そのまま2階部分の薄さとして表れます。ご夫婦で老後の家計を考えるときは、世帯合計だけでなく、それぞれの受給額を分けて確かめておくと、片方が先に亡くなった後の姿も見通しやすくなります。

※厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の月額階級別受給権者数を単純に合計した目安です。中央値は階級の区切りで判定しており、階級内部の分布は考慮していません。厚生年金保険(第1号)の受給権者に限った分布で、国民年金のみを受け取る人は含みません。四捨五入のため、割合の合計は100%にならない場合があります。

長井 祐人
見込み額が分かると、次に出てくるのが「足りない分をどこから出すか」という話です。ところが、ここで手が止まる方が多くいらっしゃいます。ご自身の資産がどこに何があるのか、はっきりしないためです。50代・60代のご相談では、増やす方法を考える前に、まず散らばっているものを一覧にするところから始めることが少なくありません。

2.5 【監修者コメント・熊谷良子】平均額は分布の一点、確かめたいのは自分の見込み額と資産の全体像

熊谷 良子

この記事では、公的年金の2階建ての仕組みと、厚生年金で月15万円以上を受け取る人の割合をご紹介しました。平均は月15万289円ですが、これをクリアしているのは受給権者の49.8%です。平均額は分布のなかの一点ですので、ご自身の見込み額と並べて見ておくとよいでしょう。

なお、この平均15万289円は令和6年度の実績です。2026年度は基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられていますので、いま受け取っている額とは水準が異なります。年金のデータを見るときは、どの年度のものかを確かめておくと、比較のときに混乱しにくくなります。

また、金額を確かめたあとに続くのが、手元にある資産の全体像です。相続や終活の場面では、ご本人が把握していない口座や、目的が重なった保障が後から出てくることがあります。金額の大小より、どこに何があるかが分かっているかどうかが、後の手続きの負担を左右します。

そのうえで、公的な給付や高額療養費のように、要件を満たしていても申請しなければ受け取れない制度があります。対象になるかどうかは、加入している健康保険組合やお住まいの自治体で確認できますので、口座や保険を洗い出すタイミングで一緒に見ておくのも選択肢の1つです。