3. 現役ファイナンシャルアドバイザーが答える「どこに何があるか分からない」―口座と保険を洗い出す解決策

日頃のご相談では、資産が増えていないのではなく、散らばっていて把握できていないだけ、というケースが少なくありません。使っていない口座や重なった保障は、洗い出してみて初めて見つかります。

3.1 50代・60代でよくご相談される「契約が散らばったままになっている」という悩み

長く働いてきた方ほど、金融機関も保険会社も増えていきます。勤務先の変更や勧められた時々の事情で契約が積み上がり、全体像が誰にも見えない状態になる。次のような声を耳にします。

50代のお客様(ご相談者)
証券会社が複数に分かれていて、それぞれに少しずつ資産が入っています。保険もいくつかの会社で入っているので、保障が重なっている部分や、減らせる保険料があるのかどうかを見てほしいのです。

整理の目的は減らすことではなく、把握することです。見えるようになって初めて、残すものと整理するものを選べます。

3.2 【ファイナンシャルアドバイザー・長井祐人が回答】減らす前に、まず全体を把握する

長井 祐人

銀行・証券会社・保険会社といった金融機関では、さまざまなところで契約をすることができるため、契約があちこちに散らばっていることはよくあります。
しかし、資産全体を把握することで保障や商品の偏り・重複に気づきやすく不要な保険料・手数料の削減にも繋がります。

まずは、契約先や商品を一枚の紙に書き出し、保障内容や商品の重複がないか確認してみましょう。もし分からない場合には、担当者に相談するのも一つの方法です。

また必要に応じて、契約を集約したり、株式や投資信託であれば移管といった方法を活用して管理しやすくなります。

資産の見える化は、将来のお金に対する不安を軽減することにも繋がっていきます。

洗い出しは、金融機関をまたいで一覧にするところから始めます。ご相談のなかでは、次の三つの順序でお話しすることが多くあります。

3.3 ポイント1:契約先を全部書き出す

銀行、証券会社、保険会社、勤務先の制度まで含めて並べる。残高がわずかな口座や、何年も動かしていない契約がここで見つかります。

3.4 ポイント2:保障の重複を確認する

医療、がん、傷害と、目的別に分類すると、同じ備えを複数の会社で持っていることに気づきます。公的な医療費の負担上限を踏まえると、必要な保障額そのものが変わることもあります。

3.5 ポイント3:集約できるものは一か所にまとめる

口座が分散していると、資産全体の配分が把握しにくく、手続きの手間も増えます。まとめておくことは、将来ご家族が手続きをする際の負担軽減にもつながります。

なお、公的な給付や高額療養費などの制度は、多くが申請しなければ受け取れません。ご自身が対象になるかどうかは、加入している健康保険組合やお住まいの自治体にご確認ください。保険の解約・減額は健康状態によっては元に戻せない場合があり、口座の移管には手数料や税務上の取り扱いが伴うことがあります。

4. まとめにかえて|数字を確かめる作業と、散らばりを一覧にする作業

2026年度の年金額は、基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%の引き上げとなりました。国民年金の満額は月額7万608円です。額面は前年度より上がっています。

一方で、令和6年度の実績で見ると、厚生年金(国民年金を含む)の平均は月15万289円で、これをクリアしているのは受給権者の49.8%でした。男女別では男性68.8%に対し女性12.3%。月15万円以上を受け取る801万5484人のうち、女性は8.3%で、約12人に1人という構成です。

平均と中央値がほぼ重なっているという点では、厚生年金の平均額は実態から遠い数字ではありません。ただし、それは受給権者全体の真ん中を示すもので、ご自身の額とは別のものです。まずはねんきん定期便やねんきんネットで見込み額を確かめる。そのうえで、どこに何があるかを一覧にする。この2つは順番に進められる作業で、どちらも今日から手をつけられます。

参考資料

長井 祐人