5. 「商品が多すぎて選べない」新NISAの候補を3つの視点で絞り込む|ファイナンシャルアドバイザー・橋本優理が回答

新NISAを始めようと調べ始めたところで手が止まってしまう、というご相談は日頃から数多くいただきます。制度の中身よりも、並んだ商品のどれを選べばよいかで迷ってしまう方が少なくありません。ここでは、20代の方からのご相談をもとにした一事例として、候補の絞り込み方をご紹介します。

5.1 投資経験が浅い20代・30代。「新NISA・iDeCo・保険、どれが自分に合う?」

投資を始めるときに最初のハードルになるのが商品選びです。とくに投資経験の少ない20代・30代の方は、新NISAのほかにiDeCoや保険、債券まで選択肢が並ぶことで判断がつかなくなります。相談の場では、次のような声を耳にします。

20代のお客様
まとまった資金を一度に投じるのは不安があるので、まずは毎月数万円の積立から始めたいと考えています。ただ、新NISAやiDeCo、保険まで候補が並ぶと、自分にどれが合っているのか判断がつきません。長く続けて資産を増やしていきたい気持ちはあるのですが。

このご相談では、それぞれの商品が「何のための仕組みなのか」を一つずつ確認していくことで、ご自身の状況に合う選択肢を絞り込むことができました。商品の数ではなく、判断する順番を整理できたことが転機でした。候補が多くて迷うのは、情報を集めて丁寧に比べようとしている方ほど起こりやすいものです。

5.2 【ファイナンシャルアドバイザー・橋本優理が回答】銘柄を比べる前に、絞り込む順番を決める

橋本 優理
投資経験がない人にとって、膨大な投資信託の中からどれを選ぶかを決めるのは難しいことでしょう。
なんとなくで手を止める前に、「どの国に投資したいか」「どんな分野に投資したいか」を大まかでも良いので考えてみましょう。
また投資信託以外にも、債券や保険商品など、比較的値動きのリスクが小さいものもあります。
どれかひとつに資産を集中させるのではなく、複数の商品に分けてリスク分散しておくことも大切です。

商品が多すぎて決められないときは、いきなり銘柄同士を比べないことが大切です。目的・引き出しやすさ・値動きの分散という3つの観点で順番に絞っていけば、候補は自然と数本まで落ち着いていきます。

5.3 ポイント1:非課税で運用する目的をはっきりさせる

一つ目は、非課税で運用する目的をはっきりさせることです。何年後にいくら必要なのかを先に試算すると、必要な運用期間と毎月の積立額が見えてきます。目的が定まれば、非課税のメリットを長く活かせる商品かどうかという基準で候補を判断できるようになります。なお、NISAの非課税の取り扱いや投資できる金額の枠、対象となる商品の範囲といった制度の内容は、改正されることがあります。要件・金額・期限を断定せずに、最新の内容は金融機関や国税庁などの公的窓口、または専門家にご確認ください。

5.4 ポイント2:引き出しやすさで候補を切り分ける

二つ目は、引き出しやすさで候補を切り分けることです。iDeCoは税制上の優遇が用意されている一方で、原則として60歳まで引き出せない仕組みになっています。運用と保障がセットになった商品にも、それぞれ途中で解約しにくい事情があります。今後の収入や支出の変化に備えて使える資金かどうかという軸で整理すると、優先順位が付けやすくなります。ただし、iDeCoの加入要件や受け取りを開始できる年齢、税制上の取り扱いは、働き方や制度改正によって変わります。こちらも要件・金額・期限を断定せず、金融機関や年金関係の公的窓口、専門家に必ずご確認ください。

5.5 ポイント3:値動きの異なる資産に分けて考える

三つ目は、値動きの異なる資産に分けて考えることです。株式だけに寄せず、債券のように値動きの性質が違う資産を組み合わせておくと、相場が下がった局面での揺れを抑えやすくなります。円建てと外貨建てを見比べ、物価の上昇も踏まえて組み合わせを検討することも一つの方法です。ただし、資産を分けても値下がりや損失を避けられるわけではなく、どの組み合わせが適しているかは、受け入れられる値動きの幅や運用できる期間によって変わります。

なお、投資信託や外貨建ての商品は元本が保証されておらず、相場や為替の動きによって受け取れる金額が投じた額を下回る可能性があります。ご自身が受け入れられる値動きの幅を確かめたうえで、余裕資金の範囲から無理なく始めることが現実的です。

ここでご紹介したのは一事例であり、適した選び方も必要な金額も前提条件も、収入や家族構成、ライフプランによって一人ひとり異なります。NISAやiDeCoなどの制度は改正されることがあり、要件・金額・期限はご自身の状況によっても変わります。実際の判断にあたっては、金融機関や税務署・年金関係の公的窓口などで最新の情報をご確認のうえ、専門家に個別にご相談ください。

6. まとめ|「老後資金」づくりに遅すぎることはない

投資についての知識をつける労力などがネックにはなりますが、労働以外の方法でお金を増やせる点は魅力といえます。

慣れていない人にとってお金を動かす「資産運用」は難しそうに見えるもの。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえれば、証券会社選びや商品選びも進めやすくなります。投資信託だからといって必ず値上がりするとはいえませんが、長期間運用を続ければ安定的な資産の増加が期待できるでしょう。

今回のデータが示すとおり、新NISAの利用者は年収300万円未満の層が最も多く、決して高所得者だけの制度ではありません。非課税保有限度額も急いで使い切る必要はなく、ご自身のペースで長く続けることが何より大切です。

ただし、日常生活を脅かすほどの投資はライフプランを崩しかねません。少額からでも、できるだけ早いうちから投資を始めていき、購入のタイミングを分散するように心がけるのがよいかもしれません。

長期間運用を続けた効果について知りたい方は、長期積立をシミュレーションした記事「新NISAで毎月5万・10万円積み立てるといくら?シミュレーションと見落としがちな罠とは?長期投資で失敗しないための実務的な防衛策」をご覧ください。

参考資料

橋本 優理