新NISAを始めるにあたり、「オルカン(全世界株式)とS&P500(米国株式)のどちらを選ぶべきか」と悩んでいませんか?

どちらも圧倒的な人気を誇るインデックスファンドですが、なんとなく流行りで選んでしまうと、ご自身の投資スタイルと合わず、将来の相場変動時に後悔してしまうかもしれません。

この記事では、オルカンとS&P500の短期・中期・長期にわたるリアルな運用実績を徹底比較!似ているようで異なる両者のパフォーマンスに、なぜ差が出るのかを「構成比率」や「地域分散」といった中身の違いから紐解きます。

さらに記事の最後には、プロの目線から見た資産配分(アロケーション)の考え方も解説。

この記事を読めば、両者の違いがスッキリ理解でき、あなたにぴったりのファンドを確信を持って選べるようになります。まずは、2026年6月22日時点における実績データからしっかりと確認していきましょう!

1. この記事の3つのポイント

  •  オルカンとS&P500の運用実績を期間別(短期〜長期)に徹底比較
  •  両ファンドに共通する上位銘柄と、運用成果に差がつく「構成比率」の違い
  •  米国への集中投資とグローバル分散投資、あなたに合ったファンドの選び方

2. 「オルカン」と「S&P500」の運用実績を徹底比較!短期・中期・長期リターンで見る違いとは

それでは早速、2026年6月22日時点における両ファンドの運用パフォーマンスを比較していきましょう。

2.1 eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)の基準価額と純資産総額の動向

三菱UFJアセットマネジメントの資料によると、2026年6月22日時点における「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の運用実績は、以下のようになっています。

  • 設定日:2018年10月31日
  • 設定来のトータルリターン:+283.06%
  • 過去5年間のリターン:+151.72%
  • 過去1年間のリターン:+42.42%
  • 過去6カ月間のリターン:+15.36%
  • 過去1カ月間のリターン:+3.32%

2.2 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の基準価額と純資産総額の動向

次に、同じく2026年6月22日時点における「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の運用実績を確認します。

  • 設定日:2018年7月3日
  • 設定来のトータルリターン:+345.36%
  • 過去5年間のリターン:+175.94%
  • 過去1年間のリターン:+40.01%
  • 過去6カ月間のリターン:+13.08%
  • 過去1カ月間のリターン:+2.36%

2.3 【期間別】オルカンとS&P500のリターンを比較検証

短期(直近1年)のリターン比較:オルカンが優勢

まず直近1年間のリターンを見てみると、オルカンがS&P500を上回る結果となりました。

  • オルカン:+42.42%
  • S&P500:+40.01%

中期(直近5年)のリターン比較:S&P500が優勢

次に直近5年間のリターンで比較すると、今度はS&P500がオルカンを上回っています。

  • オルカン:+151.72%
  • S&P500:+175.94%

長期(設定来)のリターン比較:S&P500が優勢

両ファンドは設定日が約3カ月異なるため単純比較はできませんが、設定来のトータルリターンではS&P500がオルカンを上回る結果です。

  • オルカン:+283.06%
  • S&P500:+345.36%

※両ファンドとも運用期間が10年未満のため、本記事では設定来(約7年)を長期として扱います。

3. オルカンとS&P500、パフォーマンスに差がつく理由はその「中身」にあった

「全世界株式」と「米国株式」という名前から、全く異なる投資先をイメージするかもしれません。しかし、実は両ファンドの「中身」は非常に似ています。

では、なぜ運用実績に差が生まれるのでしょうか。その鍵は、構成銘柄の「比率」と「投資対象地域の広さ」に隠されています。

3.1 構成上位銘柄はほぼ同じ?両ファンドに共通する「成長エンジン」

最初に注目したいのが、両ファンドの組入上位銘柄です。

2026年5月29日時点で、両ファンドともに組入上位5銘柄は以下の通り共通しています。

オルカンの組入上位10銘柄(2026年5月29日時点)

  1. NVIDIA CORP(アメリカ / 情報技術):4.9%
  2. APPLE INC(アメリカ / 情報技術):4.3%
  3. MICROSOFT CORP(アメリカ / 情報技術):2.9%
  4. AMAZON.COM INC(アメリカ / 一般消費財・サービス):2.5%
  5. ALPHABET INC-CL A(アメリカ / コミュニケーション・サービス):2.1%
  6. ALPHABET INC-CL C(アメリカ / コミュニケーション・サービス):1.9%
  7. BROADCOM INC(アメリカ / 情報技術):1.8%
  8. TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC(台湾 / 情報技術):1.7%
  9. META PLATFORMS INC-CLASS A(アメリカ / コミュニケーション・サービス):1.3%
  10. TESLA INC(アメリカ / 一般消費財・サービス):1.2%

S&P500の組入上位10銘柄(2026年5月29日時点)

  1. NVIDIA CORP アメリカ 半導体・半導体製造装置 7.9%
  2. APPLE INC アメリカ テクノロジ・ハードウェア・機器 7.0%
  3. MICROSOFT CORP アメリカ ソフトウェア・サービス 4.8%
  4. AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス流通・小売り 4.1%
  5. ALPHABET INC-CL A アメリカ メディア・娯楽 3.5%
  6. BROADCOM INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 3.1%
  7. ALPHABET INC-CL C アメリカ メディア・娯楽 2.7%
  8. META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ メディア・娯楽 2.1%
  9. TESLA INC アメリカ 自動車・自動車部品 1.9%
  10. MICRON TECHNOLOGY INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 1.6%

このように、世界経済をリードする巨大IT企業群、いわゆる「ビッグテック」が両ファンドの中核を担っています。つまり、どちらのファンドに投資しても、世界トップクラスの企業の成長から恩恵を受けられる点は共通しているといえるでしょう。

3.2 パフォーマンスを左右する「構成比率」の違いとは

共通の銘柄を組み入れているにもかかわらずリターンに差が生じる最大の要因は、それぞれの銘柄が占める「比率」にあります。

S&P500:米国優良企業への集中投資

S&P500は米国の主要企業約500社のみで構成されているため、NVIDIAやAppleといった上位企業の組入比率が非常に高くなります。米国のハイテク株が好調な局面(例えば過去5年間)では、この米国株への「集中度」が、高いリターンを生み出す原動力となりました。

オルカン:米国を中核としたグローバル分散投資

一方、オルカンも構成の約6割は米国株ですが、残りの約4割には日本や欧州、新興国などが含まれています。そのため、NVIDIAのようなトップ銘柄の比率はS&P500と比較して低く抑えられることになります。

3.3 分散投資の効果:「米国以外」の国々がパフォーマンスの鍵を握る場面も

直近1年間のリターンでオルカンがS&P500を上回ったのは、この「米国以外の約4割」の分散効果が発揮された結果といえます。

例えば、米国のハイテク銘柄の成長が鈍化する一方で、日本株や欧州株が相対的に好調な局面では、米国株に集中投資しているS&P500よりも、広く分散投資を行っているオルカンの方が優れたパフォーマンスを示すことがあります。

つまり、「今後最も成長するのは米国だ」と考えるならS&P500、米国を成長の中心と捉えつつも「他の国や地域が成長した際の恩恵も取りこぼしたくない」と考えるならオルカン、という見方ができるでしょう。

4. まとめ:長期的な視点で自分に合った選択を

最終的にオルカンとS&P500のどちらがより良い選択だったのかは、20年、30年といった長期的な視点でなければ判断できません。

重要なのは、短期的な市場の変動に惑わされることなく、長期的な視点で資産の成長を見守る姿勢です。

【投資に関するご注意】 本記事は、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資には元本を割り込むリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任において行われるようお願いいたします。

※再編集記事

5. 本記事の監修を終えて:新NISAで資産運用を行う監修者のコメント

著者画像
下村 美乃莉

手軽に分散投資ができ、なおかつ低い運用コストで始められるインデックスファンド。その中でも人気を二分する「オルカン」と「S&P500」ですが、本記事での比較を通じてそれぞれの特徴が見えてきたかと思います。

両者には「世界トップクラスの企業の成長から恩恵を受けられる(組入上位銘柄はほぼ同じ)」という共通点があります。その一方で、「米国優良企業への集中投資」か、「米国を中核としたグローバルな分散投資」かという大きな違いがあり、その構成比率の差分こそが運用成果の違いを生み出しているのです。

投資の世界では、こうした資産の構成比率や配分のことを「アロケーション」と呼びます。投資初心者やこれから投資を始める方こそ、このアロケーションの考え方をしっかりと押さえておくことで、ご自身の運用に対する理解がぐっと深まり、相場が変動したときの安心感へとつながるはずです。

ちなみに私自身は、実はインデックスファンドではなく「アクティブファンド」を用いてグローバル分散投資を行っています。アクティブファンドとは、市場の平均(インデックス)を上回るリターンを目指し、投資のプロであるファンドマネージャーが独自の調査・分析に基づいて銘柄を選定する投資信託のことです。私がアクティブファンドでのグローバル分散投資を選択した理由は、数十年にわたる長期投資を見据えたとき、これから劇的な成長を遂げるであろう「新興国の成長」に強く期待をしているからです。

投資において「正解」は一つではありません。ご自身が何を信じ、どこに成長の可能性を見出すかが最も重要です。

アセットアロケーション(資産配分)の深い考え方については、LIMOを運営する株式会社モニクルリサーチ代表取締役であり、元機関投資家の泉田良輔氏が監修した記事「機関投資家は「個別株」を最後に選ぶ?プロが実践する資産配分の思考法」が非常に参考になります。プロがどのように資産配分を考えているのかを知ることができる良記事ですので、ぜひあわせて読んでいただき、あなただけの強固な資産形成の第一歩を踏み出してください!

参考資料