6. 年間の収支は合っているのに、特定の月だけ足りない。ファイナンシャルアドバイザー・徳田椋が伝える、12カ月の資金繰りを1枚に見える化する3つの手順

日頃のご相談では、年間で見れば収支は合っているのに、特定の月だけ資金が足りなくなるという状態をよく拝見します。公的年金は毎月入るわけではないため、月ごとの凹凸が生まれやすいのです。ここからは、70代以上の方の事例をもとに、ファイナンシャルアドバイザーの徳田椋さんに伺った考え方をご紹介します。

6.1 70代以上に多いお悩み「月によって足りたり足りなかったりする」。年金は2カ月に1度、支出は特定の月に集中

公的年金は2カ月に1度の支給です。一方で、税金や保険料、住まいの維持費などは特定の月にまとまって出ていきます。年単位では合っていても、月単位では合わない。相談の場では、次のような声を耳にします。

70代のお客様
全体としては何とかなっているつもりなのですが、支払いが重なる月は預金から取り崩しています。年間でどれくらい足りないのか、自分でも把握できていないままです。

必要なのは節約ではなく、いつ何が出ていくのかを並べることです。凹凸が見えれば、対処の仕方も決まります。

6.2 【ファイナンシャルアドバイザー・徳田椋が回答】1年分を1枚の表に並べ、不足する月を先に把握する

徳田 椋
年間の収支を考える上で大切なのは、お金の流れを「見える化」することです。
収入と支出のバランスを意識して、予定が分かっている支出に関しては前もって準備をおきましょう。
老後は現役時代で貯めた資産を取り崩していく上でも、長期的な目線で考えておく必要があります。月ごとの凸凹も含めて数字で確認することで、次に何をすればよいかが自然と定まってきます。まずは自分の現状を把握するところから始めてみましょう。

6.3 ポイント1:収入が入る月を12カ月分書き出す

一つ目は、収入が入る月を書き出すことです。公的年金の支給月、企業年金や個人年金の受取月、その他の収入を、毎月一定ではないことを前提に、実際に入金のある月へカレンダーの順で並べていきます。見える化は家計簿をつけ直すことではなく、一年を一覧にすることです。相談の場では、この一覧を作った時点で「入金のない月」がはっきりすることが少なくありません。

6.4 ポイント2:まとまった支出の月を同じ表に重ねる

二つ目は、まとまった支出の月を重ねることです。固定資産税や各種保険料、住まいの維持費など、年に数回だけ発生する支出を、収入と同じ1枚の表に置きます。収入の少ない月と支出の重なる月が一致していないかを確認すると、負担が集中する月がどこなのかを特定できます。

6.5 ポイント3:不足する月の分を先に取り分けておく

三つ目は、不足する月の分を先に取り分けておくことです。年間の不足額が分かれば、その分だけを取り出しやすい形で確保しておけばよいことになります。残りは動かさずに済むため、資産全体を取り崩す必要がなくなります。取り分けておく先は、使う時期が決まっている資金であることを踏まえ、必要なときにすぐ引き出せるかどうかを優先して考える視点があります。値動きのある商品は、使う時期が近い資金の置き場所としては、想定より目減りしたり手数料の負担が生じたりする可能性がある点に留意が必要です。

月ごとの凹凸は、管理ができていないから生じるものではなく、収入と支出のタイミングがずれることで誰にでも起こります。1年分を一覧にして不足する月が分かれば、そのぶんだけを手当てすればよく、資産全体に手をつけずに済みます。なお、公的年金の支給月や各種給付の要件は制度で定められており、給付の多くは申請しなければ受け取れません。対象になるかどうか、金額、申請手続きは個々の状況によって異なるため、必ずお住まいの自治体や年金事務所で最新の内容をご確認ください。また、運用商品には値動きがあり、元本割れや手数料の負担が生じる可能性があります。

7. まとめ|「緑の封筒」は放置せず、年間の資金繰りは1枚の表で見える化する

年金生活者支援給付金は、9月以降に届く「緑の封筒」を放置すると受け取れないまま終わってしまうお金です。2026年度の基準額は月額5620円ですが、実際の平均給付額は4146円にとどまり、保険料の納付状況によって金額は一人ひとり異なります。

また、公的年金も年金生活者支援給付金も、支給は偶数月の年6回のみです。今回の試算では、翌月の生活費として約15万円を取り分けておく必要があること、固定資産税などの特定月支出も月換算すれば1万5000円程度になることを確認しました。

年間の収支が合っていても、月ごとには足りない月が生じます。収入の入る月と支出の重なる月を1枚の表に並べ、不足する月の分だけを先に取り分けておくこと。この視点を持つだけで、資産全体を取り崩す不安は小さくできます。

参考資料

徳田 椋