近年の物価上昇や光熱費の高騰が長引くなか、2026年度(令和8年度)の公的年金は国民年金が+1.9%、厚生年金が+2.0%と4年続けてプラス改定されました。しかし、「年金の額面は増えても実際の暮らしは楽にならない」と感じているシニア世帯が圧倒的多数を占めているのが実情です。

こうした厳しい家計の助けとなるのが、要件を満たすことで基礎年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」です。

ただし、この給付金は待っているだけでは自動的に支給されない「申請主義」となっています。手続きを忘れて受給機会を逃しているケースも少なくないため、制度を確実に理解し活用することが家計を守る鍵となります。

この記事では、2026年度に増額された「年金生活者支援給付金」に焦点を当て、対象となる方の条件や支給額、確実に受け取るための手続きについて詳しく解説します。

1. この記事の3つのポイント

  •  2026年度は増額!老齢基礎年金なら月額5620円、夫婦で年間約13.5万円の上乗せに。
  •  対象者は主に3つの要件あり。65歳以上で世帯全員が住民税非課税、前年所得が基準以下など。
  •  自動ではもらえない「申請主義」。日本年金機構から届く封筒を見逃さず、必ず返送が必要。

2. 【2026年度】年金生活者支援給付金:夫婦ふたり世帯なら年間約13.5万円、年金に上乗せされることも

年金生活者支援給付金は、2019年10月の消費税率引き上げと同時に始まった、比較的新しい制度です。

物価の変動に応じて毎年金額が見直され、2026年度(令和8年度)は前年度比で3.2%の増額となりました。

老齢基礎年金を受け取っている方向けの「老齢年金生活者支援給付金」の基準額は、次のように引き上げられています。

  • 2025年度:月額5450円
  • 2026年度:月額5620円(+170円)

2026年度の基準額は月額5620円となり、年間では1人あたり約6万7000円が支給されます。もしご夫婦そろって要件を満たす世帯なら、合計で年間約13万5000円という大きな収入増につながります。

注意したいのは、この給付金が「申請主義」であり、待っているだけでは自動的に支給されない点です。

対象者であっても請求手続きをしなければ受け取れないため、制度を確実に活用することが家計を守る鍵となります。

3. 給付金は3種類!「老齢・障害・遺族」それぞれの2026年度支給額

この給付金は、受給している基礎年金の種類に応じて「老齢」「障害」「遺族」の3つに分かれています。それぞれの2026年度における月額の支給額は以下の通りです。

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:1級 月額7025円、2級 月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円(※子どもが2人以上いる場合は人数に応じて加算)

老齢年金生活者支援給付金の場合、実際の支給額は基準額を基に、保険料の納付済み期間や免除期間などに応じて個別に計算されます。

また、通常の年金と同様に、偶数月に2カ月分がまとめて支給される仕組みです。

4. 【老齢年金】給付金を受け取れる人の3つの支給要件

対象者が最も多い「老齢年金生活者支援給付金」を受け取るには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/4

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をもとに筆者作成

  1. 65歳以上で、老齢基礎年金の受給者であること。
  2. 同じ世帯の全員が、市町村民税非課税であること。
  3. 前年の公的年金などの収入金額と、その他の所得を合わせた額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は90万6700円以下であること。

5. 手続きは「封筒の色」が目印!ケース別・申請方法ガイド

給付金の対象となる可能性が高い方には、日本年金機構から手続きの案内書類が送られてきます。状況に合わせて忘れずに申請手続きを行いましょう。

5.1 【ケース1】すでに年金を受け取っており、新たに対象になった方(うす緑色の封筒)

毎年9月上旬頃から順次、対象者へ「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が入った「うす緑色の封筒」が郵送されます。

新たに対象となった可能性を知らせる大切な通知であり、9月上旬から順次郵送されるこの時期を逃さないよう特に注意が必要です。

必要事項を記入し、同封の個人情報保護用の目隠しシールを貼ってポストへ投函すれば手続き完了です。

5.2 【ケース2】これから65歳になり、年金を受け取り始める方(緑色の封筒)

65歳になる3カ月前に届く「年金請求書(事前送付用)」の「緑色の封筒」の中に、給付金の請求書が同封されています。

必要事項を記入のうえ、年金受給を開始する誕生日の前日以降に年金事務所へ提出してください。

5.3 【ケース3】老齢基礎年金を繰上げ受給している方(うすだいだい色の封筒)

65歳になる誕生月の初旬に、はがき型の請求書(うすだいだい色の封筒)が届きます。ケース1と同様に、記入してポストへ投函してください。

※「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」では、さらに詳しい情報をお届けしています。給付金手続きの疑問点などを解消するヒントとしてぜひお役立てください。

6. 監修者からのコメント

熊谷 良子

対象となる方に届くはがき型の請求書は、必要事項を記入して目隠しシールを貼り、切手を貼ってポストに投函するだけで完了するごく簡単なものです。

しかし、この『はがきを1枚送る』というわずかな手続きを忘れるだけで、年間数万円の上乗せ給付を逃してしまいます。

 「よくわからないから」「自分は対象外だろう」と放置せず、届いた郵便物を確実にチェックして手続きを完了させることが、家計を守る最大の自衛策になります。

次では、物価高に直面するシニア世帯の生活実感についても、公的データから見ていきます。