5. 2026年公表の「国民生活基礎調査」でわかった、高齢者世帯の所得と暮らしの実感

厚生労働省は2026年7月15日、2025(令和7)年の「国民生活基礎調査」の概況を公表しました。

この調査で、生活意識について「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)と答えた世帯の割合は55.4%となり、前回2022年調査の51.3%から上昇しています。

世帯の生活意識の状況

世帯の生活意識の状況

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」

  • 生活意識が「苦しい」と回答した世帯の割合:55.4%(前回2022年調査:51.3%)
  • 65歳以上のみで構成される「高齢者世帯」:1754万6000世帯(全世帯の31.9%)
  • 高齢者世帯の1世帯当たり平均所得:336万1000円
  • 公的年金・恩給が所得の100%を占める高齢者世帯の割合:41.3%

高齢者世帯の平均所得336万1千円という数字だけを見ると、生活に困っている世帯はそれほど多くないように感じるかもしれません。

しかし、これは平均であり、年金のみで暮らす世帯が4割を超えていることを踏まえると、1ページ目でご紹介した「65歳以上・年金のみの単身世帯で年収155万円以下」という非課税の目安に近い、あるいはそれ以下の世帯も一定数含まれていると考えられます。

平均所得と非課税の目安との間には大きな開きがあるからこそ、「自分は対象ではない」と思い込まず、実際の所得を確認してみることが重要です。

6. 「対象かもしれない」と思ったら――住民税の非課税証明書・課税証明書の取り方

住民税非課税世帯として優遇措置を申請する際、多くの場面で必要になるのが、お住まいの市区町村が発行する「非課税証明書」(または「課税証明書」)です。

奨学金や高等教育の修学支援新制度の申請、保育料の算定、公営住宅の申し込み、各種給付金の申請など、所得の状況を客観的に示す必要がある場面で提出を求められることが一般的です。

取得方法は主に3つあります。ひとつは、住民登録をしている市区町村の窓口で申請する方法です。もうひとつは、マイナンバーカードを持っていれば、コンビニエンスストアのマルチコピー機で取得する方法です。

手数料は自治体によって異なりますが、例えば東京都文京区ではコンビニ交付が1通200円、窓口交付が1通300円に設定されています。ほかに、郵送で取り寄せられる自治体もあります。

なお、証明書に記載される所得や税額は前年の実績に基づくため、その年度分の証明書が発行できるのは、原則としてその年の6月以降です(自治体によって時期が異なる場合があります)。

また、証明書は基準日(毎年1月1日)に住んでいた市区町村でしか発行されない点にも注意が必要です。

「自分は対象かもしれない」と感じたら、まずはお住まいの自治体で証明書を取得し、実際の所得を確認してみることをおすすめします。

7. まとめ:「知らなかった」を防ぐためにできること

住民税非課税世帯を対象とした支援には、一時的な現金給付だけでなく、国民健康保険料の軽減や高額療養費制度の自己負担額引き下げ、NHK受信料の免除など、生活に密着した8つの優遇措置があります。

しかし、これらの多くは「申請主義」であり、ご自身で手続きをしないと利用できない点に注意が必要です。

2026年に公表された国民生活基礎調査では、生活が「苦しい」と感じる世帯が半数を超え、年金のみで暮らす高齢者世帯も4割にのぼることが示されました。

ご自身やご家族が対象になっていないか、お住まいの自治体で非課税証明書・課税証明書を取得し、実際の所得を確認してみることをおすすめします。

あわせて、ご家庭の家計全体を見直すことも、暮らしを守るための大切な一歩となるでしょう。

8. 監修者からのコメント

熊谷 良子

高額療養費制度について、もう一つ知っておきたい実務的なポイントがあります。

以前は、高額な医療費がかかりそうな場合、事前に「限度額適用認定証」を医療機関に提示しないと、いったん窓口で医療費の全額を支払う必要がありました。

現在は、マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)や資格確認書に対応した医療機関であれば、限度額適用認定証を別途申請・提示しなくても、窓口での支払いが所得区分に応じた自己負担限度額までに抑えられる仕組みが広がっています。

住民税非課税世帯として高額療養費の軽減を受ける場合も同様の仕組みが使えますが、医療機関によって対応状況が異なるため、受診前に医療機関や加入先の医療保険に確認しておくと安心です。

特に入院や手術など医療費が高額になりやすい場面では、事前に自己負担限度額の目安を確認しておくと、いざというときに慌てずに済むでしょう。

参考資料

池上 翠