年金は偶数月の15日(土日祝日の場合は直前の平日)に、2カ月分まとめて支給される仕組みになっています。2026年度は国民年金・厚生年金ともに4年連続の増額となりましたが、「標準的な夫婦世帯」で実際にいくら受け取れるのか、正確に把握している方は多くないかもしれません。
また、2026年8月から2027年2月にかけては、日本年金機構から公金受取口座の登録を促す「意向確認書」の簡易書留も届き始めています。届く人・届かない人の条件についてはこちらの記事で確認できます。
なお、公的年金の改定額や年代別の受給額データに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 公的年金は国民年金と厚生年金の「2階建て構造」で、受給額の決まり方が異なる
- 2026年度の改定で「標準的な夫婦世帯」は月額23万7279円(2カ月分47万4558円)に
- 厚生年金・国民年金ともに受給額には男女差があり、実際の金額は一人ひとり大きく異なる
1. 「2階建て」って何のこと?公的年金のしくみをおさらい
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。
厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。
上記の年金額の決まり方からは、実際に受け取る年金額は一人ひとり異なることがわかります。ただし厚生労働省が毎年度の年金改定内容とともに公表する「年金額例」が、一つの目安となることもあるでしょう。具体的には、最新となる2026年度の年金額例によると「標準的な夫婦世帯」は10月の年金支給日に「約47万5000円」支給されます。
※1 国民年金保険料:2026年度は月額1万7920円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2026年度は月額7万608円
2. 【シミュレーション】国民年金に未納期間があると、受給額はどれだけ減る?
国民年金の満額7万608円(2026年度)は、480カ月(40年間)すべて納付した場合の金額です。未納期間があると、その月数分が満額から差し引かれます。あくまで単純計算による目安ですが、実際に試算してみましょう。
- 未納24カ月(2年間)の場合:7万608円×(480-24)÷480=約6万7078円(満額との差額は月約3530円)
- 未納60カ月(5年間)の場合:7万608円×(480-60)÷480=約6万1782円(満額との差額は月約4826円)
実際には、後納制度や免除期間の扱いによって計算が異なる場合があります。未納期間に心当たりがある方は、年金事務所やねんきんネットで正確な見込み額を確認しておくと安心です。
3. 年金の支給日と、2026年度の年金額改定
公的年金の支給日は「偶数月の15日(※)」です。そのため、次回支給日の10月15日(木)には「8月分と9月分」の年金が支給されます。
※15日が土日祝日の場合、直前の平日に前倒しされます。
厚生労働省によると、2026年度の年金額の例は次のとおりとなります。
- 国民年金(老齢基礎年金):7万608円(1人分※1)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2、前年度から4495円アップ)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円
※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
厚生年金のモデル世帯の場合、夫婦で月額「23万7279円」。これは「老齢厚生年金1人分+老齢基礎年金2人分」の合算です。
2カ月に一度の年金支給日には、2カ月分が合算で支払われます。この夫婦世帯の場合、10月15日支給の年金額は合算で「47万4558円」です。これが「約47万5000円」の根拠となります。
4. 約47万5000円振り込まれる「標準的な夫婦」とは
1回の年金支給時に「約47万5000円」を受け取る「標準的な夫婦」とは、具体的にはどのような世帯なのでしょうか。厚生労働省による年金額の定義を見てみましょう。
男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5 万円)で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
引用:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から国民年金(基礎年金)が 1.9%の引上げ 厚生年金(報酬比例部分)が 2.0%の引上げです~」
夫は40年間の平均標準報酬(賞与含む月額換算)が45万5000円、年収にして546万円で就労した会社員など。そして妻は扶養内パートや専業主婦などで、厚生年金への加入期間がなく国民年金のみの受給となるケースです。
こうした夫婦の合計年金が23万7279円となり、2カ月分がまとめて支給されるのです。さらに多くの場合、老齢年金からは住民税や介護保険料といった税や社会保険料が天引き(特別徴収)されます。
天引き内容や実際に振り込まれる金額は、6月に送付される「年金振込通知書」などで確認しましょう。1回の年金支給で「約47万5000円」となれば大きな金額に思えるかもしれません。しかし、一人当たりの月額に換算すると、必ずしも余裕のある水準とは言い切れないでしょう。また、現役時代の給与とは異なり「2カ月に一度の定期収入」となるため、家計管理のサイクルが変わる点も、留意が必要となりそうです。
5. 厚生年金・国民年金、受給額の男女差はどれくらい?
ここからは、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、一人ひとりが受け取る年金について、グラフを交えて見ていきます。個人差や、平均年金月額の男女差などに着目してみてください。
5.1 「厚生年金」の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金部分を含む
5.2 「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
平均年金月額は、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者は男性約17万円、女性約11万円。国民年金の場合は、男女ともに平均月額は6万円前後です。
公的年金は2カ月分がまとめて支給されるため、1回あたりの支給額は一見高めに感じる人もいるでしょう。しかし、これをひと月分に換算すると、年金収入だけで生活できる世帯は多数派ではないかもしれません。また、上記はあくまでも全受給権者の平均です。実際に一人ひとりが受給する金額は、グラフが示すように大きな個人差があります。
6. 監修者コメント:年金モデルをライフプラン全体で読み解く
公的年金は、老後の生活を支える大切な社会保障制度です。「標準的な夫婦世帯」で月額23万7279円という数字は、あくまで一つのモデルケースであり、加入期間や働き方によって実際の受給額は大きく異なります。
ライフプラン全体で考えると、年金は老後資金の土台となる部分です。厚生年金の平均年金月額が男性16万9967円、女性11万1413円と男女で差があることからも、現役時代の働き方が将来の年金額に直結する点を意識しておきたいところです。
ご自身の年金額を確認する際は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用し、モデルケースの数字と自分の状況を比べてみることをお勧めします。特に、国民年金のみの受給となる期間がある方は、将来の受給額への影響を早めに把握しておくとよいでしょう。
公的年金だけでなく、NISAやiDeCoといった資産形成の制度も含めて、ライフプラン全体の中で老後の備えを考えていくことが大切です。制度を正しく理解したうえで、ご自身に合った準備を進めていただければと思います。
7. 【シミュレーション】夫に先立たれた場合、妻の年金月額はどう変わる?
前項の「標準的な夫婦」モデル(月額23万7279円)を前提に、簡易的な試算をしてみます。あくまで一例であり、実際の計算方法とは異なる場合がある点をご了承ください。
- 夫婦の年金月額23万7279円のうち、老齢基礎年金2人分(7万608円×2=14万1216円)を差し引いた9万6063円が、夫の老齢厚生年金部分の目安
- 遺族厚生年金は原則、夫の老齢厚生年金部分の4分の3が目安:9万6063円×0.75=約7万2047円
- 妻自身の老齢基礎年金7万608円と合算すると、夫に先立たれた後の妻の年金月額目安は約14万2655円
実際には妻自身の老齢厚生年金の有無や年齢、遺族年金の受給要件などによって計算方法が異なります。あくまで一例の目安として捉え、正確な金額は年金事務所などで確認してください。







