4. 予想PER約20倍・実績PBR約3.1倍をどう見るか

バリュエーションを確認します。会社予想の1株当たり利益(EPS)182.43円に対し、8月21日終値3,646円の予想PERは約20倍。実績の1株当たり純資産(BPS)約1,173円に対する実績PBRは約3.1倍です。会社予想配当55円ベースの配当利回りは約1.5%となります。なお、一過性要因を除いた調整後EPS(188.31円)で計算すると、予想PERは約19倍です。

予想PER約20倍・実績PBR約3.1倍は、市場平均と比べて飛び抜けて高いわけではありませんが、割安とも言い切れない水準です。この評価は、サービス事業を軸にした二桁の営業増益と、資本効率の改善への期待を映していると読めます。

なぜPBRが3倍を超えるのか——その理屈は、PER・PBR・ROEを1本の式で結ぶ「PBR=PER×ROEとは?3つの指標の関係と使い方」を読むと腑に落ちるはずです。

PBR=PER×ROEとは?3つの指標の関係と使い方を元機関投資家が解説
PBR=PER×ROEとは?3つの指標の関係と使い方を元機関投資家が解説

5. 元機関投資家イズミダの視点:見かけの最終減益に惑わされない

私がこの決算でまず確かめたのは、最終利益の大幅減の「中身」でした。親会社四半期利益は▲76.6%と派手に落ちて見えますが、その正体は前年の一過性益の反動。営業利益は+59.6%、税引前利益も+60.4%と、継続事業もむしろ伸びています。数字の見出しだけで「悪化」と早合点すると、実態を読み違えます。

株価はこの1カ月、高値をつけたあと調整に入りました。予想PER約20倍・実績PBR約3.1倍という値付けが妥当かは、DX需要を取り込むサービスソリューションの採算改善が続き、通期の増益計画(営業利益+19.1%)を着実にこなせるか次第です。目先の株価の上下や見かけの最終減益より、本業の稼ぐ力が伸び続けるか——そこを、私は追っていきたいと考えています。もっとも、前提しだいで景色は変わりますので、四半期の数字だけで判断しないことが肝心です。

泉田 良輔