8月21日の米国市場は週中の下落から切り返し、NYダウとS&P500がそろって上昇。ただ中身を見ると、買われたのは金融や景気敏感株、そしてテスラで、半導体はむしろ売られています。今週に控えるエヌビディアの決算と、ジャクソンホール会合を前に、警戒対象と物色の色がはっきり分かれた一日でした。
1. ダウが+0.98%、S&P500が+0.43%とそろって上昇
NYダウは前日比+517.80ドル(+0.98%)の53,277.01、S&P500は+33.21ポイント(+0.43%)の7,674.37と、ともに上昇しました。前週には米国株が下落し、そこからの買い戻しが入った格好です。
注目したいのは、ダウの上昇率がS&P500を上回った点です。ダウは景気敏感株や金融株など、S&P500と比べるとバリュー色の強い銘柄で構成されます。そのダウが相対的に強かったことは、この日の資金が、値がさのハイテクよりも、金融・景気敏感株に向かったことを示しています。
2. 買われた銘柄・売られた銘柄
上昇が目立った銘柄です。
- テスラ +5.14%
- ゴールドマン・サックス +3.73%
- パランティア・テクノロジーズ +3.44%
- モルガン・スタンレー +3.25%
- オラクル +3.10%
- パロアルト・ネットワークス +2.38%
一方、売られた銘柄です。
- インテル ▲2.24%
- フィリップ・モリス・インターナショナル ▲1.72%
- エヌビディア ▲0.98%
- GEベルノバ ▲0.95%
- アプライド・マテリアルズ ▲0.78%
- マイクロン・テクノロジー ▲0.77%
3. 上昇と下落を分けたのは「金融・景気敏感」対「半導体」
この日の物色は、コントラストがはっきりしていました。買われたのは、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった金融株、そして+5.14%と大きく上げたテスラなど、景気敏感・リスク選好の色が濃い銘柄です。前週の下落からの買い戻しが、これらに向かったとみられます。
一方で、半導体は総じて軟調。エヌビディアが▲0.98%、マイクロン・テクノロジーが▲0.77%、アプライド・マテリアルズが▲0.78%、インテルが▲2.24%と、そろって下落。月末に控えるエヌビディアの決算発表を前に、いったん利益を確定する動きや、様子見が出やすかった状況。大型テックのなかでもアップル(▲0.63%)やアマゾン・ドット・コム(▲0.57%)が小幅安となる一方、アルファベット(+1.22%)やオラクル(+3.10%)は買われるなど、まだら模様でした。
なお、この日の主要銘柄の値動きは決算というより、今週のエヌビディアの決算やジャクソンホールといった大型イベントを前に、地合いと物色によるものと見た方がよいと判断。
著者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日