4. セクターの動き——金融・景気敏感が優位、半導体は重い
主要銘柄の顔ぶれと業種からの分析となりますが、この日の色分けは明確でした。
金融ではゴールドマン・モルガンに加え、アメリカン・エキスプレス(+1.46%)やシティグループ(+1.53%)も上昇。景気敏感ではキャタピラー(+1.53%)やビザ(+1.45%)が買われ、医療のメルク(+2.39%)やユナイテッドヘルス(+1.37%)もしっかりでした。
値動きが重かったのは半導体です。エヌビディアを筆頭に、製造装置のアプライド・マテリアルズやラム・リサーチ(こちらは+1.12%とまちまち)、メモリのマイクロンまで、決算待ちの様子見ムードが漂いました。金融・景気敏感が指数を押し上げ、半導体がブレーキ役に回った——それがこの日の構図です。
5. 元機関投資家イズミダの視点:イベント前の「戻り」と「様子見」の綱引き
私がこの日の相場で感じたのは、戻りを試す力と、様子見の慎重さが綱引きをしている、ということです。
前週の下落からの買い戻しは、金融や景気敏感株、テスラといったリスク選好の銘柄に向かいました。その一方で、相場全体の主役である半導体は、月末のエヌビディア決算とジャクソンホール会合という二大イベントを前に、明確なトレンドを追う取引は総じて弱い。指数はそろって上がったものの、中身は「上げやすいところだけが上げた」という戻りにも見えます。
指数の上げ下げという表面だけでなく、どのセクターに、なぜ資金が向かったのかを読むことが大切です。せくらーアロケーションという考え方です。この日の金融・景気敏感株優位が、本格的な循環物色の始まりなのか、それとも決算待ちの一時的な戻りなのか——その答えは、月末のイベントを通過するまで持ち越し、とみておくのが無難でしょう。もっとも、相場は前提しだいで景色が変わりますので、目先の値動きだけで判断しないことが肝心です。
泉田 良輔
著者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日