富士通<6702>の株価は8月21日、前日比▲2.59%(▲97円)の3,646円で取引を終えました。同じ日、TOPIXは+0.19%の4,067.29ポイント、日経平均株価は▲0.30%の66,016.36円。市場全体がほぼ横ばいだったなかで、富士通は相対的に大きく売られた一日でした。
1. 富士通のこの1カ月の株価を振り返る
では、直近1カ月の流れを振り返りましょう。富士通の株価は7月下旬に3,200円台をつけたあと上昇し、8月中旬には3,800円台まで買われました。しかし、そこから下落に転じ、足元は3,600円台の水準にいます。急ピッチで上げたあとの、いったんの一服といった値動きです。では、この間に発表された業績は、どうだったのでしょうか。
2. 2027年3月期1Qは営業利益+59.6%——ただし最終益は前年の反動で減少
7月30日に発表された2027年3月期第1四半期(IFRS・連結)は、売上収益が7,793億円(前年同期比+3.9%)、営業利益が525億円(同+59.6%)と、本業が大きく伸びました。税引前利益も594億円(+60.4%)と好調です。
ただし、一点注意が要ります。親会社の所有者に帰属する四半期利益は401億円で、前年同期比▲76.6%と大きく減っています。これは、前年同期に事業再編などに伴う一過性の利益があった、その反動によるものです。継続事業の四半期利益は407億円(+44.6%)と増益で、継続事業はむしろ伸びています。
事業の柱は3つあり、コンサルティング・クラウド・システムインテグレーションなどを担うUvanceを中心とした「サービスソリューション」、UNIXサーバやストレージ、モバイル・フォトニクスなどのネットワーク機器を扱う「ハードウェアソリューション」、そしてパソコンの「ユビキタスソリューション」です。中核は、DX需要を取り込む「サービスソリューション」です。
通期の会社予想は、売上収益3兆5,100億円(+0.2%)、営業利益4,150億円(+19.1%、調整後4,250億円・+8.8%)と増益計画。親会社当期利益は3,100億円(▲31.0%)ですが、これも前年の一過性益の反動によるものです。年間配当は前期の50円から55円への増配を予想しています。
3. 株価は調整、決算は本業好調
富士通の株価は、この1カ月で3,800円台まで買われたあと調整に転じ、8月21日は市場平均(TOPIX・日経平均)を下回って下げました。
直近の決算を振り返ってみると、営業利益が+59.6%と本業が大きく伸びました。最終利益の減少が気にはなりますが、前年の一過性益の反動にすぎません。
株価は目先で調整しているものの、終わった直近の1Qの業績の中身はむしろ堅調です。ファンダメンタルズ的には次の上期決算が次のイベントとなります。通期の業績予想の成長スピードを確保できるのかが注目ポイントとなります。
では、いまの株価は、この業績に対して割高なのか、割安なのか。次に、予想PERと実績PBRで確かめていきましょう。
著者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日