4. 【8月1日】窓口負担割合と限度額の区分はこの時期に切り替わる

保険料と並んで家計に影響を与えるのが、医療機関で支払う窓口負担の割合です。こちらは保険料とは別のタイミングで見直されます。

4.1 判定は前年の所得で毎年やり直される

後期高齢者医療の窓口負担割合は、毎年8月1日を基準日として前年の所得をもとに判定し直され、翌年7月31日まで適用されます。年度替わりの4月ではなく8月というのが、この制度の分かりにくいところです。

判定のしかたについては、LIMOの記事「【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

後期高齢者医療制度では、医療機関で支払う自己負担割合は、被保険者の所得水準に応じて3つの区分に分けられています。判定は世帯単位で行われ、次のいずれかの割合が適用されます。

出所:【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説

  • 3割(現役並み所得者):課税所得145万円以上で、収入が単身383万円以上、複数世帯520万円以上
  • 2割:課税所得28万円以上で、収入が単身200万円以上、複数世帯320万円以上
  • 1割:上記に当てはまらない方

高額療養費の自己負担限度額の区分も同じタイミングで切り替わります。負担割合が変わる方には通知が届きますので、8月に届いた郵便物は開封して確認しておきましょう。

5. 【元後期高齢担当の実感】8月は「急に負担が増えた」という相談が集中した

筆者は役場で後期高齢者医療を担当していました。窓口の相談には季節の波があり、8月はとくに問い合わせが増える時期でした。

5.1 前年の所得が忘れたころに効いてくる

多かったのが「これまで1割だったのに、急に3割になった」という相談です。8月1日という中途半端なタイミングで切り替わるうえ、判定に使われるのは前年の所得ですので、記憶から漏れていることが少なくありません。

原因を一緒に確認していくと、不動産を売却した、生命保険が満期になった、といった一時的な収入が前年にあったというケースがよくありました。継続的に収入が増えたわけではないのに負担割合だけが上がるのは、納得しにくいところだと思います。

5.2 保険料の相談は早いほど選択肢が残る

保険料が支払えないという相談も受けてきました。こうした場合、分割や納付時期の相談、災害や所得の大幅な減少による減免制度の適用可否を一緒に検討していました。

相談に来ていただけたときは、いつも「来てくれてよかった」と感じていました。連絡がないまま未納が続くと、最終的には財産の差押えに進むこともあります。払えないと感じた時点で窓口に相談していただくのが、結果としていちばん負担の少ない道でした。

6. 通知書を見るときに気をつけたいこと

保険料と負担割合は別の話ですので、混同しないよう整理しておきます。

6.1 保険料の改定と負担割合の切替は別々に決まる

保険料率の改定は令和8年度から、負担割合の見直しは毎年8月1日からと、時期も判定のしかたも違います。「8月から保険料が上がった」と受け取られることがありますが、保険料率が変わるのは2年に一度の改定時です。

ただし、所得割の判定に使うのは前年の所得のため、同じ保険料率であっても保険料が変わる可能性はあります。

6.2 全国平均の月7989円はそのままの金額ではない

今回の月7989円は全国平均であって、実際の保険料は都道府県ごとの料率と本人の前年の所得、軽減の適用で決まります。均等割額の軽減が適用されている方であれば、平均より大きく下回ることもあります。

平均額だけを見て「自分もこのくらい」と考えず、手元の通知書の金額で判断してください。

6.3 限度額適用認定証は原則不要になっている

高額な医療費がかかるときに窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめる手続きについて、以前は限度額適用認定証の事前申請が必要でした。現在はマイナ保険証を提示すれば原則として認定証は不要です。

ただし、住民税非課税世帯が入院時の食事代の減額を受けたい場合など、申請が必要な例外もあります。該当しそうなときは市区町村の窓口で確認してみてください。

7. 【対応策】通知が届いたら確認したい3つのこと

手元の書類を前に、順に見ていきましょう。

7.1 均等割額と所得割額の内訳を見る

保険料の通知書には、均等割額と所得割額がそれぞれ記載されています。軽減が適用されていれば、軽減後の均等割額が示されます。

前年より金額が上がっている場合、料率の改定によるものか、前年の所得が増えたことによるものかで意味が変わります。

7.2 負担割合の通知を保険証がわりの書類とあわせて確認する

窓口負担割合は、資格確認書やマイナポータルで確認できます。8月から割合が変わる方には事前に通知が届きますので、受診の前に自分の割合を把握しておくと会計時に慌てずに済みます。

判定結果に疑問があるときは、市区町村の窓口で計算の根拠を教えてもらえます。所得の申告漏れが原因で高い割合になっていることもありますので、心当たりがあれば早めに相談してみてください。

7.3 負担が重いと感じたら制度の利用を検討する

保険料には軽減や減免、医療費には高額療養費という仕組みがあります。いずれも自動で適用されるものと、申請が必要なものが混在しています。

ただし、減免は誰でも受けられるわけではなく、災害や所得の著しい減少といった要件があります。使えるかどうかは個々の状況で変わりますので、自己判断で諦めず、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の担当窓口に相談することをおすすめします。

8. まとめにかえて

令和8・9年度の後期高齢者医療の保険料は、全国平均で月7989円となる見込みです。令和6・7年度から578円の引き上げで、年間の上限額も80万円から85万円へと変わりました。令和8年度からは子ども・子育て支援金分も加わっています。

一方、医療機関の窓口で支払う割合は毎年8月1日に判定し直されます。保険料の改定とは別の話ですので、届いた通知がどちらのものかを確かめてから読むと理解しやすくなります。

まずは手元の通知書で、均等割額と所得割額の内訳、そして自分の負担割合を確認するところから始めてみましょう。金額に驚いたときや支払いが難しいと感じたときは、早めに市区町村の窓口へ相談してください。制度を正しく知っておくことが、毎年の負担を想定内にしていく第一歩になります。

参考資料

太田 彩子