8月に入ると、75歳以上の方のもとに後期高齢者医療の保険証がわりとなる書類や、窓口負担割合を知らせる通知が届きます。夏の郵便物のなかでも見落とされやすい一通ですが、この時期に届くのには理由があります。
厚生労働省は2026年4月10日、後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率を公表しました。一人当たりの平均保険料額は全国平均で月7989円となる見込みで、令和6・7年度の7411円から578円、率にして7.8%の引き上げです。
あわせて年間の上限額も引き上げられ、令和8年度からは新しい区分も加わりました。
この記事では、後期高齢者医療制度の基本、保険料の決まり方、令和8年度の改定内容、そして毎年8月1日に切り替わる窓口負担割合の順に確認していきます。
なお、窓口負担割合の判定に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 令和8・9年度の保険料は全国平均で月7989円。令和6・7年度から578円の引き上げ
- 年間の上限額は80万円から85万円へ。令和8年度から「子ども・子育て支援金分」も新設
- 窓口負担割合と限度額の区分は、毎年8月1日に前年の所得をもとに切り替わる
1. 後期高齢者医療制度とは?基本のしくみをやさしく整理
後期高齢者医療制度という名前は知っていても、それまで入っていた健康保険と何が違うのかは分かりにくいところだと思います。まずは制度の基本から確認していきます。
1.1 こんな方が対象になる
後期高齢者医療制度は、次の方を対象とした公的医療保険です。
- 75歳以上のすべての方
- 65歳から74歳までで、一定の障害の状態にあると広域連合の認定を受けた方
75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた国民健康保険や勤務先の健康保険から自動的に切り替わります。国民健康保険のように世帯単位ではなく、被保険者一人ひとりが加入する形になるのが大きな違いです。
運営しているのは市区町村ではなく、都道府県ごとに設けられた後期高齢者医療広域連合です。
保険料率は広域連合が2年に一度決めるため、同じ都道府県内であれば市区町村が違っても料率は同じになります。ただし、保険料の徴収や各種申請の受付は市区町村の窓口が担当します。
2. 【均等割額+所得割額】保険料の決まり方を整理
次に、保険料がどう計算されるのかを見ていきます。国民健康保険と比べると、区分がすっきりしています。
2.1 保険料は一人ひとり計算される
後期高齢者医療の保険料は、次の2つを足し合わせて決まります。
- 均等割額:被保険者1人あたり一律にかかる部分
- 所得割額:前年の所得に応じてかかる部分
国民健康保険には医療分・後期高齢者支援金分・介護分という3区分がありましたが、後期高齢者医療にはこうした区分はありません。世帯主にまとめて課されるのでもなく、加入している方それぞれで計算されます。
所得が一定以下の世帯には均等割額の軽減があり、世帯の所得に応じて7割・5割・2割が減額されます。判定には世帯主と世帯内の被保険者全員の所得が使われますので、本人の所得が低くても同じ世帯に所得の高い方がいれば軽減の対象にならないことがあります。
2.2 令和8年度から「子ども・子育て支援金分」が加わる
令和8年度から子ども・子育て支援金制度が始まったことに伴い、後期高齢者医療の保険料にも子ども・子育て支援納付金に係る部分が新設されました。こちらも均等割額と所得割率で計算されます。
全国平均では、子ども分の均等割額が年1351円(月112円)、所得割率が0.25%で、一人当たりの平均は年2333円(月194円)となる見込みです。医療分と比べれば小さい金額ですが、これまでになかった項目が保険料に加わることになります。
3. 【令和8年度】保険料率が改定、全国平均は月7989円へ
ここからが今年の改定の中身です。後期高齢者医療の保険料率は2年に一度見直され、令和8年度がその改定の年にあたります。
3.1 一人当たり平均は月7989円、上限は85万円へ
厚生労働省が公表した令和8・9年度の全国平均は、医療分で次のとおりです。
- 被保険者均等割額:年5万6083円(月4673円)
- 所得割率:10.17%
- 一人当たり平均保険料額:年9万5875円(月7989円)
令和6・7年度の月7411円と比べると578円、7.8%の引き上げです。均等割額も月4199円から4673円へと574円上がりました。
あわせて、年間の上限額にあたる賦課限度額も医療分で80万円から85万円へ引き上げられます。新設された子ども分の限度額は2万1000円です。
引き上げの背景には、診療報酬改定などによる一人当たり医療給付費の増加に加えて、後期高齢者負担率が12.67%から13.27%へ見直されたことがあります。後期高齢者負担率は、医療給付費のうち被保険者の保険料でまかなう割合を示すものです。
3.2 上限に到達するのはどんな方か
賦課限度額は、保険料がこれ以上は増えないように設けられた年間の上限です。所得割率が10.17%ですので、85万円に届くのは前年の所得がかなり高い方に限られます。
とはいえ、不動産の売却や退職金以外の一時的な収入があった年は、思いがけず所得が跳ね上がることがあります。上限に近づくかどうかは前年の所得で決まりますので、大きな収入があった翌年度は保険料の通知を早めに確認しておくと安心です。
なお、保険料率は広域連合ごとに定められるため、実際の金額は全国平均とは異なります。たとえば東京都後期高齢者医療広域連合の令和8・9年度の料率は、医療分が均等割額5万3300円・所得割率9.88%、子ども分が均等割額1300円・所得割率0.26%です。
お住まいの都道府県の広域連合の料率を確認してみてください。
保険料率が上がっても、実際にいくらになるかは前年の所得と軽減の適用で一人ひとり変わります。通知が届いたら、均等割額と所得割額の内訳、軽減が適用されているかを確認してみてください。分からないところはお住まいの市区町村の窓口で教えてもらえます。



