物価の上昇が続くなかで、年金にわずかでも上乗せがあるかどうかは、家計にとって決して小さくない差になります。

2026年度は年金額が改定され、6月に支給された4月分から新しい水準が適用されました。その年金に上乗せするかたちで支給されるお金が「年金生活者支援給付金」です。基礎年金を受け取っている人のうち、所得などの要件を満たす人が対象になります。

中本 智恵
年金生活者支援給付金は、年金本体とは別に設けられている制度です。まずは自分が対象になるかどうかを、要件から順に確認していきましょう。

本記事では、年金生活者支援給付金の3つの種類と老齢の支給要件、2026年度の給付基準額、そして請求手続きの流れまでを解説します。

なお、年金生活者支援給付金の制度内容と公的年金の平均受給額については、下記の記事より一部を引用・参照しています。

年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説
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ココがポイント
  • 年金生活者支援給付金には老齢・障害・遺族の3種類があり、金額の決まり方も要件も異なります
  • 2026年度の給付基準額は前年度から3.2%増えて月5620円になりました
  • 受け取るには請求手続きが必要で、対象になった人には9月以降に請求書が届きます

1. 年金生活者支援給付金とは?対象は老齢・障害・遺族の3種類

年金生活者支援給付金は、基礎年金の受給者が一定の所得要件などを満たすときに、年金額に上乗せして受け取れるお金です。

受け取っている年金の種類ごとに、次の3つが用意されています。詳しい制度解説は「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」でも確認できます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説

1.1 年金生活者支援給付金の請求書は9月に「緑の封筒」で届く

すでに基礎年金を受給中の人が、所得が下がったことなどにより新たに「年金生活者支援給付金」の対象となった場合、例年9月の第1営業日以降順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が緑色の封筒で届きます。

※老齢年金を繰上げ受給中の人は、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)、または65歳を迎える誕生月の初め頃に届きます。

2. 年金生活者支援給付金の支給要件は?老齢は世帯全員が住民税非課税

3種類ある年金生活者支援給付金のうち、高齢者世帯の暮らしと関わりが深いのが老齢年金生活者支援給付金です。ここでは、その支給要件から見ていきましょう。

老齢年金生活者支援給付金【支給要件】2/4

年金生活者支援給付金制度について

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

次の3つの要件をすべて満たすと、老齢年金生活者支援給付金の支給対象になります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※)である

判定の基準となる収入には、障害年金や遺族年金といった非課税の収入は含まれません。

※昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

3. 年金生活者支援給付金は2026年度に3.2%増額、給付基準額は月5620円に

年金生活者支援給付金の金額には、物価変動率を踏まえて年度ごとに改定されるルールがあります。2026年度分は前年度から「+3.2%」の増額改定となりました。

年金生活者支援給付金の支給金額3/4

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

3.1 老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額は4146円

老齢年金生活者支援給付金の実際の給付額は、月額5620円という基準額(2026年度)をもとに、保険料納付済期間などに応じて決まります。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月時点における老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額(※)は4146円でした。

※2025年3月において認定されている平均給付金額です。当時の給付基準額にもとづく数値のため、2026年度の5620円とは基準が異なります。

3.2 年金生活者支援給付金の支給日は偶数月の15日

年金生活者支援給付金は、年金と同じく年6回、偶数月の15日に支払われます(※15日が土日・祝日の場合は、その直前の金融機関の営業日に前倒し)

振込先は年金と同じ口座ですが入金は別々に処理されるため、通帳には2つの振込記録が並びます。

各支払月に振り込まれるのは、原則としてその前月までの2カ月分です。10月には8月分と9月分、12月には10月分と11月分がまとめて支払われます。

3.3 年金生活者支援給付金が上乗せされる年金は人によって差が大きい

上乗せの土台となる年金本体は、人によって受給額が大きく違います。平均的な水準を、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

4. 年金生活者支援給付金の請求手続きは?65歳到達時と受給中で流れが違う

年金生活者支援給付金は、対象になったからといって自動的に年金へ上乗せされるわけではありません。公的年金本体と同じように、請求手続きをおこなってはじめて受け取れるお金です。

ここからは手続きの流れを、これから65歳を迎える人と、すでに老齢年金を受け取っている人に分けて見ていきます。

4.1 これから65歳を迎え、老齢年金の受給がスタートする人

誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書と一緒に給付金の請求書が郵送されます。

必要事項を書き込んだうえで、老齢基礎年金の請求書とあわせて最寄りの年金事務所へ提出してください。

4.2 すでに老齢年金を受給している人

前述のとおり、すでに老齢年金を受給中の人が所得の低下などによって新たに対象となった場合には、毎年9月の第1営業日から順次、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届きます。

必要事項を書き込んで、郵便ポストへ投函しましょう。

はがき型の請求書が届いた場合は、電子申請で提出することもできます。スマートフォンやパソコンとマイナンバーカードを使って電子申請をすませれば、郵送での提出は不要です。

4.3 年金生活者支援給付金は一度きりでなく継続してもらえる

年金生活者支援給付金は、一度請求手続きをおこなえば、支給要件を満たしている間は2年目以降の手続きが要りません。

継続支給の判定は前年の所得をもとにおこなわれ、その結果が毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。

給付額が改定されたときは「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が、支給対象から外れたときは「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送されます。

LIMO編集部
支給要件も給付基準額も、年度ごとに改定される可能性があります。自分が対象になるかどうかは、日本年金機構のホームページや最寄りの年金事務所で最新の情報を確かめておくと安心です。