4. 【視点】20万円以上は「勝ち組」ではなく「条件が揃った層」

20万円以上の受給者27.5%(男子)は、生まれつきの「勝ち組」というより、長期加入・高い報酬水準・本来受給の3条件が揃った結果です。

4.1 条件のいくつかは制度改正で変わりつつある

現役世代にとっては、社会保険適用拡大や在職老齢年金の見直し、繰下げ受給の上限延長(70歳→75歳)など、20万円ラインに近づく道筋を変える制度改正が続いています。

5. 【落とし穴】「20万円あれば老後は安心」ではない

月20万円の年金があっても、単身高齢者の平均消費支出(月14〜15万円)+非消費支出+介護・医療費まで含めると、余裕があるとは言い切れません。

5.1 配偶者の年金と合わせて世帯設計

20万円ラインは個人の受給額です。単独世帯なら20万円は余裕がある水準ですが、世帯収入としては夫婦での合算が基本です。共働き夫婦なら世帯合算で月30万円台の年金も現実的です。

6. 【対応策】20万円ラインに近づくための現役期の選択

現役世代がこの水準を目指すなら、いくつかの選択肢があります。

6.1 加入期間を長く保つ|60歳以降も厚年加入

60歳以降も厚生年金加入者として働けば、老齢厚生年金の在職定時改定で毎年増額が反映されます。健康と就業機会がある限り、加入期間の延長は受給額を押し上げます。

6.2 繰下げ受給の活用|1年で8.4%増、10年で84%増

受給開始を遅らせると、1カ月ごとに0.7%、1年で8.4%、最大10年(75歳まで)で84%の増額になります。65歳で15万円受給できる人が、70歳受給開始で約22万円、75歳開始で約27万6000円になる計算です。

6.3 iDeCo・NISAで3階部分を補完

公的年金の上乗せとして、iDeCoやNISAのつみたて投資枠を活用する自助努力も有効です。20万円ラインを狙うより、世帯合計での余裕を確保する発想が現実的な場合もあります。

7. まとめ|20万円以上18.8%の実像を踏まえた老後設計

令和6年度概況によると、厚生年金20万円以上は総数18.8%、男子27.5%、女子1.7%と決して多数派ではありません。20万円ラインを目標にするか、世帯合算・繰下げ活用・自助努力で必要な老後資金を組み立てるか、自分の状況に応じた選択が求められます。

参考資料

和田 直子