2. 免除は「自動」ではない――自分で届け出る必要がある

この制度で見落としやすいのが、出産すれば自動的に保険料が免除されるわけではないという点です。届出をして初めて適用される、自己申告制の制度です。

届出の存在に気づくタイミングとしては、母子健康手帳の交付時(妊娠届を提出する際に窓口で案内やチラシを渡されることが多い)や、出生届の提出時(出産後に役所窓口で案内されるケース)などが挙げられます。ただし、必ず案内されるとは限らないため、自分から意識して手続きすることが大切です。

産前産後免除の届出の流れ2/2

産前産後免除の届出の流れ

出所:日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」をもとにLIMO編集部作成

2.1 届出できるタイミング

届出は出産予定日の6カ月前から可能です。出産後の届出もできますが、早めに済ませておくと安心です。

2.2 届出先・方法

住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口へ届け出ます。郵送でも受け付けているほか、個人の方であれば電子申請も利用できます。

2.3 必要書類の目安

出産前に届け出る場合は、母子健康手帳など出産予定日がわかる書類が必要です。出産後に届け出る場合は、市区町村側で出産日が確認できれば原則として書類は不要ですが、子と別世帯の場合は出生証明書等の書類が必要になることがあります。

和田 直子
「免除される」と聞くと得なイメージがありますが、実際には届け出なければ何も起こりません。出産前後は何かと慌ただしく、忘れてしまいやすい手続きでもあるため、母子健康手帳をもらったタイミングで一緒に確認しておくと安心です。届出は出産予定日の6カ月前からできるので、早めに済ませてしまうのもひとつの方法です。

3. 免除された期間も、将来の年金額はきちんと反映される

「保険料が免除される」と聞くと、その期間分だけ将来の年金額が減ってしまうのではと心配になるかもしれませんが、産前産後免除の期間については、保険料を納めた期間として老齢基礎年金の受給額に反映されます。これは、経済的な事情で保険料を納められないときに使う「免除制度」(全額免除・一部免除)とは異なる、産前産後免除ならではの特徴です。

また、免除期間中であっても、将来の年金額を上乗せするための付加保険料(月額400円)は納付することができます。

3.1 令和8年度の保険料で見る免除額の目安

令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円です。この金額で単純計算すると、単胎の場合は4カ月分で約71,680円相当、多胎の場合は6カ月分で約107,520円相当の保険料が免除される計算になります。それでいて将来の年金額は保険料を納めた場合と変わらないという点は、知っておく価値のある仕組みといえます。

4. まとめ

国民年金の産前産後期間免除制度は、単胎で4カ月分、多胎で6カ月分の保険料が免除されながら、将来の年金額には影響しないという、出産を迎える国民年金第1号被保険者にとってメリットの大きい制度です。

ただし、自動的に適用されるものではなく、自分で市区町村の窓口に届け出て初めて対象になります。出産予定日の6カ月前から届出できるため、母子健康手帳を受け取ったタイミングなどで早めに確認しておくとよいでしょう。

参考資料

和田 直子