3. 要介護認定者「721万人」75歳以上の約3人に1人が何らかの介護認定を受けている状況
ここで、私たちの老後に直結する介護の現状を確認しておきましょう。厚生労働省が2026年8月27日に公表した最新の「介護保険事業状況報告」によると、2026年3月末時点における65歳以上の第1号被保険者数(介護保険の対象となる高齢者)は3584万人となりました。これは前年度末から5万人の減少にあたり、長年増加傾向にあった被保険者数が減少に転じたことは、日本の社会保障において注目すべき変化です。
一方で、介護や支援が必要であると認定された「要介護・要支援認定者数」は、2026年3月末現在で721万人となりました。前年度末から12万人増加しており、高齢者全体の総数が減る中で、介護を必要とする人は増え続けています。
65歳以上の被保険者全体に占める認定者の割合(認定率)は19.7%です。これを年齢別に見ると、65歳以上75歳未満では4.3%にとどまりますが、75歳以上の後期高齢者になると31.0%へと跳ね上がります。75歳以上の約3人に1人が何らかの介護認定を受けており、75歳を境に介護が必要になるリスクが急上昇することがわかります。
3.1 介護と老後に向けた3つの見直しステップ
こうした現実的な資金不足や介護リスクに対して、私たちはどのように備えればよいのでしょうか。むやみに焦るのではなく、以下の3つのステップで現状を整理することが大切です。
「ねんきん定期便」で将来の収入を把握する
まずは、ご自身が将来受け取れる年金の見込額を正確に知ることが第一歩です。毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」や、インターネットの「ねんきんネット」を活用し、実収入の目安を立てましょう。
老後の生活サイズを想定し「固定費」を見直す
現在の生活費から、老後には不要になる支出(子どもの教育費や通勤関連費など)を差し引き、生活のダウンサイジングを図ります。あわせて通信費や保険料などの固定費を見直すことで、毎月の赤字幅を圧縮できます。
介護・医療のための「特別枠」を貯蓄に取り分ける
日常の生活費とは別に、介護費用(目安として1人約500万円)や住宅修繕費を「使わないお金」として専用口座に分けておく方法が有効です。まとまったお金をあらかじめ色分けしておくことで、精神的な安心感につながります。
4. まとめにかえて
今回は、最新のデータに基づく老後資金の現実的な必要額と、現在の介護の現状について解説しました。
毎月の生活費の不足額に加え、要介護者が721万人にのぼるという現実的なデータを見ると、不安を感じるかもしれません。しかし、介護費用などの「特別な支出」の目安をあらかじめ知っておくことで、漠然とした不安を具体的な目標に変えることができます。老後への備えは、早めに現状を把握し、無理のない範囲で少しずつ準備を始めることが何よりも大切です。まずはご自身のねんきん定期便を確認し、ご家族で将来のライフプランについて話し合う機会を作ってみてはいかがでしょうか。

