係長は、多くの会社で最初に就く役職です。ただ、実際にどれくらいの人が就いていて、賃金や働き方がどう変わるのかは、あまり具体的に語られません。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」には、役職別の集計があります。2026年3月に公表された令和7年(2025年)調査から、係長級の姿を見ていきます。

賃金は月39万9200円、平均年齢は45.4歳でした。そして1カ月の残業時間は15時間と、4つの区分のなかで最も長くなっています。

この記事の3つのポイント
  • 係長級の賃金は月39万9200円で、役職なしとの差は8万8700円でした。
  • 平均年齢は45.4歳、平均勤続年数は17.5年で、人数は約162万人です。
  • 1カ月の残業時間は15時間。役職なしの12時間、課長級の4時間を上回ります。

1. 統計では「係長級」として集計されています

賃金構造基本統計調査は、役職について次のように定義しています。一般労働者のうち雇用期間の定めのない者を対象に、役職者を「部長級」「課長級」「係長級」等の階級に区分し、役職者以外の者を「非役職者」としています。

役職者全体では約639万人で、そのうち部長級・課長級・係長級は合わせて約435万人です。残りは、この3つ以外の役職として集計されています。自社の役職名がそのままどれかの階級に対応するとは限りません。

集計の対象は、10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所です。この記事の数字は、いずれも2025年6月分のものです。

2. 係長級は約162万人。平均年齢は45.4歳です

令和7年調査によると、係長級の労働者数は約162万人でした。課長級は約180万人、部長級は約93万人、非役職者は約1851万人です。

雇用期間の定めのない一般労働者は全体で約2491万人ですから、係長級はその6.5%にあたります。

平均年齢は45.4歳、平均勤続年数は17.5年でした。課長級は49.5歳・20.9年、非役職者は41.8歳・10.8年です。ただしこれらは同じ時点で各階級を横に並べた数値で、係長級から課長級へ上がるまでの年数を示すものではありません。

なお、係長級の中心となる年代について、厚生労働省の労働安全衛生調査では40代で強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある人は71.5%と、20代に次ぐ高さになっています。

仕事に強いストレスを感じる人は67.5%。最多は「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」がともに39.5%、40代は「昇進・昇格」が22.6%
仕事に強いストレスを感じる人は67.5%。最多は「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」がともに39.5%、40代は「昇進・昇格」が22.6%

3. 賃金は月39万9200円。役職なしとの差は8万8700円

【図表1】役職別にみた1カ月の賃金と労働者数(2025年6月)1/2

【図表1】役職別にみた1カ月の賃金と労働者数(2025年6月)

各種資料をもとにLIMO編集部作成

この調査でいう「賃金」は、調査年6月分の所定内給与額です。残業代にあたる超過労働給与額や、賞与は含まれません。

係長級は39万9200円で、非役職者の31万500円との差は8万8700円でした。課長級の52万9200円との差は13万円です。

役職なしから係長級への段差より、係長級から課長級への段差のほうが大きい形になっています。

4. 賞与を含めた年収の目安は685万6900円

年間賞与その他特別給与額は、係長級が151万2100円でした。課長級は219万1900円、非役職者は86万6400円です。

これに、残業代を含む「きまって支給する現金給与額」を12倍して足すと、係長級は685万6900円になります。課長級は872万1100円、非役職者は497万8800円です。

ただし6月分の給与を12倍した単純計算です。残業や手当の実績が年間で一定とは限らないため、目安として見てください。

係長級と役職なしの賃金の差は、月8万8700円でした。この数字を見て、思ったより小さいと感じるか大きいと感じるかは、分かれるところだと思います。役職に就くという変化の大きさに比べると、金額としては控えめに映るかもしれません。

所定内給与額だけを12倍すると、年で106万4400円の差になります。ただしこれは賞与も残業代も含まない金額なので、実際に手元に残る差はここから変わってきます。

もうひとつ気になったのは、この8万8700円が役職手当だけの差ではないという点です。係長級は平均勤続17.5年、非役職者は10.8年ですから、勤続の長さの分も混ざっています。役職に就いたから増えた額だけを、この統計から切り出すことはできません。

次に見ていく残業の数字も、同じように、切り分けられるものと切り分けられないものが混ざっているように思います。

中沢 新

5. 残業が最も長いのは係長級の月15時間

【図表2】役職別にみた1カ月の残業時間と残業代(2025年6月)2/2

【図表2】役職別にみた1カ月の残業時間と残業代(2025年6月)

各種資料をもとにLIMO編集部作成

1カ月の超過実労働時間数は、係長級が15時間で最も長くなりました。非役職者の12時間を3時間上回り、課長級の4時間とは11時間の差があります。部長級は2時間です。

残業代にあたる超過労働給与額も同じ形で、係長級が4万6200円、非役職者が3万2200円、課長級が1万4900円、部長級が1万400円でした。

係長級から課長級へ移ると、所定内給与額は13万円増える一方、超過労働給与額は3万1300円減る計算です。

注意したいのは、この統計が拾っているのが「計上された残業」だという点です。管理監督者として扱われ、時間外労働として集計されていない時間は、この数字には現れません。

6. 係長は「管理職」にあたるのでしょうか

労働基準法41条は、労働時間・休憩・休日に関する規定を一定の労働者には適用しないと定めており、その2号に「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)が挙げられています。ただし、これに該当するかどうかは役職名では決まらず、職務内容や責任と権限などの実態から判断されます。

その意味で、係長という役職名だけで管理監督者かどうかは決まりません。ただ、係長級に月15時間の残業と4万6200円の超過労働給与額が計上されているという事実は、多くの係長が労働時間の規制を受ける前提で扱われている姿を示しているとは読めます。

自分がどちらに当たるかは実態に即した個別の判断になります。気になる場合は、勤務先の人事労務部門や所轄の労働基準監督署、社会保険労務士などに確認してください。

7. 5年で賃金は上がりましたが、役職なしとの差は縮んでいます

2021年(令和3年)と比べると、係長級の賃金は36万7800円から39万9200円へ8.5%増えました。同じ期間に非役職者は27万7400円から31万500円へ11.9%増えており、伸び率では非役職者が上回っています。

非役職者を100とした水準(役職・非役職間賃金格差)は、係長級が2021年の132.6から2025年は128.6になりました。ただし2023年と2024年に127.4まで下がり、2025年はやや戻しています。一直線に縮んでいるわけではありません。

なお、この調査は令和2年(2020年)に一部の調査事項や推計方法が変更されており、令和元年以前の公表値とそのまま比較できません。

8. まとめにかえて

係長級という階級を、統計の側から見てきました。

  • 賃金は月39万9200円で、役職なしとの差は8万8700円、課長級との差は13万円でした
  • 平均年齢は45.4歳、平均勤続年数は17.5年、人数は約162万人です
  • 1カ月の残業時間は15時間で、役職なしの12時間も課長級の4時間も上回ります
  • この5年で賃金は上がりましたが、役職なしとの差は縮む方向にあります

賃金の階段では、係長級は役職なしから8万8700円上がった位置にあります。一方で残業として計上される時間は、4つの区分のなかで最も長くなっています。

ここで挙げたのは全国平均であり、業種や企業規模、地域によって水準は変わります。自分の待遇を確かめるには、勤務先の規程と所管窓口への確認を組み合わせるほうが確実です。

9. 【執筆者コメント】計上される残業と、されない残業

係長級の残業が月15時間で、課長級の4時間より長い。この並びが、今回いちばん印象に残りました。

数字だけを見れば、課長になると残業が減るように読めます。ただ、この統計が数えているのは時間外労働として計上された時間です。管理監督者として扱われている人が働いた時間は、ここには出てきません。減ったのか、記録に残らなくなったのかは、この数字からは分かりません。

管理職として働いている立場からすると、係長級の15時間という数字のほうが、むしろ記録として素直なのだろうと思います。計上される側にいるかどうかで、同じ働き方をしていても、残る数字は変わってきます。

もっとも、そう言いながら自分は、先月の残業時間を聞かれてすぐに答えられる自信がありません。数え方について語る前に、まず自分の記録を開くところからかもしれません。

参考資料

中沢 新