ゴールデンウイークに、キャリアについて考え直した人もいるかもしれません。「中間管理職になると年収はどれくらい上がるのか」、「うちの上司はいくらもらっているのか」と気になっている人もいるはずです。

一方、近年は「管理職は罰ゲーム」と語られることも増え、給与アップだけで判断するのは難しくなっています。

そこで本記事では、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとに、中間管理職である部長・課長・係長の平均月収と平均年収、非役職者との賃金格差を紹介します。キャリアの方向性を考える参考にしてみてください。

1. 【中間管理職】部長・課長・係長の平均月収と「非役職者」との賃金格差をみる

まずは、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職別データから、部長・課長・係長の平均月収(所定内給与額)と平均年齢を確認します。

ここでいう「賃金」は、2025年6月分の所定内給与額の平均値です。実際に支給された現金給与額から超過労働給与額を引いた金額で、所得税などが控除される前の額面を指します。

1.1 中間管理職の平均月収・平均年齢(男女計)

  • 部長級:63万5800円/53.1歳
  • 課長級:52万9200円/49.5歳
  • 係長級:39万9200円/45.4歳
  • 非役職者:31万500円/41.8歳

男女別では、部長級が男性64万2400円・女性57万8300円、課長級が男性54万1400円・女性47万300円、係長級が男性41万900円・女性36万5700円となっています。

なお、対前年(令和6年)比でみると、部長級は+1.4%、課長級は+3.4%、係長級は+3.4%の増加。非役職者の+2.5%を上回るペースで賃金が上昇しており、特に課長級・係長級の伸びが目立ちます。

2. 【中間管理職】部長の年収は1000万円超!生涯年収の差はどれくらい?

月収だけでは年収のイメージがつかみにくいため、ボーナスを年2回(合計で月給の4カ月分)と仮定して年収を試算します。これは、一般的な企業水準であるボーナス4カ月分(年間)を仮定して算出した参考値ですが、役職による賃金格差の傾向を掴む目安になります。

2.1 中間管理職の平均年収一覧表(試算・男女計)

  • 部長級:約1017万円(63万5800円×16カ月=1017万2800円)
  • 課長級:約847万円(52万9200円×16カ月=846万7200円)
  • 係長級:約639万円(39万9200円×16カ月=638万7200円)
  • (参考)非役職者:約497万円(31万500円×16カ月=496万8000円)

今回試算した中間管理職の年収はいずれも非役職者の全体平均を大きく上回り、役職に就くことが、個人の経済基盤を強化する強力な手段であることは、数字の上でも明らかです。

2.2 役職・非役職者の賃金格差(非役職者=100)

  • 部長級:204.8(前年207.1)
  • 課長級:170.4(前年169.1)
  • 係長級:128.6(前年127.4)

部長は非役職者の約2.05倍、課長は約1.70倍、係長は約1.29倍の月収となっています。このように中間管理職へ昇進することで、生涯年収には数千万円規模の差が生まれる計算です。管理職特有の責任や負担は伴いますが、この「数千万円の差」がもたらす生活のゆとりや資産形成の可能性は、決して無視できない魅力です。

3. 年収アップだけで判断するのは要注意。管理職の責任とキャリア選択

部長や課長になれば月収・年収が大きく増えるのは確かですが、それに伴う責任や負荷も大きくなります。SNSや新聞報道で「管理職は罰ゲーム」と語られるのには、いくつかの背景があります。

  • 部下の人事評価・育成・メンタルケアなどマネジメント業務の増加
  • 経営層と現場の板挟みによるストレス
  • 残業代がつかない管理監督者扱いで時間あたり時給が下がるケース
  • ハラスメント防止やコンプライアンス対応の責任拡大

このため、近年は「マネジメントよりスペシャリストとしてのキャリアを選びたい」という人も増えています。スペシャリスト職を専門コースとして用意する企業も多くなっており、専門スキルで高年収を実現する道も選択肢の一つです。

また、収入を増やす方法は役職に就くことだけではありません。本業でのスキルアップによる昇給や、勤務先の規定で許されていれば副業の活用、あるいは新NISA・iDeCoを使った資産運用なども現実的な手段です。「役職=給与アップの唯一の道」と考えず、自分の適性や価値観に合ったキャリアプランを描くことが大切です。

4. 年収だけでなく「自分に合った働き方」を見極めよう

2025年の調査では、部長級の平均年収は約1017万円、課長級は約847万円、係長級は約639万円と、いずれも給与所得者全体の平均478万円を大きく上回りました。中間管理職への昇進は、確かに収入面で大きな魅力があります。

ただし、増えた給与の裏側には、責任の拡大や時間の制約、ハラスメントリスクへの対応など、見えづらい負担も存在します。「上司の年収」という外形的な数字だけでなく、その仕事内容や働き方まで観察したうえで、自分のキャリアを考えることが重要です。

新年度の節目に、自分の市場価値や望むライフスタイルを見直し、納得感のあるキャリア・マネープランを設計してみてください。

参考資料

苛原 寛